野田琺瑯の 野田善子さん。 (工場見学もしてきました)
「野田琺瑯」について 野田善子さんプロフィール 「琺瑯(ほうろう)」って、どんな製品かご存じですか? 病院や学校の保健室にあった白い洗面器? 清潔感のある、おしゃれなインテリア雑貨? その両方が、正解です。 病院でも家庭でも、頑丈で衛生的な「琺瑯」は、 長く人々に使われてきました。  「ブイヨン・マグ」をいっしょに作ったご縁で、 野田琺瑯の野田善子さんから お話をうかがうことができました。 「琺瑯屋さん」に嫁いだひとりの女性が、 ヒット商品を生み出すお話‥‥興味深いんです。  あわせて、琺瑯工場の見学もさせていただきました。 こちらも、かなり、興味深いのです。


第1回 やっぱり、琺瑯が好きなんです。 2009-07-16
第2回 「ぬか漬け美人」の誕生。
2009-07-17
第3回 「ホワイトシリーズ」で、琺瑯が再び身近なものに。 2009-07-20
第4回 琺瑯の便利さを、実演? 今日の更新


第4回 琺瑯の便利さを、実演?
── 先ほどから気になっていたのですが
そこにある「ホワイトシリーズ」は、
丸いですよね?
うちにあるのはぜんぶ四角いんですが‥‥。
野田 そちらは「ホワイトシリーズ」の
「ラウンド」といいまして新しい製品なんです。
── そうでしたか。
これも善子さんのアイデアで?
野田 ええ。
食器というものは、ほとんど丸ですよね?
お椀から何から。
── そうですね、言われてみれば。
野田 ですから、丸というのもきっと自然に
食卓に馴染むと思いまして。
── 馴染みそうです、あっという間に。
野田 直径が10センチから21センチまで、
6種類あるのですが、
ぜんぶふたをした状態で、
入れ子のようにしてひとつにしまえるんです。
── マトリョーシカみたいに。
野田 丸ですから、キュッキュッと拭けますし、
コーナーがないので洗うときにもラクで。
── なるほどー。
野田 たとえば12センチのラウンドですと、
ロースハムが、ぴったり入ります。
── ロースハムが。
野田 パックでお買いになったハムを、
1枚だけ食べたいときも、
残りをここに入れておいていただけば、
干からびることもなく、
1枚ずつ食べられます。
── そうかー、ハムにぴったり。
野田 で、琺瑯のよさは、
冷凍できるというところにもあります。
冷凍しておくと、とても便利なのが、
お出汁なんです。
── 出汁をとっておける、なるほど。
野田 多めに作ったお出汁を、
私は冷凍と冷蔵の両方に入れておきます。
ふだんは冷蔵のほうを使って、
なくなってきたら、冷凍を冷蔵におろし、
解凍しておくわけですね。
で、心にゆとりができたときに、
冷凍の方にお出汁を補充しておく。
── はい、はい。
野田 ですが、毎日の生活で、
急にお出汁が必要なときもございます。
そんなときはどうするか。
冷凍庫の琺瑯容器のふたをとって、
これ、このまま、
弱火の直火にかけて煮溶かせば、
はい、あっという間にお出汁が。
── すごーい!(拍手)
なんだか実演販売を見ているようです(笑)。
野田 ごめんなさいね。
琺瑯のことになると
次から次へと自慢話が(笑)。
── いやいや、すばらしいです。
思わず「さて気になるお値段は?」
と合いの手を入れたくなりました(笑)。
野田 恥ずかしい(笑)、
あとで叱られます(笑)。
── いや、ほんとに、あらためて、
便利なものですよねえ。
野田 大きめのものですと、
サラダなんかを作りまして、
ご主人が帰るまで
ラップではなくてこのふたをして、
冷蔵庫にしまっておくわけです。
さあ、ご主人さまが帰ってきました。
そうしましたら、サッとふたをはずして、
お皿を一枚用意して、
そこに紙ナプキンを敷きまして、
ポンとこちらを置いていただければ、
琺瑯容器が、ほら、そのままうつわに。
── すばらしい!(拍手)
野田 これで洗い物が、ひとつ減ります。
── なるほど!(拍手)
野田 あとは私、
この浅型で寒天をつくります。
── 寒天。
野田 粉寒天の袋というのは、
だいたい5グラム入っております。
ここにお水を500cc入れていただいて、
寒天の粉1袋を入れて、
ちょっとかき回していただいて、
このまま弱火にかけます。
── 火にかけられるのは大きいですね。
野田 「今日はコーヒー味にしよう」と思いましたら、
火を止めてから
インスタントコーヒーを入れてください。
── お好みの味を。
野田 しばらくそのまま置きまして、
手で触れるくらいの熱さになりますと、
揺らせばブルブルという感じになります。
そうしましたら、冷蔵庫にしまってください。
で、召し上がる時はこのままで。
アイスクリームをのせていただくなり、
イチゴをのせていただくなり、
もう何でも。
デザートはこれでOKです。
── 簡単ですねえ。
野田 それで、食べましたよね。
ぬるま湯で寒天分はすぐ溶けるんです。
ちょっと洗ってふきんで拭いて、はい終了。
そしたらまた、500ccの水を入れて。
── あ、次のを作っちゃう。
便利だー。
野田 これがあれば、そういうことができるんです。
── さて、気になるお値段は?!(笑)
野田 ごめんなさい、すぐ出てきません(笑)。
── あれ? そうなんですか(笑)。
野田 ほんとうに便利と思っているので、
ついつい使い方ばかりに
熱が入ってしまって。
── なるほど、
いや、ほんとにお好きなんですねえ。
野田 使わない日はないですね。
うちの冷蔵庫はビッシリこれが入っていて、
今でも毎日、使うよろこびがあるんです。
── そうですか、素敵です。
すばらしいお話をありがとうございました。
野田 ごめんなさい(笑)、
好きなので、ついつい‥‥。
あの、カットしてくださいね。
── とんでもない(笑)。
で、すみません、
最後にひとつうかがいたいことが。
野田 なんでしょう?
── 「野田琺瑯さんではたらきたい」
とおっしゃる方が多いと聞きましたが。
野田 ええ、ありがたいことです。
一時期はまったく忘れられた琺瑯ですが、
それだけに、若い方には新鮮に見えるようで。
「このかわいい琺瑯を作る仕事をしたい」
というお申し出を何件もいただいて。
── 就職をしたいと。
野田 もう、驚いてしまいます。
── デザインをやりたいという方が。
野田 ええ。
私どもでは、人手がなく忙しいときには
社長も荷造りをしたり。
職種なしの、全員体制ですので、
デザインだけの仕事で雇う余裕がないんですね。
製造業は作るのが仕事です。
職人さんが育ってくれるのがいちばんです。
── そうですか、なるほど、わかりました。
野田 もう、ほんとに、
いろんなことをしゃべってしまって‥‥。
── 貴重なお話、ありがとうございました。
‥‥あ、そうだ、
最後の最後に、もうひとつだけ質問を。
野田 はい。
── 次に作りたいものは、なにかあるのでしょうか?
野田 ‥‥それは、フフフ。
── あ、決まっているようですね(笑)。
たのしみにしています!


(おわります)



2009-07-21-TUE