「日本・海辺の町のものがたり/8」


ある冬の朝、小さな海辺の町には雪が降った。
砂浜は真っ白になり、吐く息もまた白かった。
シロシは、友だちの家で仲間たちと食卓を囲みながら
お好み焼きとお汁粉と笑い話で暖をとり
たわいない話をしながら、酒を飲んでおったとさ。

ふと、電話を貸してもらおうと受話器を手にすると
壁に、こんな標語が貼ってある。
「自分を前に出すよりも、愛の行いを前に出せ」
かつては説教クサイとしか感じなかったかも知れない、こんな言葉が
ふと、心に沁みる‥‥。

俺もトシをとったのか、それとも酔っぱらっているだけかなぁ──
そしてシロシは、大きなクシャミをひとつしたんだと。

<そして、つづく>
@Hayama/神奈川県 2007
 
2008-02-13-WED
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