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京都の洋服屋さんがマリオ20周年記念Tシャツをつくったぞ!

 



これ、なんだとおもいますか?
ある任天堂グッズの、販売用パッケージです。
「……見たことないよ!?
 でもむかし、任天堂でこんなゲームのパッケージが
 あったような……???」
と思った方、惜しい!!
たしかに昔あったような感じですよね。
でも、これ、発売されたばっかりの
ピカピカの新品なんです。
「ええっ? オレ、任天堂ファンだけど、
 知らないよ~~!」
そうでしょうとも。ま、焦るでない。
この中には、このような↓モノが入っています。



「ファミコンの説明書じゃない?
 ……あれ? なんかちがうね?」

そう、ちょっとちがう。
THE KING OF GAMESなんてゲームは、ない。
この説明書と一緒に入っているその「モノ」とは、
これです。↓ 関係者に、着てみてもらいました。



Tシャツ? でも、任天堂でTシャツなんて、
 あったっけ?」

いままでは、なかったです。
でも、いまは、あるんだな~。
拡大してみましょう。



20TH ANNIVERSARY! MARIO!
って、書いてあります。
「マリオ20周年……?」
そうですぜ。もっと拡大してみましょう。



「うわー、ドット画の、
ファミコンの、マリオだ!!

正解! ちなみにこんなとこにもマリオがいます。
首まわりの内側、タグのところ。
カワイイ!!



そう、これは
「マリオ生誕20周年記念Tシャツ」

なんです。

「ほぼ日がつくったの?」
ちがいます。
「任天堂から発売されたの?」
それもちがいます。
「じゃあ、ニセモノ……??」
そんなわけないでしょ! これは、れっきとした、
“任天堂公認”のTシャツなんですよ。

「……じゃあ、どこで手に入るの?」
お教えしましょう。このTシャツを制作・販売しているのは
任天堂のお膝もと・京都・寺町通りにある
LOFTMAN 1981というお店。
そこだけで買うことができるんです。

LOFTMAN1981
604-8045
京都市中京区寺町通り錦上ル
ウィズユービル1F

お店のHPはこちら

「いったいどうして“そのお店だけ”で
 任天堂公認マリオ生誕20周年記念Tシャツを
 売ってるの!?!?」

はい、今回の「樹の上の秘密基地」では
そのヒミツを、探ってきましたよ。
このTシャツが生まれた背景には
意外なドラマが隠されていたのでした!!
ちょっと長いけど、読んでね!

任天堂ファンが、任天堂に飛び込んだ、
二年前のある日。


江南匡晃さん、28歳。
LOFTMAN 1981のスタッフです。



「ぼく、ものすっごく、任天堂が好きなんですよ!」

ゲームウオッチから始まって
小3でファミコンと出会い、
もう20年近くを任天堂とともに歩んできた、
という彼は、この店の店員になってから
売場のレジのところに
「任天堂・江南コレクション」を
ディスプレイするほどの、任天堂フリーク。
海外で発売されたグッズなんかを、
すこしずつ集めて、はや数百点。
もちろんほとんどのゲームを遊び倒しています。



お客さんに「売り物ですか?」と聞かれると
(そりゃ、聞かれるよな、レジ横だもの)
「売れません!」
と答えちゃう、この彼が、二年前のある日、
ひとりのお客さんの着ていたTシャツに
目がくぎ付けになりました。
Nintendo、のロゴのプリントされたTシャツでした。

「そんなの売ってるの、見たことなかったから、
 聞いたんです、どこで買ったんですか? って」

するとそのお客さんは言いました。
「ぼく、任天堂の社員なんです。
 これはイベント用のスタッフTシャツなんですよ」
つまり、一般には入手不可能の製品だった。
こういうのって、手に入らないだけに、
すごく人気があるんだそうです。
以前ほぼ日でスチャダラパーのボーズさんに
ゲームキューブのことでインタビューしたときに
スタッフTシャツをものすごくうらやましがっていたっけ。

そして江南さんは考えた。
「ほしいな……でも手に入らないんだよな……
 だったら、自分でつくろうかな」

と。

どうせつくるなら「公認」にしたい!


江南さんは仲間三人で
「エディットモードグラフィクス」
というチームを組んでいました。
音楽でいえばDJをするような感覚で
「すでにあるデザイン」を加工して
オリジナルのものにつくりかえることをコンセプトに、
プライベートに活動していたんだそうです。
エディットモードというのは
任天堂のゲームにも組み込まれている機能のひとつで
たとえば自分の好きなパーツを組み合わせ、
オリジナルのコースを作ったりできるしくみです。

プロではなかったけれど、そういうふうに
デザインを遊びとして楽しんでいた江南さんは
最初は、こっそりつくって楽しもうかな、
とも思った。けれども、それって、
なんだか、つまらない。
なんというか、パロディでしかないというところが
不満だったそうです。

江南さんは上司の西井誠二郎さんに相談します。
「任天堂のTシャツつくって売ってみたいんですけど」
と。



西井さんは京都で27年つづくLOFTMANの
古株のひとりで、いまは専務取締役として
6店舗あるLOFTMANをきりもりする人。もともとここは、
「やりたい人が、やりたいことを、
 責任持ってする」
という方針で成長してきたお店なんだそうです。
たとえばアウトドア・ブランドの
パタゴニアが好きな店員さんは
パタゴニア日本支社に日参し、
業界的には「不可能だ」と言われていた契約をとりつけて
パタゴニア専門ショップをつくってしまった。
そういう背景があったので、西井さんもあっさり
「だったら任天堂に行ってみたら?」
と、江南さんに企画書をつくらせて
任天堂に持っていくことをすすめました。

それが2000年の出来事。
その企画書が、企画部にまわり、
任天堂の倉恒さん(ファイアーエムブレムの記事を
参照ください。名物CMをつくりつづけるオソロシイ人!)の
目に留まったのでした。



「でも、最初のデザインは、ぜんぜん使えないものだったんです」

それでも江南さんはあきらめず、
ほんとうにやりたいことは何だろう、と考えて
THE KING OF GAMESというアイデアを生みだしました。

そのアイデアは、任天堂の倉恒さんたちが思っていたことと
ぴったり合います。任天堂が大好きな、
でもいまはもうあまり遊ばなくなってしまった世代の人たちに
大好きだったファミコンを思い出してほしい。

そして、生まれて20年になる二十歳のマリオを
ちゃんとお祝いしたい、と。

しかしここから、任天堂の社内調整がたいへんだった!

小さなチームが会社をうごかした。


企画部と江南さん・西井さんで秘密裏に(?)結成された
Tシャツ・プロジェクトは、
まず社内のさまざまな部署に
公認のTシャツとして
画像やロゴを使用する認可をとりつける作業に入ります。

同じ会社なんだからカンタンだと思うでしょ?
それがそうでもなかった。
なぜなら、ロゴマークには
使い方のガイドラインというものがあり、
それは「ゲーム」のためにつくられたルールなので
Tシャツにはあてはまらないことが多いのでした。
だから、一つ一つ、関係各部の確認をとらないといけない。
電気的にファミコンと接続するものに限って
使用が許可されるロゴは、とうぜん、Tシャツには使えない。
「ファミコンにつなげて光ったり震えたりするなら
 Tシャツにも使えるんですけどね」
……そんなTシャツがつくりたいわけではありません。

また、ファミコン時代のロゴは、時間がたっていて
オリジナルのものが残っていないこともあったし
任天堂じたいが製造しているようになる書き方はNGだし。
とにかく、時間と手間がいっぱいかかってしまったのでした。

でも、マークのルールを守ることよりも、
純粋に自分が着たいと思うかを基準に
見てほしいと訴えて回った結果、
社内の理解が得られて、使えるようになりました。
社員とは言っても、昔、
ファミコンで遊んだ思い出を持っているから、
江南さんのデザインに共感する部分があったのでしょう。



LOFTMANはジーンズを主体としたカジュアルウエアに
一部オリジナル商品を展開しているのですが
このTシャツは、西井さんが陣頭指揮をとって、
とことん(ほんとにしつこいくらい!)執念を燃やして
いいものにしようと努力を続けます。
関西の地元の業者とタッグを組んで、
糸から、織りから、染めから、サイズから
すべてに細心の注意を払い
何度も何度も試作を繰り返しました。
(まるでほぼ日のグッズみたいだ!)
簡単に見えるプリントも、
「赤だけで三回、重ねてプリントしているんですよ」
というほど。(より深い色を出すためです)
努力のかいあって、いろんな業者が
最大限の技術と愛情をそそいだTシャツができあがりました。

そこまで行ったらパッケージも、です。
このページの最初に載せたパッケージ、じつは、
江南さんがもっていた任天堂の「ロボットシステム」と
全く同じサイズで、
任天堂のゲームパッケージの制作を引き受けている
「和多田印刷」さんに依頼してつくってもらいました。
(すごい……)
そして、価格設定も、
ファミコン発売当時からの値段の推移
「3800円~4500円~5800円」を
プリントのレベルにあわせて、設定。

企画から2年、この夏、やっと発売にこぎつけたのでした。

インターネット通販も計画中。


京都のお店一店舗だけの販売で、
発売2日間で121枚を売り上げた(!!)
THE KING OF GAMESのTシャツ。
「ほかの土地に住んでいる人は買えないんですか?」
とお聞きしたところ、インターネット通販を考えているそうです。
ここから先は「秘密基地」から出てしまうけれど
↓ここをクリックしてLOFTMANのサイトに飛んで
 御確認くださいね~~~!

top
↑クリック↑
※現在はTHE KING OF GAMESのサイトから購入できます。

THE KING OF GAMESはシリーズ化され、
今後もいろんなバージョンが発表されていくとのこと。
マリオだけでなく、ドンキーコングなども登場するかもしれません。

さて、ここでぜひ聞いてみたかったのが、
任天堂が、なぜ、このお店のTシャツを公認したか?
ってことです。江南さんたちの「熱意」だけじゃない、
ナニカがあるはず。そう確信した取材班のわたくしシェフ武井は
倉恒さんに、認可の背景をお聞きしてみましたよ。

これはコンセプトのある仕事なんです。


武井さん、初めて触ったテレビゲームって、
どこの製品でした?

 
──え? ファミコンです。みんなそうじゃないかな。
 
そうなんですよ。で、いまは、遊んでますか?
 
──ゲームキューブやってますよ。
  でも、まわりの同い年、30代半ばの友人は
  けっこう、やらなくなっちゃってるかも。
 
そこなんです。世の中のゲームファンの人たちって
みんな最初に「任天堂」を触っているんだけれど
そこから卒業していく人もいる。
でもね、たとえばいまはゲームをやらない人でも
心の中に任天堂の灯火がある、と、
ぼくらは、思っているんです。
もちろん、今でも
任天堂以外のゲームをしている人たちの
中にもあると信じています。

 
──ええ。ちょっと寂しいけれど、そんな感じですね。
 
そういうオトナの人たちや多くの卒業生?と、
もういちど接点をもちたいと、
ぼくらはつねづね思っていたんです。
もちろんゲームでね。
でも、いきなりゲームを押しつけるものじゃない。
だから、ゲームをプレイしてもらうこと以外でも
接点が持てる可能性がないかと。

 
──「任天堂をさわって大きくなっていった人たち」
  に向けたメッセージを発信する?
   
そう、だけど、それを、ゲームでなく、
言葉でもない、違う切り口から発信できないか、
と考えていたんだけれど、なかなか答えはなかった。
そうしたら、目の前に、Tシャツのデザインを持って
この「江南さん」が現れたんです。
いわば、“翻訳者”ですね。
僕らは言いたいことを言葉にすることはできるけれど
こういうニュアンスにすることはできなかったんです。

 
──Tシャツになることで、20~30代前後の人たちは
  すごく「わくわく」した気持ちを取り戻せると
  感じましたよ。
  そうか、任天堂は、ぼくらのこと、
  忘れてないんですね。
  むしろ忘れているのはぼくらのほうだ……
 
思い出してくれたら、すごく嬉しいんです。
これをみて「わあ、なつかしいやんか!」と言って
手に取って買ってくれたら、いい。
昔のマリオがやりたいなあ、と思ってくれたら、
もっと嬉しいなあ。
いや、一番新しいマリオに触ってもらえると
もっと嬉しいですね。

 
──そういえば、ゲームキューブ版のマリオを
  開発中なんですよね?
 
そうなんです、出ます。ついに出るんですよ。
6年ぶりに、スーパーマリオの新作が出るんです。
マリオといえば、ジャンプするだけでも楽しい、
走っているだけでも楽しいゲームだということは、
もちろん皆さんご存知だと思います。
ハードがゲームキューブになっても
マリオの面白さは変わりません。
今回は夏らしく水を使ったアクションが
楽しいんですよ。
マリオがポンプを背負ってるんです。
この新しいポンプアクションはもちろん、
プレイしていてびっくりするようなことも
たくさんありますよ。
早く、皆さんに「スーパーマリオサンシャイン」を
プレイして頂きたいですね。

 
──楽しみにしてます。それまでこれ着て、
  待ってますからね。どうもありがとうございました。

というわけで、今回はここまで。
でもいいニュース聞いたな、マリオが出るんだって。
なるべく早耳で、詳細情報を、
みなさんにお伝えできるようにがんばりますので
また読みに来てね~!

(マリオの父・宮本茂さんとdarlingによる「ピクミン」対談も、
 まだちょっと続きますので、それもお楽しみに!)

2002-06-14-FRI