糸井重里がコピーライターの殿堂入り! 「今日いただいた賞は、 『ふつうの人』というあかしです。」

イカと女の子と男の子。
このかわいらしくも、なんとも不思議なロゴは、
「いか文庫」さんという本屋のロゴです。

いか文庫さんは、ふつうの本屋ではありません。
まず、お店がない。
さらに、本屋の売り物である、本すらない、というのです。
ちょっと、おもしろそうでしょう?

先日、いか文庫のみなさんに実際にお会いして
お話させていただく機会がありましたので、
そのときの様子をレポートさせていただきます。
担当は、「ほぼ日」の大高です。
どうぞよろしくお願いします。

わたしたちがいか文庫さんと
知り合った経緯からお話しましょう。
発端は、糸井重里が書いた
9月13日の「今日のダーリン」です。
抜粋しましたので、お読みください。

・「仕事がある」というのは、たいしたことです。
 「ほぼ日」のやり方は、「仕事がある」をつくりだせる。
 いまさらですが、これはいいことだと思っています。
 いざとなったら、売り上げとか利益とかのことを忘れて、
 「とにかくおもしろいことをしよう」とか、
 「よろこんでもらえることをしよう」という仕事を、
 始めてしまえばいいのですから、必ず仕事はあります。
 なにかしら「おもしろいこと」だったり、
 多少でも「よろこんでもらえること」ができたら、
 そのことは十分に「仕事」であるはずです。
 その「仕事」が、どう役に立つかはあとでわかります。
 役立ったかどうか、なかなか見えないかもしれない。
 でも、はっきり言えることがあります。
 その仕事をした人たちには「仕事があった」のです。

 ぜんぶが、稼げない仕事ばかりになると、
 たしかに、困ることは困りますよね。
 でも、どんなときでも、
 売り上げや利益だけのために仕事があるわけじゃない。
 昔からの商店街だって、同じだと思うんです。
 町内のお祭りだって、忙しくも楽しい仕事だし、
 なにかの手伝いに店中総出になることもある。
 隣りの店先まで落ち葉掃きするなんてことだって、
 「仕事がある」ということだったはずです。
 売り上げにカウントできない「仕事」でも、
 「よろこんでもらえる」ことがあるなら、
 あるいはやってて「おもしろい」ことがあるなら、
 それは、はんぱな稼ぎより大きな儲けだと思うのです。

この糸井重里の言葉を受けて、
いか文庫の「バイトちゃん」こと、
藤田さんが「ほぼ日」に、
次のようなメールを送ってくださったのです。

はじめまして。
9月13日(木)の今日のダーリンを読んで、
“売り上げにカウントできない「仕事」でも、
「よろこんでもらえる」ことがあるなら、
 あるいはやってて「おもしろい」ことがあるなら、
 それは、はんぱな稼ぎより大きな儲けだと思うのです。”
という糸井さんの言葉に、うんうんと頷き、
今自分がやっている活動(仕事)が
ますます愛おしくったのでついメールしてしまいました。
エア本屋「いか文庫」の藤田と申します。

【エア本屋「いか文庫」とは?】
売る本もお店も持っていないのですが、
本が好きで、本屋がやりたい!という思いで
今年の3月から始めた本屋です。
(エア本屋はの”エア”は、エアギターなどと
 同じような意味合いです。)
売る本も持っていなければ、
お店もどこにも存在しないのですが、
まるでどこかに存在するかのように
毎日twitterで
「おはようございます。開店しました!
 今日のオススメ本は●●です!」とつぶやいたり
本屋さんが発行しているような
フリーペーパー「いか文庫新聞」を作成し、
様々な場所で配布しています。
これらの日々の活動が実になって
「いか文庫って、どこにあるの?」と
巷で噂が広がり・・・。

その噂はリアルな本屋さんの耳にまで届き、
実際に吉祥寺の本屋さんで
フェアをやらせていただくまでになりました。
エア本屋がエアの世界を飛び出して、
リアル書店に出張開店しているのです。
その様子は、
朝日新聞や武蔵野三鷹ケーブルテレビでも、
紹介いただけました。

私たちはエア本屋だから、儲けは一切ありません。
しかし、“エア本屋”という存在に
色んな方々が興味を持ってくださり、
徐々に活動の幅を広げられてきているので、
これは大きな儲けだなと思うのです。
今後、どんな風に活動していけるかは、
私たち自身も分かりません。
ただ自分たちが面白いと思うこと、
お客さんに喜んでもらえるような
企画をしていきたいと思っています。
今日のダーリンを見て、俄然やる気が出ました。
ありがとうございました。

「いか文庫」バイトちゃんこと、藤田真緒より。

このメールを見た糸井重里が、
「いか文庫、おもしろそうじゃないか」と感じて返信し、
一度お話しましょう、という運びになったのです。

糸井と、いか文庫さんが
合って話したときのことをお伝えするまえに、
いか文庫さんがどんな活動をしているのかを
もう少しだけ詳しく紹介いたしますね。

?

こちらは、今年の夏、
吉祥寺の「BOOKS ルーエ」で行われた
「いか文庫フェア」のようすです。
棚の半面がいか文庫色に染まっております。

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?「楽しい楽しいエアホニャララの世界」という
タイトルのこのフェアで、
「エア〇〇な本」をいか文庫さんがセレクト。

?

西荻窪の「beco cafe」というブックカフェにも、
期間限定でいか文庫のコーナーがあります。
1段目には、本以外のものが‥‥。
なんと、いか文庫のグッズ!
トートバッグなどのグッズを展開してらっしゃいます。

?

なんとアメリカ・ロサンゼルスのお店、
「BOARDERS」でも
いか文庫のグッズが販売されているんだとか。
たしかに、手前の棚に、
いか文庫さんのTシャツとトートバッグが。

知れば知るほど、
ますます実体がわからなくなるような気がする
いか文庫さん。

いったい、どんな人が運営しているんだろう?
というか、いか文庫って、一体なんなの??

では、ご紹介します。
いか文庫のみなさまです!

?

「店主」の粕川さん。

?

「バイトくん」の中嶋さん。

?

そして、
メールをくださった「バイトちゃん」の藤田さんです。
いか文庫さんは、3名で運営されていたんですねー。
レア(?)ないか文庫グッズも
もってきてくださいましたよ。

海外の本屋では、
本をいれるトートバックが売られていますが、
いか文庫にもトートバックが。
本を入れることを想定されているため、
持ち手のつなぎ目等、けっこう頑丈につくられています。
ロゴのバッジやコーヒー、書類ケースなど、
幅広くグッズがあるんですね。

そして、不定期に刊行されている「いか文庫新聞」も。

あ、『さよならペンギン』だ!
「さよならペンギン復刻記」のコンテンツの
紹介までしていただいていますね、
ありがとうございます!!

ご挨拶や、談笑をしたあとに、
糸井重里はみんなが思っているだろうことを
素直にそのまま質問しました。 ?

糸井 いか文庫って、なんなんでしょう?
店主 わたしたち3人は、本が好きで、
『本のDJ』という気持ちで活動しています。
本屋っぽくフリーペーパーをつくって配布したり、
オリジナルグッズを展開して、
イベントなどで販売などもしています。
お店も本もないけれど、本屋だと言い張っています
糸井 えっと、いか文庫で
食っていけてはないんですよね?
店主 はい。それぞれほかの仕事をしながら、
いか文庫の活動をしています。
バイトくん、バイトちゃんには、
まだバイト代を払ったことないですね‥‥。
パンとかお茶は配給していますが(笑)
糸井 じゃぁ、サークルのようなもの?
店主 そうですね、今のところ、
サークルのような感じです
糸井 そうなんですね。
いやぁ、すっきりした(笑)
一同 (笑)
糸井 いか文庫はどうなりたいんですか?
野望をおききしたいです
店主 そうですね‥‥。
野望というか、最終目標のようなものは
特にないんです。
それをつくってしまうと、
『これだけしかやりません』となってしまいそうで。
今は、わたしたち3人でいただいた仕事を
できるかどうか考えて、できるんだったら、
3人で力を合わせることはもちろん、
友だちの力も借りて、
いろんなものをつくっていくと
活動をつづけているところです
糸井 ほかのお二人は、どう考えているんでしょう?
バイトくん ぼくらの一番の弱みであり、
強みであると思っているのは、
『なにもない』ということです。
野望とはちがうかもしれませんが、
自分たちが楽しくできることを
やっていこうと思っています
バイトちゃん 店主は本当の書店のスタッフですし、
バイトくんは本の編集やブックデザインが本業と
ふたりとも本の業界に身を置いているんですけど、
わたしは全然ちがう世界で働いていて。
いか文庫とつながったのも、
いか好きだったからなんです(笑)。
もちろん、本も好きです。
そういうわたしでも、
本のたのしさやおもしろさを伝えていけるのが、
いか文庫かな、と思っています
糸井 いかを売るっていうのは、ないの?(笑)
店主 ゆくゆくは、あるかもしれませんね(笑)

なごやかなムードで、
いか文庫さんたちとの会話は進んでいき、
やがて糸井が
なぜいか文庫さんにお会いしたいと思ったのか、
その動機を話しはじめました。

「今、本ってすごくもったいないと思うんです。
 本をつくっているのは出版社ですが、
 出版社は本が売れないと困っちゃいます。
 だから、どんどん本を出さなきゃいけない。
 なんていうか、すべてではないんですけど、
 本が価値ではないところで
 売られている感じがあるんですよね。
 そういう自分も、アマゾンでとにかく買って、
 あまり読まないうちに処分することもあります。
 極端な話、読みたい本があれば、
 図書館に行けばいいという考えだってあるでしょう。
 ぼくは、こういう本の不幸な状況を、
 出版社や書店ではない人が変えていくんじゃないかな、と
 思っていたんです。
 いか文庫さんの存在を知って、
 この人たちが何をしたいのかを
 とりあえず知りたいと思って、
 一度お話しましょうと声をかけさせていただきました」

今後、いか文庫さんがどうなっていくのか、
「なにもない」ということで、
なにができて、どうつながっていくのか。
ご本人たちが一番未知に感じられているようでしたが、
お会いして、わたしたちもたのしみになりました。

短い時間でしたが、
とても刺激的で、たのしい時間を過ごすことができました。
いか文庫のみなさん、ありがとうございました!

【いか文庫さんの今後の予定とお知らせ】

●紀伊國屋 新宿本店にて、
 いか文庫フェアの開催決定!

詳しい日程は現時点(2012年11月30日)では
決まっていないそうなのですが、
「紀伊國屋 新宿本店」にて、
12月の中頃から1月いっぱいにかけて、
いか文庫フェアが開催されます!
今回は、どんなコンセプトで
どんな本をセレクトするのでしょう?
まだ謎ですが、詳細が決まれば
いか文庫のFacebookにアップされるほか、
いか文庫のTweeterでもつぶやく予定です。
ちょこちょこチェックしてみてください!

●『いか文庫新聞』の第3号が
 12月1日から順次、配布されます!

不定期発行の『いか文庫新聞』、
第3号が発行されます!
この第3号には、
「ほぼ日」に遊びにきてくれたことも
書かれているんですよ!
下記の書店やカフェなどに配布予定で、
配布先はこれからも徐々に増えていくと思います。
『いか文庫新聞』を見かけたら、
ぜひ手にとっておうちに持って帰ってくださいね。

BOOKSルーエ(吉祥寺)
beco cafe(西荻窪)
六次元(荻窪、ブックカフェ)
紀伊國屋新宿本店

●2012年内に、
 ウェブサイトとブログを開始予定!

現在、いか文庫さんは
FacebookTweeter
情報の発信地となっていますが、
ウェブサイトとブログを年内に開始できるよう、
ただいま準備中。
詳しいことが決まり次第、
FacebookTweeterにて
お知らせする予定です。
どうぞ、たのしみに待っていてください。

 

2012-12-03-MON