yeah!yeah!yeah!
ジブリの
鈴木さんがやって来た。

すぐに観られる映画じゃないけど、
あの鈴木プロデューサーが次に動くのは、
『ホーホケキョ となりの山田くん』なのだ!

いつの完成予定なのかちゃんと聞いてなかったけれど、
「もののけ姫」の次のスタジオ・ジブリ作品は、
『ホーホケキョ となりの山田くん』なのである。
高畑勲さんが監督をする番なのだということについては、
誰でもうすうす気づいていたとは思うのだが、
鈴木敏夫さんがプロデューサーを
するであろうということについては、
誰も考えもしなかったことだろう。
それは、「今日の朝日は、東から昇るんだろう」
と考える人がいないのと同じ事だ。

鈴木さん
鈴木さんは、ほとんど突然という感じでやってくる。
鈴木さんがやってくると、もう後戻りはできない。
ぼくは、ミーティングという名の
「濁流にも似た大イベント」にまきこまれ、
脳とボディを工業用洗濯機に入れて
1日回しっぱなしにされたみたいな状態になる。

こんどのジブリ作品がどういうものか、
よくわからないうちから、
ぼくは「その、まだ作りはじめたばかりの映画」を、
いま見終わって感動に打ち震えている
人間にさせられてしまうのだ。
(あ、言い忘れていたけれど、ぼくは、「となりのトトロ」
以来ずっとスタジオ・ジブリの映画の
専属コピーライターみたいなことになっているのです。
光栄です「信長の野望」じゃないけど)。
だから、ぼくにとっては、
もうすでに「となりの山田くん」は、
「ほんんとおおに、おもしろかった」
映画なのである。

これが、鈴木プロデューサーの魔術なのである。
 ぼくは、鈴木さんを信用している。
 鈴木プロデューサーは(中日ドラゴンズファンだけど)、
  次の映画を狂熱的にぼくに語る。
 信用している人がこれだけ熱く語る映画は、
  ぜひ観たいと、ぼくは思う。
 でも、その映画は、まだできてない。
 「イトイさん、コピーください。いま、ください。
  あ、いまは無理ですか、
  じゃ、なるべく早くください」
  あっ、そうか、その観たい映画の、
  ぼくはコピーライターだったんだ、
  と我に返る。
 よーし、がんばるぞと思う。
 できる。
と、こんな感じで鈴木さんとの仕事は展開していく。
1から7まで番号は打ってみたけれど、
めちゃくちゃじゃないか。
1〜4は流れるように繋がっているけれど、
5からが、怪しい。
だけど、ほんとうに、
こんな進みかたをしているのだ。

今回のミーティングでの、鈴木魔術のひとつふたつ。
「台本でもわかりますよね?
えっ、台本、届いてないですか。
今回は台本あるんですよ。珍しいでしょ。
あしたまでには、送っておきます」
このとき、ぼくは、台本さえあれば、
簡単にコピーなんか作れそうだという
気持ちにさせられていました。
「こんどの方法論は、いままでの
アニメの作り方をやめちゃってるんです。
背景のリアルを追求することは、もう、
行くところまで行っちゃったんですよね。
だから、ぜんぶ、ひとつの平面のなかに
アニメーションをつくっていくんですよ。
遠景、中景、前景の3枚重ねじゃないんです!
(ふーん、なるほどなぁ、
マンがの画面が動くみたいな感じかぁ、
と、ぼくが思っていると。
鈴木さんは急に小声になり、
にやりと笑いながら)・・・
なのに、制作費は「もののけ」より
ンン億も余計にかかるんですよ」
おいおい、どういうことだよ?!
簡単に作れるのかと思ったら、カネかかんのかよ?
と、特大の疑問を持ってしまうわけで、
ここから鈴木さんの話をもっと
聞きたいと思ってしまうわけです。

ま、こんなことくらいしかまだ発表できないのだが、
『ホーホケキョ となりの山田くん』は、
もう作りはじめているわけで。
コピーも出来ちゃいないけれど、
また来年もタイヘンなことに
なりそうだねぇって気はします。
なんにも情報ないみたいだけど、
これはこれで、映画の話。

「もののけ姫」のビデオ、330万本いったらしいね。
あのコマーシャルフィルム、6種類あるの知ってた?
ぼくは、知ってた。
作った側のひとだから。
みんなのご希望があれば、リアルビデオで、
6本一挙公開なんてこともできるかもしれないから、
メールでもください。

1998-07-04-SAT

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