MORIKAWA

森川くん、人工知能の本をここで再編集。

<おまけ_AI対談#2>

公立はこだて未来大学の松原仁先生(★1)との
対談第二回目です。
そして、「マッチ箱の脳web編」最終回です。

さて、松原先生は、ロボットの研究の方でも
有名な方なんですが、ロボットの話を伺うだに、
人工知能も我々の知能も、
「脳」単体じゃダメなんだ、
ボディーの感覚も必要なのよ、
ってあたりで共通しているっていうのが、
大変おもしろいですね。
そういう意味で、今後の人工知能の進化は、
ロボットと切り離しては考えられないようです。
ぼくは個人的には、ロボットと家電も
人工知能も切り離して
考えられない時代になっていくような
予感がしますってところで、
どうも、長いこと、おつきあいありがとうございました。

以下、「ここ掘れ!プッカ 公式ホリまくりガイド」より抜粋(★2)

「20年くらい前から人工知能は、
 身体性が非常に大切になってきてますね。」
■■ 森川さんは、
これまでAIを使ったゲームを
作ってきたわけですが、
今後も続けていくんですか? 
それとも、たとえばロボットとかに
興味が移って来たりはしてないんですか?
森川 今興味があるのは
「真似」とか「経験」とか
「直感」とか「本能」とか、
そっちのほうですね。
コンピュータに真似させたり経験させるのって、
ボクが今まで知ってた
人工知能に対する教え方とは
まったく正反対のものの考え方なんだけど、
心ひかれるものがあるんですよ。
そうすると、
やっぱりボディをもったもののほうがいいから、
ロボットは..いいですよねえ? 
BPはすごい古典的で、
安定したモデルなんだけど、、
使い方が限定されてて
僕的にはもういいって感じかな。
GOFAIなんていわれますよね。
松原 GOOD OLD FASHONED AI、
古きよきAIですね。
新しいAIをやってる人たちが、
古い人たちを馬鹿にした言い方ですけどね。
森川 ブルックスでしたっけ?
松原 まあ、いいキャッチですよね。
やっぱり人をけなすときにはいいキャッチで、
レッテルを貼るのが正しいやり方ですね。
森川 ブルックスというMITのAI研究所の所長は、
ゴキブリ型ロボットのを作って、
これがガンガンに動くんですよね。
驚くべき早さで 障害物とかを
よけるらしいんですよ。
普通のAIのロボットなんかだと、
そのロボットにやさしい
特殊な環境でしかうまく動かないのが、
ゴキブリ型のやつは
ロボットに関係ないものを
そこらじゅうにおいといても動くという。
つまり、考える前にまず動いちゃって、
それでコケたりなんかした
身体からのフィードバックを
取り込んでいくタイプのロボットなんですよね?
松原 体育会系というか、タフなんです。
あまり考えずにね。
20年くらい前から人工知能は、
頭よりは体力というか、
身体性が非常に大切になってきてますね。
真似っていうのがゲームでできると面白いですね。
なんか人間が一人のプレイヤーがプレイしてて、
その登場している機械側がうまくマネる、
というシチュエーションが、うまくいくと。
人間も子供って
そうやって学ぶわけじゃないですか。
森川 まあ、今すぐにロボットとゲームを結びつけるのは、
なかなか難しいところもあるんですけど、
そっちのほうが、垣根越しに見ると、
楽しそうに見えるんだよねえ。
だから、こういうことしゃべってると、
なんかそういう話くるかなと思って(笑)。
松原 例えばソニーでは、
ロボットもゲームも作ってるわけですから、
ロボットがゲームになる日も
近いんじゃないですか? 
AIBOだって、このあとシリーズが続くとしたら、
やっぱりできる芸を
増やしていくことになるんで、
当然ゲームをさせるってことにもなって
行くんじゃなですか?
■■ 松原さんが関わっておられる
ROBO CUP(★3)なんかも、
ロボットを使ったゲームと言えますよね。
松原 そうですね。
それに、ROBO CUPも
AIBOリーグが一番観客に人気なんですよ。
感情移入しやすいんでしょうね。
2002年からは本田とソニーの
ヒューマノイドもサッカーするはずなんですよ。
あと、あのバンダイの
虫おもちゃ(ワンダーボーグ)とか
あるじゃないですか 
あれくらいだと値段的にも手ごろだし、
せっかくだから
あれ使ったゲームとかも出てくるといいですね。
森川 僕の場合、
今の標準的な
ゲームのコントローラでできるものに
もう退屈しちゃってるんですよね。
もっと外界の情報を使わないと、
予定調和の世界になっていっちゃうと思うんです。
コントローラーの先にセンサーつけて、
昆虫一匹おいて、
その昆虫から情報とりたいとか、
そういうのやりたいよね。
まあ、昆虫は死んじゃうからムリかもしれないけど。
そういう外界との接点があるほうが
広がるなと思うんですよね。
松原 それで、
センサーとかのインプット系だけじゃなくて、
アウトプットも、ミニ四駆みたいに
いじれるようになると面白いと思うし、
PTAにも受けそうだけど、どうだろう?
■■ AIBOも第2世代になって、
徐々に進歩してきて、面白くなってきますね。
松原 あれ、結構言葉を認識するんですよね。
初めての人がいきなりしゃべっても大丈夫ですね。
犬やペットに対する
言葉がだいたい入ってるんですね。
おすわり、とか。
森川 今、あのへんのセンサー関係では、
音声の識別なんかが一番面白いところですか?
■■ 『シーマン』とか
『ぴかちゅうゲンキでちゅう』とか
ゲームにも使われてますね。
松原 この10年で凄く進みましたよね。
IBMのVia Voiceなどもそこそこいけますし。
でも意外なことに音声合成がダメなんですよ。
まだコンピュータがしゃべる声ってひどいでしょ?
■■ そうですか。
結構進化しているのかと思ってました。
音素片合成とか。
松原 でもまだコンピュータが
しゃべってるってすぐにわかりもんね。
だいたい、今までのアプローチは、
本当の人間がしゃべった
音声データを切り貼りしているわけですよね。
そうすると、不自然ではあるけれども
元が人間の声だからそこそこ行けちゃう。
将棋のソフトの読み上げとかそうですよね。
将棋ファンなら知ってる
女流棋士の声をつかってやってんですよね。
だから将棋ファンはそれで満足するという(笑)。
■■ そこから先のアプローチが
見えてないってことですか?
松原 極端な話すると、
ロボットに物理的な
声帯を作って発声させないと
ダメだっていう説もあるんです。
でもその人工声帯の開発から始めたら、
時間もコストもすごくかかっちゃいますよね。
21世紀の間にはできるんだろうけど、
ここ数年とかじゃムリだよねっていう。
森川 それは面白いなあ。
でも、それ声帯の開発とかからやらないと
ダメそうですね。
人間のような声帯のようなブヨブヨした柔軟な...。
松原 金属的に作ってもぜんぜんダメでしょうね。
人工知能の学者の間では、
音声認識のほうがずっと難しいと思ってましたから、
これは予想外でしたね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
好き嫌いをもったロボット
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
森川 松原さんも最近書かれているような、
ロボットも好き嫌いとか嗜好を持つべきだとか、
感情を持つべきだとか、
本能みたいなものを持つべきだとか、
そのへんってどうなってるんですか?
松原 結論から言うと、
けっこう難しいんです(笑)。
まあ、人間が機械やロボットに求めるものは
2つのタイプに分けられると思うんですね。
ひとつは、人間にとっては、
単調でつまらない作業を、
安く早く正確にコンピュータにやらせたい。
■■ これまでのロボットの使われ方ですね。
松原 で、もうひとつは、
人間のように振舞ってよ、と。
人間少なくなってきたし(笑)。
■■ 少なくなってきたからなんですか!(笑)
松原 それでこの2つの要望をですね、
ある時期まで人工知能の研究者は
いいとこどりしようとしてたわけです。
「正確でなおかつ気が利く」
コンピュータ作ろうと思ってたんですね。
でも
「これはいくらなんでも
 無謀なこと考えているのだな」
ってことに気がつきはじめて(笑)。
こんなこというと心理学者は当たり前だ!
って言うわけですけども。
森川 たしかに当たり前ですね(笑)。
松原

いろいろやってみたけれど、
うまくいかなくて、
結局はどっちかしかないということに
なったわけです。
淡々と言われたとおりにやってくれる
コンピュータ作るか、
人間のように気が利くようにするかわりに、
ミスもするとコンピュータですね。
要するに人間のようにするってことは、
人間のようにポカもするし、
飽きたりもするし
間違えたりもするってことなんですね。
でも直感が働いたて、
ときどきいいこともするっていう。
このどちらにするのかっていうのは、
今後明確に分かれてくると思います。

■■ みんなが人間みたいにポカしたら、
危なっかしくてつかってられないですよねえ。
松原

原子炉とかねえ、
余計なところで
あんまり気を利かせてミスられても、
茨城みたいなことになっちゃ困るから。

■■ プッカみたいなヤツに
原子炉で働いてほしくないしなあ。
松原 でもこういうゲームのソフトなんかの場合は、
間違えても
そうは大きな問題にならないわけですよね。
死んだりしないですよね。
人間が「おお!?」
と思ってくれることをやってくれるほうが
よっぽど商品としても大事なわけで、
そういうのやらせたいっていうのが
今の人工知能全体的な流れなんですよね。
森川 具体的には、
どのように実現されていくんでしょう?
松原 うーん、たとえば直感とかについては、
僕は将棋の研究で
「そうだな、こっちの方向は確かにあるな」
と感じているのは
「パターン」を
認識しているんだろうってことですね。
人間が直感でいい局面を思い出すっていうのは、
将棋盤の駒の配置のパターン知識を
いっぱいもっていて、
盤面をみた瞬間に、
そのパターン知識の何個かがポッと浮かんでくる、
まあ、マッチングとれるわけですね。
並列でやるからね。
それを本人は、直感でわかったとか、
ここの駒が光った、
というようなことを言ってるんだろうと。
そういうことは
実験とかでわかってきたんですけど。
はたして、これをどうやって
コンピュータの上にのせるのか、
そのままのせればそれでいいのかということは、
これからですね。
■■ 好き嫌いに関してはいかがでしょう? 
言葉聞いただけでゲームに使えそうな
ニオイがぷんぷんするような気がするんですけど、
直感で(笑)。
森川 好き嫌いって、
コンピュータに経験させないといけないですよね?
松原 そうなんです。
生まれた時から好き嫌い持ってたら、
それは単にそういう
初期データ持ってるだけってことなので。
あるものを、
どうして好き嫌いになったかが重要ですね。
人間だと、だいたいの場合、
目の前の選択肢で
どっちを選んでもいいようなときに、
「たまたまこっち選んだら、よかった」
と感じたときに、
こっちのほうが好きと思ったりするわけです。
食べ物にしても、異性の趣味にしても。
本当にいいことあったかどうかはわかりませんけど、
主観的にはそっち選んでよかったと思ってる。
■■ いい結果だったものに似たものと、
わるい結果だったものに似たものがあったら、
そりゃあ前者を選びますよね。
松原 そういう経験をロボットなり、
ゲームのキャラクターにさせて、
失敗とか成功を積み重ねる中で
好き嫌いが生まれてくるわけですね。
まあ地道ですけどね。
最初は赤ちゃんロボットか
ら始まるということです。
赤ちゃんロボットといっても、
体はアカチャンに作る必要は無いんですけど、
精神は赤ちゃんのロボットを作って、
ずーッといろんな経験を積ませて、
ある程度、精神的に大人になったときに、
それまでの経験に応じて、好き嫌いをつくるという。
■■ 経験によって、
そのロボットだけの個性が作れますね。
松原 それに、好き嫌いのいいのは、
なんかを考えるなくちゃいけないときに、
結論を得るのに時間がかからないんですよね。
これ! これが好き! 
理屈は無いけどこれ! って。
実は、人生の大部分は
これですんでしまうことが多いんです。
じっくり考えて選んだ結論ではなく、
好き嫌いですぱっと決めた結論で、
そうは問題にならないこと多い。
しかしその経験を身につかせるに必要な
カラダというか、センサーの類が、
ロボットのハードウェア的にも
まだちゃんとしたものがないんですよね。
■■ ビデオカメラの目を持ったり
とかいうことですか?
松原 今はビデオカメラとか音声とか
触覚とかいろいろ増えてきましたけど。
人間がもっているセンサーからすると貧弱で、
ロボットの積む経験が人間より
ぜんぜん貧弱なので、
だから、まともな好き嫌いの学習が
今のレベルではできないんですよね。
まあ、これまではコンピュータの入力って
キーボードだけだったので、
どのアルファベットを
何秒おきに打ち込んだくらいしか
入力無かったわけだから、
それと比べると大きく進歩していると
言えないこともないけですけど。
森川 センサーが増えて、そこから取れる情報が増えて、
精度高めて、
過去の履歴がも含めて扱うことになると、
処理しなくちゃいけない情報が
もっともっとスゴイ量になりますよね?
松原 そうなんですよ。
今まで残念ながら人工知能って
そんな大量の入力を相手にしたこと無かったんで、
それに対応したアルゴリズムも
作る必要も無かったんですね。
使いようが無かったんで。
ですから、正直言うとまだどこにも作られていない。
だから、これからそういうのを
マジメにつくらないといけない。
森川 それは、強化学習のような
アルゴリズムなんですか?
松原 ですから、強化学習的ではあるけれど、
あんなちゃちな、
最後ゼロイチにするのでも
あんなに時間かかるのを、
そんなセンサーからの
大量の入力に耐えられるのかもわからないし、
各パラメータの調整の方法なども、
まだまだわかってないですから、
やらなくちゃいけないことだらけです。
口の悪い人は、
「いいよな、
  学習の研究やってると一生食っていけて」
とか言うんですよ(笑)。
研究者っていうのは、
ここまでわかったけど、
まだ先は遠いっていうテーマだと
ずっと論文書けるわけですよ。
もう私の分野は終わってしまいましたって言うと、
失業するわけですよね(笑)。
森川 それはすごい話なあ(笑)。
松原 でもマジメな話、
コンピュータチェスのプログラマなんて
半分失業ですからね。
ディープブルー作っちゃったから。
だから転身してますけどね。
碁にしようとか、ゲームかえるとか。
森川 厳しいですねえ。
松原 それでも僕としては、
人間ができている学習なんだから、
人工知能にできないはずがないっていうのが
直感としてあるわけです。
■■ まずは子供のようなセンサーを
ハードウェアを作ってみたいと
話ははじまらないわけですね。
松原 ちょうど僕の下の子供が小さいんですけど、
学習能力すごいですからね。
森川 3歳児まではすごいって言いますよね。
松原 すごいですね。
いや、人工知能の研究者は
大体自分に子供ができると
「いままのでAIは間違っている」
って言い出すって話があって、
こいつらなに親バカしてるんだ、
って思ってましたけど、
ボクも自分に子供ができたら
「やっぱりちがう」とか思って、
松原も結局親バカとか言われましたけど。
森川 て言うか、そういう目で
子供を見ているっていうのがスゴイですよね(笑)。
こいつの学習効率は...って。
松原 よく言われますよ仲間の研究者から、
『松原は松原の手法を子供に適応しているらしい』
とか(笑)。
でも自分の子供の観察はしますよ。
なまいきに食べ物の好き嫌いがあるんですけど、
これはどう学習したのか。
まあ、強化学習のようでもあり、
いろいろ混じってるような、
それほど単純じゃないみたいなんですけどねえ。
見れば見るほどど
人間が偉大だということがわかるんですけど、
そういうこと言ってるといつまでたっても
人間に追いつけないですから。
AIとロボットがいままでわかれてたっていうのは
むしろ歪んだ形なので、
これからは正しい方向に
行くんじゃないかと思うんですけど。
森川 ところで、
我々は今どうやって認識してるのかとか、
どうやって記憶して、
どうやってそれを
呼び起こしているのかとかについて、
人工知能の方々はそれを記号化して、
解きほぐすことを研究されてたと思うんですけど、
今の真似するとか、模倣させるというのは、
その記号化の過程を飛び越して、
知能に近いものを作るってことなんですか?
■■ どうやってるかわかんないけど、
コピーしちゃえってことですかね?
松原 確かに記号にするのに
四苦八苦してうまくいかないので、
真似するとか直感とか言ってるんです。
むかしながらのブルックスが
批判してたような
オールドファッションのAIの場合は、
その方法で人間のようなものができたときには、
人間のすべてが
解析できたときだという目標というか
夢があったわけですね。
予測可能性もあるし、
科学的に再現可能性もあると。
でもその方法だとうまくいかないから、
わからないまま作っちゃえという
方法になってきてます。
ただしその場合は、
人間のようなものができても、
プログラムの中身はぐちゃぐちゃで、
人間が解読できないようなものに
なっているでしょうね。
個々のパラメータをみても、
なにを意味しているかわからないばかりか、
多分その頃には
自分勝手にパラメータを付け加えるような
機能も当然あると思うので、
プログラマーは最初パラメータ5個で与えたのに、
賢くなった中身を見ると
パラメータが30個あったけど
そのなかの25個は意味がわかんないととか。
森川 ブラックボックスだと(笑)。
松原 僕には、森川さんが
どうやって話しているかわかんないように、
そのロボットもどうやって
話しているかわからない。
これはAI研究者としては残念ではありますが、
今のところはそういう方法でないと
人間のような知能というのは、
あまりにも複雑すぎて実現できないだろうと。
今までの学問のようにいくつかの式を立てて、
10個の方程式があって、
人間の知能を10個の方程式で
ぜんぶ解けるとかいう、
そんな生易しいものではないっていうことわかった。
ですから、哲学者などからは、
このアプローチは非難されてます。
「人工知能は明示的な知っていう、
 記号として書き下すってところに、
 いいところがあったはずなのに、
 それを放棄して真似だけするとは何事だ!」
とね。
真似っていうのはそうですね、
理解して無くても真似られるわけですからね。
森川 「人工知能」って言葉自体が
失敗したからもしれないですね。
当時の、デカルト的な狭義な知能ですよね? 
あれ、アーティフィシャル・・・・ハートとか、
マインドとか言ってたら、
ずいぶん研究の方向がちがったかもしれないですね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
AIでゲームを進化させる
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■■ 人工知能が体を手に入れたり、
進化することで、
ゲームにいろいろ応用できそうで夢が広がりました。
それ以外にゲームとの係わり合いで
利用できそうなことってありますか?
松原 よく話題に出るのは、
ゲームの制作についてですね。
ひとつ作るのにお金も期間もかかるし、
すごく大変そうじゃないですか。
しかも、お金かけたからといって当たるとも限らない。
■■ あたたた。
松原 もちろんプロの方は経験から、
ある程度方法論おもちでしょうけど、
もう少し学問的っていう言い方もへんですけど、
理論をもって整理できたら、
我々も嬉しいし、
業界の人もうれしいんだろうなあっていうのも
ありますね。
でもゲーム業界の人とお近づきになっても、
成功例は聞けても、
失敗例は聞きにくいねえとはいってて、
どうしてこれはずしたと思いますか?
っていうのも聞かないといけない
森川 作り方の研究ってしないんだよね。
内容については
いろいろディスカッションするけど。
じゃあ、どのような制作体制にすると、
よりリスクが小さいとか、
いい結果になるかとかについては
話を聞かないですよね。
松原 それと、面白いレベル、
人間が面白いと思うゲームっていうのは、
どういうクラスなのかっていうのも、
みんな勘でしかしかわかってないですよね? 
映画はもうちょっと
そのへん研究されていると思うけど、
ゲームはあまり進んでないようですね。
森川 こりゃあはまるよ、
とかいう話で終わっちゃいますよね。
それ以前にジャーナリズムもない。
松原 将棋でいうと、
なぜ将棋盤が9x9か
という研究やってる人いますよ。
森川 ああ、それは面白そう。
奇数なのはなんとなくわかりますけどね。
松原 そうなんです。
奇数じゃなけりゃいけないらしいんだけど、
7x7じゃなくて、
11x11じゃなくて、
なぜ9x9なのか、とかね。
囲碁もむかしは大きいのと
小さいのと両方あったらしいんですけど。
今のカタチに落ち着いている。
そこに、ゲームとして
長持ちするなにがあるんだと思うんですよね。
■■ 淘汰されてきてるんですね。
松原 平安時代には、
すごいデカイ将棋もあったんですよ。
「王子」がある将棋とか。
王がとられると「王子」が「王」に
昇格して続けられるとか。
これも、戦争としてはそっちのほうが
リアルなんだけど、廃れてしまいました。
駒が100個以上あって、
延々と続いちゃうから、
平安時代の貴族はできても、
江戸時代にはできないとか、
庶民にはできなかったんでしょうね。
いずれにしてもAIの手法を使って、
ゲームを進化を予測することは
できるかもしれませんね。
森川 誰かやればいいのにね、
ゲーム進化の淘汰圧とかいって。
どんな環境からの圧力によって、
ゲームはこう進化したとかって。
■■ じゃあ、いっそのこと、
それをゲームにすれば一石二鳥じゃないですか?
森川 またそういう売れなそうなことを言う(笑)。

(★1) 松原 仁
まつばら・ひとし。
公立はこだて未来大学システム情報科学部教授。
専門研究分野は、人工知能、認知科学、ロボティクス。
『コンピュータ将棋の進歩』(共立出版)、
『鉄腕アトムは実現できるか』(河出書房新社)など
著書多数。
本人によると、鉄腕アトムを作ることを目指して
研究をしている、とか。


(★2)ここ掘れ!プッカ 公式ホリまくりガイド
双葉社 1300円 2001年8月下旬発売予定




(★3)RoboCup
大ざっぱに言えば、ロボットによる
ワールドカップサッカーを目指すもの。
ロボット工学と人工知能の日本の研究者たちによって
提唱されたものです。
2002年には人型ロボットによるリーグが
開幕する予定とか。
http://www.robocup.or.jp/

2001-08-13-MON

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