春待つ あまおういちご大福

立春をむかえ
バレンタインも過ぎると
あ、もうすぐ春なんだなぁ。。。と、
肌寒さのなかにも感じるようになりますよね。

満を持しての
いちご大福なのです。

去年の8月、持田香織さんとはじめて
出張マリーな部屋といいますか、別名
お菓子食べ部として菓子会合を開きました時に
(あの折もたくさん読んでくださって
 ありがとうございました。)
「このいちご大福がおいしい!」
我を忘れてわたくしが力説してしまった
いちご大福がこれです。

その折にも白状したのですが、
いちご大福、わたくしめはちょっと苦手なのです。
いや、苺も好きだし、大福も好きだけど
できれば別々に食べたいな。。。と
常日頃、思ってる派なわけです。
ショートケーキも、人目さえなければ
まず苺をはずして食べてしまってから
“苺の香りのするクリームがたっぷりのケーキ”
として食べたいです。
フルーツサンドも人生で1回くらいしか
食べたことないかな。。。
あ、でも
ピザの上のパイナップルはそんなに苦手じゃないという、
恐らく他人には全くわからないかもしれないけど、
自分としては譲れないラインがあるのですね、
果物と菓子(パンを含む)の相関関係においては。

まぁそんなこと、どうでもよいのですけれど、
このいちご大福は、別格なのです。

花びら餅、うぐいす餅、草餅、さくら餅と
すこしずつ、すこしずつ、
気温も緩み、水も温(ぬる)んでくるのに合わせて
春待つ菓子たちが、その訪れをおしえてくれる早春。
このあまおういちご大福も、白くなめらかな餅と
ちょこっと顔を出すあまおうの苺色が
淡い春を告げているような風情です。

しかしですね。。。
こんなにみずみずしくて、あまくて
おいしいものだとは思わなかったのですよね、
いちご大福というものが。
この、あまおういちご大福に出会うまで。

苺だけで食べたくなるような酸っぱさも際立たず、
どちらかというと、お餅と白餡に包まれたことで
あまおう苺が一層おいしく思える食感。。。

赤坂の「松月」さんのご主人が研究を重ねられた結果だと
思うのですが、脱帽というか天晴れというか
このひと粒に「ありがとうございますっ」と
言いたくなる感じというか。

先代のご主人も、丁寧で誠実な仕事ぶりが
そのまま込められた
おいしい和菓子をずっと作ってらっしゃいましたが、
その味を守りつつ、
よりおいしく新しいものを作り出していく
跡継ぎのご子息のこと、
嬉しく誇らしく見守られてるのだろうなぁ
と、あまおういちご大福を頬張りながらしみじみ思う春先。

まだ、二度三度ほど寒さも戻るかもしれませんけれど、
どうか、良い早春を。

 

2016-02-06-SAT