こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。 とおくパリの都で歌って踊る日本人ポップデュオ、 レ・ロマネスクをご存知でしょうか。 パリコレでライブとかやってるし、 パリの映画祭でマスコットみたいになってるし、 すごいな、人気者なんだな、 めちゃくちゃピンクでまぶしいなあ‥‥と思って よーく見てみたら、 片方の人、高校時代の知り合いじゃないですか。 そんなご縁もあったので、 日本にいらっしゃるタイミングを見計らい、 インタビューさせていただきました。 「パリでいちばん有名な日本人」レ・ロマネスクは いかにして生まれたのか‥‥と。
パリでいちばん有名な日本人と呼ばれて。
── そちら「込み」ですと
2メートル超えてきそうですね、身長。
TOBI 超えるでしょうね。
── ブーツも、KISSのジーン・シモンズみたいな
厚底のタイプを履いてらっしゃいましたし。
TOBI グラムロックから影響を受けている、
という意味で、
KISSの姿勢には共感するところがあります。
── 隣に並べたら天国と地獄みたいですね。
でも、グラムのご出身なんですか。


隣に並べたところ。
左:レ・ロマネスク『ダンディズム!』
右:KISS『地獄からの使者』(ともに紙ジャケ仕様)


TOBI 出身というわけではないのですが、
グラムロックにはオマージュを捧げています。
── 一説にグラマラス・ロックの略だとも言われ
ハードロックとパンクロックの間に
一瞬だけ咲いた、きらびやかな時代のあだ花。
TOBI いかにも。
── 具体的にはTレックスとかデビッド・ボウイ、
モット・ザ・フープル、
そしてロキシー・ミュージック‥‥などですが
たしかにTOBIさん、
シルエットにしたらマーク・ボランみたい。
TOBI でも、僕たちのスピリットとしては
「ジョン・レノン」なんです。
── どういうことですか?
TOBI (情感たっぷりに)
AMOUR ET PAIX.(アムール・エ・ペ)
── ‥‥「LOVE & PEACE」と。
TOBI このピンク色の衣装も、そこはかとなく
『サージェント・ペパーズ・
 ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に
オマージュを捧げています。
── ビートルズの名盤ですよね、それ。
TOBI そして、頭の上のエッフェル塔とティアラは
Queenとプリンスのために。

Queenとプリンスは、
もう名前からしてリスペクトしていますので。
── 女王さまと王子さま‥‥。
TOBI さらに、マイケル・ジャクソンと
タカラヅカにも
大きなインスピレーションを受けていて‥‥
あっ、しゃべりすぎてます?
── いえいえ、そんなことないです(笑)。
たくさん、しゃべっていただかないと。

ちなみにMIYAさんは
あんまり発言なさらないんでしょうか。
TOBI 彼女は「アシスタント」という立ち位置なので
しゃべって
「ウィ」か「トレビアン」くらいです。
MIYA ウィ(はい)。
── なるほど、承知しました。

たぶん今、多くの読者が
「何なんだろう一体?」というモヤモヤ感に
包まれていると思うので
急いで話を先に進めたいと思います。
TOBI お願いします。
── TOBIさんとMIYAさんからなる
ポップデュオ「レ・ロマネスク」さんは
「パリでいちばん有名な日本人」として
かの有名な「パリコレ」でライブをしたり
パリの映画祭で
かの有名な「ジェーン・フォンダさん」とともに
公式マスコットを務めたりされています。
TOBI ええ、第8回パリシネマ国際映画祭では
ジェーン・フォンダと、
パリ市長と、
レ・ロマネスクが「広報大使」でした。
── 日本での知名度は、まだそれほどでもないとはいえ、
最近ではNHK教育の
小学3年生から6年生までの国語の教育番組
『お伝と伝じろう』に出演されはじめ。
TOBI はい。あくまで本業は、歌と踊りですけれど。
── そうなんですよね。

僕が、きちんとレ・ロマネスクを認識したのも
一昨年、おふたりが
「フジロック」に出演されたからなんですが‥‥。
TOBI ええ。
── フジロックの出演アーティストを見て
「へー、こんなピンクの人たちも出るんだ」
と思ったわけではなく、
地元の友だちから情報が回ってきたんです。

「ミヤマエさんフジロック出るらしいぞ」と。
TOBI ‥‥なるほど。
── というのも、いま目の前にいるMIYAさんとは
地元が同じで、
高校生のときからの知り合いだったんです。
TOBI 聞いてます。
── しかも、MIYAさんのお父上は
僕の通っていた中学校の先生でした。
TOBI 深い因縁を感じますね。
── だから「えぇっ!?」と思って。
TOBI はい。
── 「え、フジロック? 何で!? すっげー!」
みたいな。
TOBI そうですか。
── そこで、いろいろと調べを進めていったら
あの「懐かしきミヤマエさん」が
このようなお姿の「MIYAさん」となり、
とおくパリの都のステージに立っていたんです。
TOBI ビックリなさったことでしょう。
── はい、ポカーンとしました。
TOBI ポカーンとですか。ははははは。
── いそいで、YouTubeなどで検索しました。

そして、レ・ロマネスクさんの
「拙者サムライダンディー」となどを聴くにつけ、
「むかしの知り合いがいるバンド」
ではなく、
一組のアーティストとして
レ・ロマネスクさんに惹かれていったんです。
TOBI そして今日のこの日があると。
本当にありがとうございます。

ちなみに「拙者サムライダンディー」は
僕らのなかでも、最高のポップチューンですから
ぜひとも聴いていただきたいですね。
── じゃあ「ほぼ日」のページに
YouTubeのリンクを貼りつけてもいいですか?
TOBI もちろんいいですよ。どんどん貼ってください。

まずは「ほぼ日」読者のみなさんに
「歌を歌ってる奴らだ」ってことを伝えないと。
── そうですよね。
TOBI むしろ、そこを見てもらわないと
何のことやら、サッパリわからないでしょうし。
── たしかに。

でも、MIYAさんがフランスに行ったことは
当時、なんとなく聞いていたんです。
でも、こういう展開になってるとはつゆ知らず。
TOBI この予想は不可能でしょう。
── ですから、本日のインタビューでは
「いかにして
 レ・ロマネスクは生まれたのか、パリで」
という部分からおうかがいできればと。
TOBI わかりました。
── パリコレに出‥‥。
TOBI ええ。
── パリの映画祭のマスコットとなり‥‥。
TOBI はい。
── 「パリでいちばん有名な日本人」
と呼ばれるまでの、その道のりについて。
TOBI お答えできる範囲で、がんばります。
── ちなみに、携帯ストラップには?
TOBI なってないです。
── 携帯ストラップには、まだなってない。
TOBI はい。まだ、なってないです。
<つづきます>
拙者サムライダンディー
PV撮影時、ロケ地のお寺さんから
「絶対に門から外へ出ないでくれ」と言われた、
レ・ロマネスク最高のポップ・チューン。

2013-08-19-MON