クマちゃんからの便り

イチジクのフィボナッチ





陽が甲斐嶽に沈む四時を回ると急に気温が下がる。
すっかり刈り入れが済んで、
里山もボチボチ紅葉に染まりはじめた。

三年目のイチジクも夏場は順調で
今年こそはと思っていたが、
このひと月はいつまで経っても大きくならない。
一〇個ほどしかない果実は、
このまま朽ち墜ちる気配である。
やっぱしダメか。

敷地自体が河原だった処だから、
栄養も少ない土質は水ハケが良すぎて、
保湿能力がないのだ。

そして地面にちかい根元に
見覚えのある小さい孔を発見した。
これは以前もやられたテッポウムシ
(カミキリムシの幼虫)の仕業で、
またアイツにやられちまったのだ。

このイチジクは以前テッポウムシに倒された
イチジクの枝の先だ。
切り取った数本を地面に挿木しておいたものだ。
あれから数年、やっと育って実をつけたところで
またテッポウムシである。

テッポウムシに弱い遺伝子を
受け継いでしまったとしか考えられない。

葉っぱの蔭でヒッソリ寄せ合っている
不運で貧相な果実が傷ましいから、
全部枝から取ってヌカ漬けの壺に埋めてやった。

浅漬けにしてメシの友に喰うことにした。

植物的ジカンにめまいしながらも、
悔しいからジロジロとイチジクを観察する。
一枚目の葉っぱからラセン状に上昇しながら、

ふたたびその葉っぱの真上の位置にくる
葉っぱまでの枚数を数えていた。

どの枝もみんな五枚なのだが、
へなちょこイチジクが1/5という
フィボナッチ数を見せてくれたコトで我慢する。

今年もまたスダさんの庭に咲いたイチジクを、
彼のオッカさんに煮て貰うことになるのだろう。
これを冷やして喰うのが
オレの望みだったんだが…。



ホームページの内容が大充実にリニューアル。
充実した作品群をお楽しみください。
http://www.kuma-3.com/

クマさんへの激励や感想などを、
メールの表題に「クマさんへ」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2006-10-17-TUE
KUMA
戻る