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 『一度だけ』
 古内東子

 
2000年(平成12年)
 アルバム『Dark ocean』収録

「ちがうよ」と答えながら
そうだったらいいのに、
と心の底から思いました。
(ひだまり)

一度の たった一度だけのキスでも胸に残ってる


大学生だった4年間ずっと
私は彼の「親友」でした。

ふたりで並んで授業を受けて
一緒に食事をして
ひとり暮らしのアパートで
空が明るくなるまでいろんなことを話して。

つきあってるんでしょ? と
彼の友達からも
私の友達からも何度も聞かれました。
そのたびに「ちがうよ」と答えながら
そうだったらいいのに、と心の底から思いました。

彼には忘れられない人がいました。
結婚を考えてつきあっていたのに、彼女の親に反対されて
おたがい好きなのに別れて
彼女の親に認めてもらうために
きちんとした仕事に就こうと一生懸命な彼に
「すき」と伝えることはできませんでした。

日々は流れ
卒業が近くなったあの日
帰り道、私のアパートまで送ってくれた彼に
ひとつだけおねがいごとをしました。
「キスして」と。
そのキスをもらって
彼の「親友」として過ごしたことを
思い出にしようとしました。

そして
それがまさかの満塁逆転ホームランになり
今、彼は私のパートナーとして隣にいます。
(ひだまり)

一度のキスがすべてを変えた!
すごい。そんな力のあるキス、
きっと一生に一度、なんだろうなー。
そしてそれは誰でも持つものではない気がする。
いや、誰もが持っているちから、
なのかもしれないけれど、
きっと最高のタイミングで使わないと効果がなくって、
そして逃してしまったらもう二度と使えない。
ほんとうに魔法のようなものなんじゃないかな。
まるで古いディズニーの映画みたいだ。

じぶんはそんな経験はないままに生きておりますが、
(ひだまり)さん、ほんと、すごい。
一度だけのキス、
同じように胸にかかえていくつもりでも、
この結末だったら、ぜんぜん意味がちがうものねー。
おしあわせに!!

きゃー、出た!
恋歌くちずさみ委員会名物、逆転満塁ホームラン。
きっと、並んで授業を受けて、
食事して、夜明けまで話して、というところで
ランナーは溜まっていたんですよね。
(合ってるかしら、このたとえ)
思い切ったお願いごとが走者一掃、
よかったですね!!!
そんで、ランナーがキャッチャーと抱き合って
一発逆転よ。
あ、キャッチャーは敵なのか。
おめでとうございます!! わーい。

ホームランの場合は、なぜか、
「走者一掃」とは言わないんだよなぁ‥‥
という話は、どうでもええねん!
出ましたーーー。
恋歌くちずさみ委員会名物、
「ラスト3行のどんでん返し」!
しかも、今回は「ぴったりラスト3行」!
いや、そこはそんなに
こだわるところじゃないだろ。

しかし、あれですねぇ、
ラストの3行がなくても
十分にしみじみとしたいい思い出だったのに、
出ると思わなかった、どんでん返し。
思えば、今年の甲子園も逆転が多い。
ああ、野球の話をふくらませてすみません。
マジカルなエピソード、
どうもありがとうございました。

え? ホームランの場合は
「走者一掃」って言わないの?
一掃するのに。なんで??
という野球の話はともかく、
実にもう、スカッとした急転直下のお話でした。

やっぱりね、
「キスして」と、
これが言えるか言えないかで、
人生は大きく変わるわけで。
「言わない美学」も、もちろんありますが、
男も女も度胸一発、
玉砕覚悟で正直な気持ちを表明するっていうのは、
とても健全なことだと思います。
(ひだまり)さん、
いまごろいうのも妙ですが、
ナイスホームラン(グータッチ)。

‥‥グータッチの使い方があやしいですが、
今回はこんなところで。
強度の野球ファン1名と野球しらず3名で構成される
「恋歌くちずさみ委員会」でした〜。
土曜日に、シー・ユー・アゲイン!

2014-08-20-WED

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