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 『Goodbye Day』
 来生たかお

 
1981年(昭和56年)

彼は、20歳下。
私は彼に恋をした。
(ぺこ)

また一日
おだやかならば それでいい


彼との出会いは6年前。
地元のダーツバー。
彼はまだ20代前半で、酔っぱらっては悪ノリしていた。
40代独身の私からすれば、20歳下の世話の焼ける男の子。
でも、なんかほっとけない。

その後、彼が隣の県に転勤したので、
軽いノリで「遊びに行ったら観光案内してくれる?」
と訊いたら、「いいですよー!」とこれまた軽いノリでレス。
20歳下。
だけど、独り暮らしのオトコのところへ
独りで訪ねるのも・・・なんかね。
「彼女欲しいんですよー」と言っていたから、
同じ趣味の同年代の女の子を連れて行こう。

そして、彼は彼女に恋をした。

デートに誘ったり、プレゼントを贈ったり。
だけど、彼女はなかなかハッキリしない。

その逐一を報告してくる彼。
気付けば、彼女より私と過ごす時間のほうが、
圧倒的に多くなっていて。
そして私も、彼と過ごす時間を
楽しみに待つようになっていて。

ほぼ毎週末、明け方までドライブしていた。
カーステからは、彼の世代の曲が流れてくるけど、
私にはサッパリ???

そんなある日。カーステからは私の世代の曲が。
「今日は、あなたにも判る【昔の歌】を
 入れてきたんですよー」
「昔って何よ! 喧嘩売ってるなー」

そんな他愛も無い会話の中で流れて来た
『Goodbye Day』。

「この曲、会社の飲み会で、
 あなたと同年代の人が歌っていたんだけど、
 イイ歌ですよね」

そして、私は彼に恋をした。

それからは、彼が彼女のことで報告するのを聞くのが辛かった。
それが、良い報告でも、悪い報告でも。

出会って5年目のお正月。
二人で初日の出を見に行った帰宅後のメールで
「彼女との報告を聞くのは辛い」と彼に伝えた。

数週間後、彼から呼び出され、
「この間、言われたこと、いろいろ考えていて・・・
 俺が勝手に勘違いしているのかもしれないけど・・・
 あなたの気持ちに応えることはできない。
 20歳上の人とは付き合えない」と告げられた。

そりゃ、そーだよね。
彼の人生はまだまだこれから。
結婚して、子供が生れて、普通の家庭を作って行きたいよね。
そして何より、彼女のこと、まだ好きだよね。

イイ年したオトナなのに、
自分の気持ちをハッキリ伝えなかった私のことを、
ちゃんと考えてくれてありがとうね。

数ヶ月後。
彼からシレっとメールが。
「ダーツ行きません?」

その後も、2ヵ月に1度くらい
「ダーツ行きませんか?」のメールが届く。
そして、律儀に(?)ダーツだけでバイバイ。

この先、彼と会えなくなってしまうことが
あるのかもしれないけれど、
今は、この穏やかな時間があれば、それでいい。

(ぺこ)

「年齢なんてただのナンバー」
ということをたしか以前、ここに書きました。
それはいまだに、ほんとにそうだと思い続けています。
その意味でも、
気持ちを伝えた(ぺこ)さんは、
すばらしいと思うのです。
結果はともかく、
伝えないことには次へと進めませんものね。
(ダーツに誘われるいまの関係は
 もしかしたらちょっとつらい状況かもしれませんが)

『Goodbye Day』、すてきな曲です。
来生たかおさんの曲を
まとめて聴き直したくなりました。

いろいろあったけど、
いろいろあったからこその、
年下のダーツ友達ができたわけですね。
2か月に1度、ダーツだけでバイバイ、
すごくいいじゃないですかー。
そんなとくべつな、
年下の男友達がいる女性って
すごく素敵だと思います。

来生たかおさん(作詞はお姉さんのえつこさん)は
「セーラー服と機関銃」、
「シルエット・ロマンス」
「セカンド・ラブ」などの
ヒット曲でも有名ですけれど、
ご本人の歌もすごくいいですよね。

「ほぼ毎週末、
 明け方までドライブしてた」って
そうとう濃い関係ですよね。
恋愛に進展しなかったとしても、
よっぽど「合う」なにかがあったんでしょうね。

そもそも、
「彼女との報告を聞くのは辛い」
と伝えるのも、そしてそれにこたえて
「あなたの気持ちに応えることはできない」
と返答するのも、お互いがそうとう
わかりあってないとできないこと。

なんというか、その信頼関係を
うらやましいなあと思います。
あと、ふたりの間に
「ダーツ」っていうものがあるのも
関係の隠し味なんだろうなあ。

それはそうと来生姉弟、いいですよね。

20歳上の人とはつきあえないのかぁ、そうかぁ。
歳の開き、というよりも、もしかしたら
歳が上、ということが問題なのかな。
反対意見もあるだろうけれど、
なんだか男性は「年下が好き」「下であればいい」
ということが多い気がする。なんででしょうね。
まぁ、こう言ってる私も、
恋愛対象としての男性は年上が好きです。

でも、この彼はすごいですね。
6年間も思いつづけてる彼女がいて、
(まだハッキリしないままのかな)
それを友人に報告しつづけていた‥‥。
そっちの恋愛もひじょうに気になります。
思いきって「彼女との報告を聞くのは辛い」と
投げかけたメールについて、
いろいろ考えてきっぱり断ってくれたことは
ありがたいですね。
そのうえで友情を築こうとしてくれているのだったら
なおいいと思います。いいなぁ、友情関係!

もし歳が上ということでどうしても
恋愛につながらないのであれば、
それはそれ、大事な人はもう、友人でいることが
いちばんいいのではないかと思います。
ちょうど、おだやかな時間の流れを心地よく思う
「Goodbye Day」の人のように。
来生たかおさんってやさしい声ですよね〜。

今回も、すてきな投稿、
ほんとうにありがとうございました。
また土曜日にお会いいたしましょう。

2014-06-18-WED

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