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 『tiny pride』
 クラムボン

 
2010年(平成22年)
 アルバム『2010』収録

やっぱり、
このひとでよかった、
と思うんです。
(ふじさん)

欲しいものなんて大したものじゃなくて
かすかに感じるその優しさ
そして確かに覚えているぬくもり
抱きしめていたい


顔はタイプじゃなかったんですよね。主人のこと。
でも、
ずっとずっと彼を尊敬し、
こころが追いかけていました。
気づかないうちに、好きになっていたのです。

告白したのもわたしから、
結婚したいと言い出したのもわたしから。

淡白なひとです。

主人がもともと好きで、
ひとりでライブに出掛けていたのが、
クラムボンというバンド。
クラムボンの、お気に入りの曲を集めたCDを焼いて、
プレゼントしてくれました。
ま、それもわたしが頼んだんですけどね(笑)。

いっしょにライブにいって、
いっしょにくちずさむようになりました。

この曲は結婚式場を決め、準備をはじめたころに、
発売されたアルバム(「2010」)に入っています。

式の準備のあいだも聴いて。
「これはぜったい使おう」といいあって、
当日の会場で流し。
新婚時代から、
いまでも。
とくに、無口な主人と静かに衝突したときに、
ひとりで聴いています。

熱いひとではないし、
口下手で、
けんかのあとのフォローもない。
めったに謝らない頑固なひとです。

でも、この曲を聴くと、
ふたりで歩んできた年月がよみがえり、
やっぱり、
このひとでよかった、と思うんです。

昨年の出産のとき、
分娩室でずっと手をにぎってくれていたこと。
息子にむける静かで確かな愛情。
あたたかな笑顔。

ほんとうはとても寂しがりやだということも、
結婚して知りました。

これからも、おなじようなことでけんかしながら、
やっていくのでしょうね。
それでいいや、それがいいな、って思ってます。

いまでも彼をこころから尊敬しているわたしです。 

(ふじさん)

「ほんとうはとても寂しがりやだということも、
 結婚して知りました」
すごく好きで結婚したのに、
ますます好きになっていく。
それも、じんわり。
‥‥いいですねえ‥‥。
読み進めるうちに、ひなたぼっこをしているような、
静かなみずうみのほとりで気持ちのいい風に吹かれて
のんびりしているような、そんな気分になりました。

そして、クラムボンは、こういう、
静かだけれど根の張った
「つよいきもち」をうたうのが
ほんとうに上手だなあと思います。
だんなさんも、そんなところが
好きなのかもしれないですね。

ところでぼくのまわりにも
「顔はぜんぜんタイプじゃない」はずの相手と
いっしょになって、
とってもうまくいっているふたりは多いです。

いつもは淡白な人なのに、結婚式の曲決めでは、
「これはぜったい使おう」と盛り上がっちゃう。
いいなぁ。
その光景を思い浮かべると微笑ましくて、
読んでいるだけで幸せになって、
そしてそう、武井さんと同感、
読み進めるにつれてどんどんぽかぽかと
あたたかい気持ちになりました。
静かでやわらかくて、でも揺らぎのない強い関係。
「分娩室でずっと手をにぎってくれていた」
というフレーズに、その確かさを感じます。

顔のタイプって、
やっぱりみなさんあるんでしょうかどうでしょうか?
自分自身のことを考えると、はっきりないのかも。
よく耳にする言い方ですが、
「好きになった人がタイプになっていく」
という、タイプだと思います。

送っていただいた文章を読んで、
気持ちとことばの微調整が
上手だなぁ、心地よいなぁ、と思いました。

無口な彼に対して、
やれやれと思う一端と、
それでもこの人でよかったという一端の、
どちらかに寄らずふらふらと揺れて
それでも「この人でよかった」のほうへ
最後は着地するような心持ちの表現。

推測ですが、無口な人とずっといて、
自分の気持ちと向き合っていると
そういう、現在地の確認の精度が
よりきめ細かくなってくるのでしょうか。
それとも、そういう人だから
彼とめぐり会ったのかな。

クラムボンのこの曲、ぼくも好きです。
結婚式にクラムボンが流れるのは
なんだかいいですね。

そのままの自分を出せる相手がいて、
それを受け入れてくれることはとても大事だな、と
最近、よーく思います。
それは、家族でも友だちでもいいと思うんですけど、
いるといいなぁ。
外でどんなことがあっても
ひとりぼっちじゃないと思えるから。

でも、だからといってその人が
ぜんぶを理解してくれているわけじゃあないんです。
お互いにそう。
衝突することだって、あります。
ゆずれないことも、あります。
あんがい許せないことも、あります。

それでも、まぁ、水にながせたり、
あきれられたりしながらも、
いっしょにいたいな、と思えるのがいいですね。

しんどいときに手をにぎってくれる、というのは
幸せのなかでも最高級のものだと私は思います。
いいなぁ!
あとね、あたたかい笑顔ね。
あたたかい笑顔とやさしいまなざしはたまらんですね。

2010年ですから、
ご結婚されて4年ほどになるのかな?
うっとり‥‥となったところで、‥‥ん?
私、この「恋歌くちずさみ委員会」の
4番手に書くの、久しぶり?
最後しめるのって、どうやってんだっけ。
ま、いいか。今回はこのへんで。
また土曜に、お会いしましょう。
はやくあったかくなーれ。

2014-03-12-WED

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