合唱組曲『チコタン』
 1.なんでかな?

 
1969年(昭和44年)

彼はとにかく私のことが、
きっとすごく好きなんです。
  (かなころりん)

なんでかな? なんでかな?
なんでこないに好きなんかな?

先日、結婚しました。

この曲をはじめて知ったのは小学生の頃。
同じ小学生ながら、
立派な恋愛とやらをしている主人公の『僕』に
憧れと若干の恥ずかしさを感じました。
当時の私にはまだ、
『恋をする・される』感覚は全く分からず、
目線はもっぱら『僕』。
私もいつか『チコタン』みたいに大事に思える人見つけて、
好き好き言うたんねん!!と
ライバル心もあったりな感じでしたが‥‥
まさか『チコタン』側になるなんて。

彼と一緒にいるとき、
私へのニコニコとした視線を感じるとき、
私の事を『かなころりんちゃん』と愛しそうに呼ぶとき。
私の頭の中でこの曲が流れ、
彼の心と歌詞とが重なります。
そのまっすぐな想いに心があたたかくなります。
とにかく私のことが、きっとすごく好きなんです。
たぶんですけど。

九州出身の彼が、
こんな大阪弁丸出しの歌を知るよしもないのですが‥‥。
食べられてもいいかも。

私たち、幸せです。

(かなころりん)

この合唱曲をはじめて聴きました。
ぜんぶで5つの歌からなる組作なんですね。
(かなころりん)さんが投稿してくださったのは
その1曲めにまつわる思い出でした。
1曲めは、小学生の主人公の男の子が
チコタンという女の子のことを
とにかくもう、好きで好きで! という歌詞です。
まっすぐなんです。キュンキュンします。
で、その歌詞の最後が、こうです。

 ぼくは あなたを……
 食べてもたろか!

(かなころりん)さんが書いている、
「食べられてもいいかも。」
は、この歌詞に応えているのですね。

キュンキュンしながらこの組曲の
残りの4曲を聴いて‥‥ことばがなくなりました。
この投稿のテーマとすこし離れるので、
組曲全体の感想は書かずにおきます。
機会があれば、みなさんも聴いてください。
(関西ではとても一般的な合唱曲だとあとで知りました)

と、曲の解説はこのくらいにしまして、
肝心の投稿内容。
これは、もう、いいなぁ。
「ヒューヒュー物件」ですねー。
すばらしいなぁ。
よ! いいぞいいぞ! です。
純粋、まっすぐ、ストレート。
かわいくって、スカッとしてて。
明るい「のろけ」は、ぼくは大好きです。

自分のもやもやした気持ちを代弁してくれるのが
ラブソングだと思っていたのですが、
そうじゃないこともあるんですね。
それは、いただいた投稿の
「彼の心と歌詞とが重なります」のことです。
自分の気持ちではなく、
相手の気持ちを歌が代弁してくる経験です。
特に、気持ちがまっすぐな人と恋愛すると、
ありきたりのように思っていた歌詞が
とつぜんリアルに耳に響いてきて
感動したりしていました。
彼もこんなふうに、私を好きなのかもしれないな、と。

『かなころりんちゃん』、なんとすばらしい。
そういう強い思いに、うしろからついていくうちに
こっちだって負けないくらいに
好きになっちゃうんですよね。

食べられちゃってください。いつまでも、なかよく!

そっかあ、
「相手の気持ちを歌が代弁してくる経験」って、
‥‥ないですよねえ、なかなか。
たとえば、「ぼくの気持ちはこの歌だよ!」
なんて、手渡したとしても、
素直に喜んでもらえるとは限らないし。
ていうか、ぜったい困ると思う。
「えー。重たいんですけど」
とか言われちゃったりしそう。
いや、言われた経験はないですよ。
そういえば昔、友人女子が
「ぼくの気持ちですって言われて元彼が
 中島みゆきの『二隻の舟』をくれたんだけど、
 ‥‥重かったーっ!」
って言ってました。
思いの強さを歌に託すのはやっぱり難しい。

でも(かなころりん)さんのように、
相手の知らないところで
「こうなんちゃうかな、ふふふふ」
と思える曲に出あう、
そして相手にめぐりあうことの幸福!
ああうらやましい! 
そうだそうだ食べられちゃえ!

この曲、なぜかぼくは知ってました。
タイトルを読んだとたん、
「あの曲だ!」ってメロディーが
最初から最後まで浮かんできました。

もう、何年も、いや、何十年も
思い出したことのない曲だったのになあ。

「恋歌くちずさみ委員会」というコーナーには
そういう「こんな機会でもないと接点なかったよ」
みたいな効果もあるんですよね。

すてきな思い出、ありがとうございました。
それでは、次回は土曜日の更新で!

2013-07-17-WED

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