『守ってあげたい』
 松任谷由実

 
1981年(昭和56年)

不安のほうが
大きい私に対して、
夢のほうが
大きい彼に惹かれました。
 (おはつ)
守ってあげたい
あなたを苦しめる
すべてのことから

初めて付き合った彼は同級生で、
お互い受験を控えてました。
デートと言っても隣町の七夕祭りと
電車で名古屋の栄をウロツクくらいで‥‥。
将来の夢より不安のほうが大きい私に対して、
夢のほうが大きい彼に惹かれました。
そんなとき、流行っていた曲が「守ってあげたい」。

彼の夢が叶うようにとの思いを込めて、
よく歌ってました。

そして、受験の結果は、彼が合格。私は不合格。

夢に一歩近づいた彼と夢を諦めて就職した私は、
お互い距離が出来‥‥。

と、ドラマならそんな風になるのでしょうが、
ダラダラと付き合いが続き、今に至っております。
結婚して、銀婚式も過ぎ、孫もいます。

飛行機に携わる仕事には就けなかった彼ですが、
ラジコンの飛行機を飛ばして、
夢を追う少年のままでいてくれるのが嬉しいです。

(おはつ)

エピソードのなかで
3年、5年、10年と
一気に時間が経過することもある
「恋歌くちずさみ委員会」ですが、
(おはつ)さんには驚かされました!

「結婚して、銀婚式も過ぎ、孫もいます。」

って! わー! 素敵だなー!
孫がいるお年になった女性が、
受験を控えた頃の恋のはなしを
こんなにビビッドに覚えているなんて、
そのことも、すばらしいです。
ぽわーんとしあわせなきもちになりました。

ぼくも、「守ってあげたい」は
ユーミンの楽曲のなかでも、
とても好きな曲のひとつです。
「初めて言葉を交わした日」や
「夏にトンボを採った」こと、
「日暮れまでレンゲを編んだ」ことを、
いまから振り返るかたちで詞にしていることが、
(おはつ)さんの投稿とつながる気がします。

わーーーー、びっくりしたー。
うまいっ! という話じゃないですけど、
いやー、うまいっ! と言わせてください。
「夢に一歩近づいた彼と夢を諦めて就職した私は、
 お互い距離が出来‥‥」
というところは、
なーーーんちゃって! ということでしょう?
いやぁ、すごいな。まいりました。

「ダラダラと付き合いが続き、今に至る」
とありますが、
ラジコンを追う旦那さまを見る目は
飽きたり呆れたりしている感じではありません。
ダラダラをこんなに
うらやましく思ったことはないです。
お互いを大切に思う気持ち、
キラキラした恋の時代を共有していること、
子を育て、孫をはさんで
いくつもの日常を重ねてきたこと、
友情と尊敬。
「ダラダラ」は人生そのものの時間、
幸せタイムですよ。
そしてテーマソングが「守ってあげたい」。
言うことありません!

す‥‥すごい‥‥。
たった1行の「大河ドラマ」。

 結婚して、銀婚式も過ぎ、孫もいます。

すばらしい‥‥。

 結婚して、銀婚式も過ぎ、孫もいます。

驚いて→笑って→感動しました。
その順番でこころが揺さぶられました。

 結婚して、銀婚式も過ぎ、孫もいます。

わざと、あえて、
ここを雑に書いていらっしゃいますが、
読んだぼくはこの一行に含まれているものの奥行きに
じわじわと胸をうたれます。

ラジコンの飛行機を飛ばす彼のそばには、
きっと、お孫さんもいるのでしょうねー。
テーマソングは、「守ってあげたい」。
最高ではないでしょうか。

まるで、映画『フォレスト・ガンプ』
のような投稿です。

「日暮れまで土手にすわりれんげを編んだ」
という一行が想起させる風景は、
ベンチで過ぎた昔を回想するガンプに似て。

あと、あらためて驚いたんですけど、
30年前の歌なんですね!
『守ってあげたい』って。
そのとき受験生ってことは、
そうか、孫がいてもおかしくないのか。
なんか、そんな昔の歌に思えないんですけどね。

「ザ・ベストテン」で
ランクインするんだけど、
歌手はいつも出てこなくて
子どもごころに不思議だったなぁ。

ああ、なんだかこっちまで
「フォレスト・ガンプ」モードになります。
シネマティックな投稿をありがとうございました。

次回の更新は土曜日。
みなさまからの投稿、お待ちしています。

 

2012-10-03-WED

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