『おだやかな構図』
　山口百恵

　1979年（昭和54年）
　アルバム「A Face in the Vision」収録曲

七夕の日、
こんなにすてきな投稿を掲載することができました。

波瀾万丈でドラマチックなみなさんのエピソードに、
いつもこころから驚いたり、感心したり、
ハラハラしたりしているのですが、
（香珠）さんのこの静かなお話にも、
それらに負けない強さがあると思いました。

「キスしたことのある男性は、今の彼だけです。」

結婚して25年になるご主人のことを、
ごく自然に「彼」と書いている、すてきさ。

最後の（わりとね。）も、たまりません。
かわいくて、やさしくて、たのしそうで、まろやかで。

コップに注がれた
ものすごくおいしいお水をすっと飲んだような、
そんな読後感でした。

「少恋」と「多恋」にざっくり分けるなら
たぶん後者であるぼくですが、
ひとつの恋を、
だいじに、たからもののように
ちっちゃな赤ちゃんをいつくしむみたいに
大事にしている（香珠）さんのことを
うらやましいくらいに、すてきだと思います。

そうだよそうだよ、
たくさん恋をしたからといって
えらいもんでもないし
経験が少ないことを
経験が多い人から
とやかく言われる筋合いもない。
（多少、アドバイスできることは
　あるのかもしれないけれど、
　でも基本的に恋の相談って、
　いくら親身になっても
　「余計なお世話」だったりするし！）

『おだやかな構図』の二番の歌詞に
こんなくだりがあって。

　お茶を入れて　そばへ置くと
　やっと眼を上げ　低い声
　ありがとうと　やさしく笑う

うむ、おだやか〜〜〜！
ああ、ぼくもお茶、いれよう。
自分にだけど。

むかし、テレビで作家の田辺聖子さんが、
どうしてそんなに恋愛小説が書けるんですか、
たくさん恋愛をなさったからですか、
と問われて、
「数は必要ありません。
　どれだけおおきな恋愛をしたかですよ」
と答えていらっしゃいました。
（と、思います。小さかったので
　記憶違いだったらすみません）
ほんとにそうだろうな、と、この歳になって思います。

ああー、きっと「モモエちゃん」も
（香珠）さんのような、すてきな日々を
送っている気がする！
三浦友和さんが最近出されたエッセイのタイトルが
『相性』というのも、なんともウットリです。

そして、子どもが巣立ったあとのことは
自分にとって未知の世界。
（わりとね。）と言えるようになったら
いいなぁ、と思いました。
最高に幸せな人生です、って
みんなで言い合いたいなぁ。

いやぁ、ほんとにうらやましい。
お茶いれよー。

なんというか、
若い人の、結婚したちょっと後くらいの
文章かなと思って読んでました。

「二人の子どもにめぐまれ」とあっても、
印象が瑞々しく、真新しい家に住む
若い家族をイメージしました。

ですから、最後の３行で、25年が過ぎたとき、
うわあ、と驚いてしまいました。
といっても、それは印象が裏切られた、
というようなことではまったくなく、
「そのままで、月日が過ぎたんだ」
ということに対する、
尊敬に似た気持ちが湧き起こるような
「うわあ」でした。

添えられたのがこの曲っていうのも、いいなあ。
ついでに、百恵ちゃんのジャケットもいい。

すてきなメールをありがとうございました。
みなさまもお気軽に、ぜひどうぞ。