『家に帰ろう
 ~マイ・スイート・ホーム~』
 竹内まりや

 
1992年(平成4年)

 私、夫に
 恋してたんだ!
 (ちーこ)

見飽きたはずのあなたでも
いとしい My sweet sweet home

恋というのは、
胸がきゅんとなって
せつなくなって、ドキドキして
それはそれは特別な感情なんだと
思いこんでいました。
そして誰もがそんな感情になることが
必ずあるはずと信じていました。

そう、恋とは特別、極上の感覚と
思いこんだ私は
「この人、一緒にいるとなんかほっとする」
なんていうのは、恋なんて思わなかったのです。

そんなぼんやりいい人にプロポーズされ
結婚。
こんなほんわかした感情が恋なんだろうか???
もしこれから胸キュンな人に出会ったら後悔??
なんてことをずっと考えていました。

結婚して26年。
駅で待ち合わせて雑踏の中から夫をみつけると
ふっとうれしくなって、
笑顔になっている自分に気がつく。

おたがいの車ですれ違うとき、
笑顔で小さく手をふってくれる夫にうれしくなる。

「こんなの好きだと思って」といって
借りてきてくれたレンタルDVDが
どんぴしゃ好みの時なんかも
めちゃくちゃうれしくなる。

そんなとき、頭の中を
竹内まりやさんのこの歌が流れます。
この歌をはじめて聴いたとき、
私、夫にずっと恋してたんだと
気がついたのです。

(ちーこ)

なんじゃこりゃー。
いいなぁいいなぁ。

結婚26年、夫をみつけて
ふっと笑顔になるなんて、
うらやましすぎます!!!

この歌は
「冷蔵庫の中で 凍りかけた愛を
 温めなおしたいのに」
という部分が、たしかCMで流れてましたよね。
「心帰る場所はひとつ」というところで
じわっと優しい気持ちになります。
私も大好きな歌です。
いいなぁぁぁぁぁ。

なんじゃこりゃー。
こんなん、ありかー。

率直にいって、たいへんうらやましい。
あ、これじゃ、スガノのコメントと
ほとんど同じじゃないか。

それにしても「結婚して26年」って
さらっと書いてらっしゃいますが、
それだけの年月を重ねてなお、
この文面の若々しさ、みずみずしさは、
いったいどういうことなんでしょう。
だって、26年ですよ?
町田先生の教師生活より長いんですよ?

いやー、参りました。
だんなさんがこれを読んだら
さぞうれしく、
さぞ照れるだろうなあと思いましたが
きっとこういう、
ほんわかとしたすてきなだんなさんは、
奥さんのあらためての告白を目にすることもなく、
静かに、愛され続けるのだろうなあと思いました。

それにしても、なんじゃこりゃー。
こんなん、ありかー。

ああ‥‥すてきです、ほんとうに。
恋心の燃やし方って人それぞれですよね。
(ちーこ)さんの、
自分でも気づかないほど静かな恋のともしび、
いいなぁと思いました。
ぽっとともった灯を、ながく、ながく‥‥。

結婚して26年。
いろいろなことが、ないわけがない年月です。
悲喜こもごもを、
ふたりで経過してきた、今、
こんなにやさしい関係でいられるなんて‥‥。

「雑踏の中で夫をみつけて、うれしくなる」
「車ですれ違うとき、笑顔で小さく手を振る」
「好みのDVDを借りてきてくれる」

ちいさな出来事かもしれませんが、
どれも豊かで、あたたかさを感じるエピソードです。
読んでいるこちらの「胸がきゅん」となりました。

テレビで、いなかで農業をしている
明るいおじいちゃんとおばあちゃんが
なんでもないような取材を受けていて。

「おらぁ、このヒトと、
 顔も見ねえで結婚したんだァ」

と、おばあちゃん。

おじいちゃんも

「そりゃおめえ、オレもおんなじだァ」

そしてふたりで

「あっはっはっ!」

幸せですかと訊かれると

「なーに訊いてんだー。
 あーっはっはっは!」

おばあちゃんは照れて、
それがとってもかわいくて。
ふたりからは、愛だとか恋だとか
そういう言葉は出てこなかったけれど、
そっか、むかしの人は、
こうして結婚して、関係をつむいで、
深めていったんだよなあ、
と、しみじみ思ったのでした。
ウチの両親なんかを見てると、
なんか最近(トシをとってから)
仲良くなってるんじゃないの?
と思うこともあります。

ああ、しみじみ、いいお湯につかったみたいな
そんな気持ちになりました。
どうもありがとうございました。

激しい恋もかなしい恋も
あったかい思い出も、恋歌にのせて。
みなさまからの投稿をお待ちしています。
次回は水曜日更新でーす。

 

2012-06-30-SAT

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