いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

いつかくるその時、自分は何を思うのか、
分からないふりではいさせてくれないこの曲‥‥
(投稿者・hiyori)
『Believe』
 岡村孝子

 1988年(昭和63年)
 

My恋歌ポイント

 さよなら 私が決めた答えだから
 思い出抱きしめて 心の瞳をとじた

彼は職場の上司で、なんとなく一緒に食事に行って、
なんとなく関係が始まりました。

お互いに結婚はおろか恋人もいない、
何の問題もないのに、
「どちらかに恋人ができるまで」という、
あいまいな期限付きのなんとも言えない関係。

それはつまり、私たちが
「本当の」恋人同士になることは永遠にない、
ということ。

もちろん職場の人たちには内緒。

「彼女のような」振る舞いをするのも気が引けて、
自分から電話やメールをすることはほとんどありません。

なのに、気まぐれな彼が
「ご飯行く?」とメールや電話をしてくれば
すぐに飛んでいけるよう、
携帯と時計を見比べながら
夕食の準備をぎりぎりまで引き伸ばす私。

会いたいとも言わずに待つだけなんて
「不倫か!?」と自分で突っ込みながら・・・

酔ってカラオケに行けばハマショーの
「もうひとつの土曜日」を
思い入れたっぷりに歌い上げ、
私にはこの曲を教え込む彼。

いったい何を考えて・・・と私が深読みしていることも、
実は頭のいい彼にはお見通しなのでしょうか。

いつかくるその時、自分は何を思うのか、
分からないふりではいさせてくれないこの曲を歌うのは、
正直ちょっとしんどいのです(笑)。

きっと私たちの間にも
「さよなら」以外の答えはないから。

ぼちぼち30を過ぎ、
都合のいい女はいい加減卒業しなきゃ、
と思う今日この頃、
本当は(?)前向きでもある歌詞をかみしめて、
いつか私の「恋歌」になるのかなぁと、
まだまだ切ない気持ちで、
ひとり口ずさむようになってしまいました。

ひょっとして彼にとっては、
かけがえのない「恋歌」だったりするのかな・・・
なんていらぬ想像をしながら。

ああ、これはつらい。
恋のもやもや、胸のいたみ、
せつない気持ちはすべて
「もしかしたら叶うかも」
という明るい未来にむけて
放つべきものであるのに、

“お互いに結婚はおろか恋人もいない、
 何の問題もないのに、
 「どちらかに恋人ができるまで」という、
 あいまいな期限付きのなんとも言えない関係”

って!!
結婚してたり恋人がいたりするのに、
そういうことになってる苦しさとも違うし!
いや、それがいいとは言いませんけど。

“気まぐれな彼が
 「ご飯行く?」とメールや電話をしてくれば
 すぐに飛んでいけるよう、
 携帯と時計を見比べながら
 夕食の準備をぎりぎりまで引き伸ばす私。”

わかりますよ、ええわかりますとも。
(hiyori)さん、
まさしく恋のど真ん中にいるじゃないの。
うっかりしたな、おぬしが足を踏み入れた場所は
底なし沼じゃよ!

それにしても、ヤツはずるいね。
ずるい男だよっ。
って、そんなふうに言うと
(hiyori)さんは
「そんなことない‥‥」って言うのかな。

いっそさあ、friends with benefitsだと
割り切れればいいのかもよー。
でもそういうわけに、いかないから、
こんなことになっちゃってるんだよねえ。
ああ。
(結論めいたものがないままに、次の人にパス!)

わわわ、急にパスがきた!
ど、どうしよう、困ったな‥‥。

‥‥じつはいま、
「そういう関係はやめましょうよ(hiyori)さん」
というアドバイスのようなことを長々と書いて、
ぜんぶ消しました。
やっぱり簡単にそんなことは言えません。
武井さんの言うとおり、
(hiyori)さんはもののみごとに恋に落ちているわけで。
進むも引くも、おのれの自由なわけで。

‥‥ただそれでも、
相手の上司さんに対して好感を持てない自分がいます。
(hiyori)さんにとって、
いちにちもはやくこの曲が、
あまずっぱい記憶の恋歌になりますようにと願います。
(結論がまだまだ曖昧なまま、ほい、パス!)

パシッ。
受け取ったよ、パスは。
受け取ったけども‥‥。

会いたいと言わせてくれない、
頭のいい彼。
ホントに「本当の恋人」には
ならないのかな。
「もうひとつの土曜日」の
指輪の彼が現れるまでってこと?
わからなーい、
大人でずるく頭のいい男、わからなーい。
(わからなさすぎてパスッ!)

ああ、もう、もやもやしたパスが回ってきた。
しかも、おれの胸には斜めのタスキが。
これってひょっとして、アンカー?

まとめられるわけもないのですが、
まとめに向かうしかないですね。

たぶん、これは、「片思い」なのでしょう。
「片思い」の、一風変わったかたちなのでしょう。
かなってるようで、ずっとかなわないようで、
出口のないかたちにねじれちゃってるけど、
やっぱりこれは「片思い」なのでしょう。

困ったときには
師匠のことばをひもときましょうか。
糸井重里はこう書いています。

「両思いのときだって、これは、ほんとうは、
 両側からの片思いであるとも言えるわけで、
 あらゆる他者との関係は、片思いですよ、ねぇ。
 しかも、片思いしている時間というのは、
 あんまり悪い気持ちでもないような。」

たぶん、あなたの友人がこの関係を知ったら、
あなたを思って憤慨するでしょう。
でも、まさに、ほら、
「片思いしている時間というのは、
 あんまり悪い気持ちでもないような。」

最後に、このコンテンツの趣旨である
「恋歌」という点に戻るなら、
この、しんどくて、せつなくて、
悪い気持ちばかりでもない
「一風変わった関係」を、
ぐるぐると追い求め、ぐつぐつと煎じ詰め、
なんとか、ようやっとことばにできたなら、
「わがままは 男の罪
 それを許さないのは 女の罪」のような、
「君を抱いていいの?
 好きになってもいいの?」のような、
「私を許さないで
 憎んでも覚えてて」のような、
「君は僕を忘れるから
 そうすればもうすぐに
 君に会いに行ける」のような、
魔法のフレーズにたどりつけるのかもしれませんね。

2012-02-15-WED

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