いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

学習雑誌の文通で知り合った、
文字も考え方も大人だったK君‥‥。
(投稿者・ノンノン)

『桃花源』
 歌/さだまさし

 1978年(昭和53年)
 

My恋歌ポイント

 あなたの便りが峠を越えて
 私のお家に届く頃

中学二年のころ知り合った文通友達。
学習雑誌の文通友達のコーナーで知り合いました。
私よりも、ちょっと街な三重に住んでたKI君。
文字も考え方も大人だったK君からの便りを
稲穂の実るこの村で待ってたあの頃。
この歌のような大人の女性になりたかった私。

「あなたを待つ日々の戯れにと、私は編み物覚えました。」
この女性に憧れて、編み物を始めたのもあの頃でした。

K君に憧れているのは今も変わらないです。
高校に入り疎遠になってしまった。
私は勉強より楽しいことがありすぎたの、ごめんね。

心のどこかで「あなたの便り」を待ってる気がします。
今も私はここに住んでいます。

自分にも夢見る少女の時があったのですね。

ありがとう。

まさか「桃花源」の投稿が
あるとは思わなかったなー!
この曲は「せい子宙太郎」っていう、
TBSの水曜ドラマ、
向田邦子脚本のドラマの、主題歌でした。
「ムー」が終わったあと、
「ムー一族」の前で、
わりとしっとりした人情ものだったので
小学生にはちょっと難しかったけど、
「桃花源」がとても印象的だったのを
よく覚えています。
フォークと唱歌とワールドミュージック
(という言葉は当時知らなかった)が
まざったみたいなのんびりした曲で、
最近の映画でいうと「初恋のきた道」
みたいな、そんな感じー。

それにしても!
文通! 文通だよ!
ぼくは文通の経験、ないんです。
ペンパル、いなかった。
募集告知は学習雑誌に載ってて、
「そこから恋に」
みたいな話はよく聞いたけど、
どうにも踏み出せなかったなあ。
想像するに、「投函してから、
返事が届くまでの、長い日数」って
ほんとにドキドキしそうですよね。
恋歌委員会で文通経験者いるのかな?

 

どっぷり文通経験者です。
青春の日々は
文通とともにあったと言っても
言いすぎではございません。

「学習雑誌の文通友達のコーナー」。
なつかしいですねー。
個人情報にきびしい現在では
考えられないことですが、
「ペンパル募集!」みたいなコーナーに投稿すると、
住所と実名をばっちり載せてくれたのです。

ぼくの場合はそのコーナーではなく、
中学卒業の引っ越しをきっかけとした
文通のはじまりでした。
熊本から福島へ。
「そちらは最近どうですか」
「きょうこんなことがありました」
何気ない便りに想いをまぜこみ、
手紙を書き続けた約2年半。
自転車に乗って学校から帰ると
郵便受けを真っ先にのぞき込むのが習慣でした。
そこに「それ」があったときのうれしさ!
封書の重さ、宛先に書かれた文字の癖、
封を切る前のどきどき。
ぜんぶまるごとありありと
前日のことのように覚えています。

それが終わったのは高校3年のある日でした。
返事の間隔がやけに長くなったなぁと
思いはじめたある日の手紙に。
「いま、大学生の人とおつきあいしています」

ぼくがこうして、
なんとか文章を書くことを仕事にできているのは
まちがいなく、あのころの文通のおかげです。
「相手にきもちを届けるにはどう書けば?」は、
そのときに多くを学びました。

というわけで、
(ノンノン)さんの投稿に刺激され、
どさくさにまぎれるかたちで、
まさかの、
(ノンノン)さんより長い投稿をしてしまいました。
ごめんなさい。
もうしません‥‥とは言い切れません。

あ、山下さんのそのエピソードが
ついに出たね。

「ぼくが文章を書けてるのは
 十代の文通のおかげ!」と
彼は胸を張って言い切ります。
うんうん。
かっこわるいことは
なんてかっこいいんだろう。

ぼくにとっての文通は
やはり引っ越しとセットなのですが、
小学校のときに何度か経験したそれは
数ヵ月で途絶えるのが常で、
「向こうに行っても忘れないよ」
というのは、うそじゃないんだけど、
ほんとじゃないんだよなあ、と
受け入れざるを得なかった自分がいて、
その軽い諦観はじつはいまも続いています。

といってもそれは虚無感を伴うような
からっからのものではなくて、
だからこそ、個々の機会を
ぎゅっと固めて信じ続けるような、
わりと前向きな気持ちなんですけど。

この時期のさだまさしさんは
聴いているつもりでいたのですが、
この歌は知らなかったなあ。

この「桃花源」を聴くと、
どんな人とも空でつながってるのね、
という感慨にひたってしまいます。

奥田民生さんの「野ばら」、
矢野顕子さんの
「湖のふもとでねこと暮らしている」なども
遠く離れた好きな人を思う歌ですね。
たまらないです。
相手の住む場所の天気はどうかな?
と思ったり、
好きだった花を机に飾ったり、さ‥‥。
せつない。

(ノンノン)さんのように、
ずーっと憧れてる人って
自分にいるかなぁ。
いたらすてきだなぁ。

ぽわわーん、としてしまう
すてきなご投稿を
今週もありがとうございます。

「そーいえば、自分のこの気持ち、
 送ってみちゃってもいいかも!」
というみなさん、ぜひ、
歌にのせて、メールをお送りくださいませ。
お待ちしています!

2011-11-26-SAT

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