NewsPicks + COMPOUND + ほぼ日 合同企画「経営にとってデザインとは何か」
プロローグ
経営とデザインの関係性について
考えるコンテンツを、はじめます。

こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。

会社の経営や組織の運営にとって、
「デザイン」の役割って、何だろう?

これから、しばらくのあいだ
「経営とデザイン」について考えるコンテンツを、
連載していこうと思います。

外部のメディアと共同取材していたりして
ふだんと少しちがうので
はじめに、前書きのようにして、
企画の趣旨を説明させていただきますね。

きっかけをくれたのは
ニュースサイトのUIデザインはじめ
アパレルや音楽関連のプロダクト・デザイン、
さらには
地域を活性化する事業などにも関わっている
デザイン事務所「COMPOUND」の
アートディレクター・小田雄太さんでした。

COMPOUND代表/アートディレクター 小田雄太さん

「経営とデザインの関係性について
 考えるコンテンツを、一緒にやりませんか」

‥‥と、ぼくたち「ほぼ日」と
経済ニュースサイト「NewsPicks」さんに
声をかけてくれたのです。

NewsPicks編集長 佐々木紀彦さん

小田さんは「デザイン」に関わる人ですし
小田さんなりの問題意識で
この企画を「やりたい」と思ったはずです。

でも、提案をもらったぼくたち「ほぼ日」は、
ちょっと考え込んでしまいました。

たしかに「デザイン」とは
商品開発をはじめ
現代のあらゆる経済活動に欠かせない
「大切なもの」だとされています。

でも、わかったような顔をしている
自分へ向けて
「デザインが大事って言うけど、
それって、具体的には、どういうこと?
見た目が良ければそれでいいの?」
と問いかけたとき、
自分を納得させる答えは出ませんでした。

ただ、少なくとも、
「町のパン屋さんが
オシャレな雰囲気に生まれ変わったから
取材して紹介しよう!」
ということではないだろうなと思いました。

また、「デザイン」という言葉が
いろんな場面で使われるようになった結果、
「それが指し示すもの」が
なんだか「あいまい」になっている感じも、
ちょっとだけ、していました。

ようするに、この時点では
コンテンツの「方針」をどうしたらいいか、
よくわからなかったのです。

三和酒類、明和電機、里山十帖。三者三様の会社に取材。

やはり「デザイン」というものは
プロダクトの表面の見た目のことだけでなく
「経営」にも、深く関わっている。

最後に、無理なく、こう思うことができたら、
この企画は成り立つように思えました。

でも、実際に「デザイン」というものが
その会社や組織の「あり方、経営方針」にまで
貫かれている実例を、ぼくらは知らない。

だったら‥‥。

だったら、思いっきり開き直って(笑)、
そういうケースを
取材すれば、いいんじゃないだろうか?

「知っていますよ」ではなく
「知りません」を前提に企画をすすめれば
へんに背伸びすることなく、
「経営とデザインの関係性ついての
 おもしろい話」が
聞けるんじゃないかなあと思ったのです。

そこで、何度めかの打ち合わせのときに
次のことを提案してみました。

  • 三者それぞれが、
    それぞれの動機や読者層などに照らして
    「経営とデザインの関係性」について
    話を聞いてみたい会社を挙げて、取材する。
  • 自分たちが挙げた会社だけでなく、
    他の二者が挙げた会社の取材にも同行する。
  • それぞれの媒体で、
    それぞれの編集方針や見せ方にのっとって、
    三つの取材をコンテンツ化する。

※掲載媒体は「ほぼ日」と「NewsPicks」、
そして
COMPOUNDはメディアではないので
小田さんが連載を持っている
「DOTPLACE」というWEBメディアです。

この作業を通じて、
「NewsPicks」という経済メディアと、
「小田雄太」というデザイナーと、
「ほぼ日」(という、何メディア?)の考える
「デザイン観」の「ちがい」が
見えてきたら、おもしろいなと思いました。

会社の経営や組織の運営にとって、
「デザイン」の役割って、いったい何なのか。

「こうだ!」という「唯一無二の結論」は
出ないと思いますが、
「経営とデザインの関係性についての実例」が、
少なくとも3つ、手に入るはずです。

そこからまた、
おのおのが、考えを深めていくのもいい。

それくらいの着地点を目指して
まずは、
肩ひじ張らずにはじめてみたいと思います。
うまくいくかはわかりませんが
お付き合いいただけたら、うれしいです。

そうそう、
三者が取材先として選んだ「会社」は
以下のとおり、です。

ほぼ日→三和酒類
© 三和酒類

→「いいちこ」の駅貼りポスターで知られる
 大分の酒造メーカー。アートディレクターの
 河北秀也さんが、ポスターからボトルの形まで
 同社のデザイン全般を手がけている。

COMPOUND小田さん→明和電機
© 明和電機

→国際的な芸術・先端技術の祭典
 アルス・エレクトロニカでも賞を受賞している
 芸術ユニット。作品制作や音楽活動のほか、
 「オタマトーン」などの商品もつくっている。

News Picks→里山十帖
© 里山十帖

→雑誌『自遊人』の創刊編集長である
 岩佐十良(とおる)さんが
 新潟県の古民家を改築して開いた宿泊施設。
 口コミで広まり、予約は常に混雑状態。

みごとに「三者三様」となりました。

小田さんの挙げてきた「明和電機」は
完全に「ナナメ上」でした。
(中小企業を装った芸術ユニット‥‥でありつつ
事実、何人ものスタッフを抱える、
じつに「中小企業的」な組織だったとは
知りませんでした)

NewsPicksさんの挙げた「里山十帖」も
「え、そっち?」という感じ。
(もっとビジネスっぽい‥‥というと変ですが
海外で好調の自動車会社とか
SNS企業などが来るかなと思っていたので)

ぼくたちは、ある理由から
「いい会社、やさしい会社」なんじゃないかと
感じていた大分の酒造メーカー、
三和酒類さんに、取材を申し込みました。

同社の「デザイン」に対する考え方が
「いい会社、やさしい会社」
という部分につながっているんじゃないかと、
つねづね思っていたからです。

ともあれ、さっそく次回から
三和酒類の名誉会長、
西太一郎さんのインタビューを開始しますね。

どうぞ、おたのしみに。


<つづきます>


2015-11-13-FRI