二通目のラブレター。 勝村政信さんから新宿の鮫島さんへ  読書家で知られる俳優の勝村政信さんが 「新宿鮫」の大ファンと聞き 先日、いさんで取材に行ってきました。 ‥‥んですが、話は「新宿鮫」だけじゃなく 「元気が出るテレビ!!」の思い出、 盟友・川村カオリさんのこと、 謎のバンド「ポークソテーズ」の話‥‥などなど 脱線に次ぐ脱線‥‥に次ぐ脱線! でも、話がぜんぶつながってる気がしたので、 ここにそのまま、掲載します。 文責は「ほぼ日」のサメ部門担当・奥野です。
第1回  それは 天才・たけしの元気が出るテレビ!!   2010-10-08-FRI のころ。    第2回 じつは 大沢在昌と新宿鮫へのラブレター   2010-10-12-TUE だった。  
第3回  そして ポークソテーズという仲間たち    2010-10-13-WED がいた。       第4回  それは 鮫島警部の一代記であり叙事詩    2010-10-14-THU である。  
── 勝村さん、はじめまして。
勝村 はじめまして。
── 今日は、勝村さんが「新宿鮫」シリーズの
大ファンだということで、
最新作の『絆回廊 新宿鮫X』について
お話を伺いにきたのですが‥‥。
勝村 はい。
── その前にすみません、勝村さんって
「元気が出るテレビ」
(『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』)に
出てらっしゃったじゃないですか。
勝村 ええ‥‥出ていました。
── 個人的な話で申しわけないんですけど、
あの番組、
小学生のときドンピシャだったんです、ぼく。
勝村 ああ、そうですか。
── ダンス甲子園、口ゲンカ王、元気が出るハウス、
ジェット浪越、エンペラー吉田、
デビル志垣、
早朝シリーズ、勇気を出して初めての告白、
幸せの黄色いハンカチなど
企画のすごさもさることながら‥‥。
勝村 はい、はい(笑)。
── 勝村政信さんという
若くてアイドルみたいな顔をしている人が、
なぜダンカンさんに
思いきりハリセンで殴られているのか。
勝村 あの番組のおかげで、
いまだに
ぼくのことを「たけし軍団」だと思ってる人が
いますからね。
── 今でこそアイドルは
バラエティ番組に欠かせない存在ですが、
あのころは、
勝村さんがダンカンさんに殴られるたび、
ギョッとしていました。
勝村 そこがおもしろかったんでしょうね。
── まさにそうです。
勝村 PTAのみなさんには、嫌われちゃいましたが(笑)。
── ははははは、無理もないです(笑)。
勝村 まぁ、ぼく自身も、いきなりあんな
バケモノみたいな番組に出ることになって。
── いきなりだったんですか、あれは?
勝村 ぼく、そのころ「第三舞台」という劇団に
所属していたんですけど、
演出のテリー(伊藤)さんや
日テレの「Tプロデューサー(土屋敏男さん)」が、
ぼくらの舞台を見ていて、
呼んでくれたみたいなんですよ。
── 勝村さんを。
勝村 そう、で、
劇団のマネージャーと会議に呼ばれたとき、
番組の上層部を前に
緊張でカチンコチンになっていたら、
テリーさんが
「あ、こいつなら大丈夫だから」って言って、
プイッといなくなっちゃったんです。
── はぁ。
勝村 床屋に行くとかなんとかで。
── ははー‥‥。
勝村 そうやって、わけのわからないまま、
レギュラーが決まっちゃったんです。
── 楽しかったですか?
勝村 そりゃあもう、あの人たちに会えるだけで
毎週毎週、ほんっと楽しかったですね。

たけし社長、松方(弘樹)部長、
高田(純次)さん、
木内みどりさん、兵藤ゆきさん、島崎俊郎さん‥‥。
── 野口五郎さんとかもいらっしゃいましたよね。
勝村 なかでも、川崎(徹)さんには
たくさんのアドバイスをいただきました。
── それは、どんな‥‥?
勝村 たとえば、素人のおばあちゃんに対して、
ぼくなんかは
なかなか、ふざけられないんですよ。
そんな、人生の大先輩に対して。
── ええ、ええ。
勝村 高田(純次)さんみたいな人は
まれなんです。
── なるほど(笑)。
勝村 でも、川崎さんが、
「相手は相手で、うれしいんだよ。
 おまえが硬くなってると、
 相手もつまんねぇから」って。
── ははー‥‥。
勝村 「もっと、自由にしていいんだ」と。
── それは、気づきにくいことかもしれませんね。
勝村 高田さんなんか、
いきなり「処女ですか?」とかって
聞きますからね。
── あはははは‥‥。
勝村 そのせいで、
韓国に入国禁止になってるくらいで。
── え?
勝村 当時の韓国って、
ほら、今よりもずっと厳しかったから。
── 「なんだ、この失礼な男は」と?
勝村 そう。
── そうか、なにせ儒教の国ですもんね。
勝村 そうです。たしか個人として、
数年間、入国禁止になっているはず。
── すごいですね。
勝村 インタビュー中にオシッコしちゃうし。
── ‥‥。
勝村 ‥‥なんで高田さんの話になってるのか
わからないんだけど。
── はい、たしかにそうなのですが、
おもしろいので、もう少し聞かせてください。
勝村 あれは‥‥地方へロケに行ったときですよ。
プールサイドでインタビューしてたんです。
── 高田さんが。
勝村 前の晩、みんなでガー飲んでたんですけどね、
朝、起きてみたら、高田さんが
明らかにまだ酔った顔でインタビューしてて。
── ははぁ。
勝村 そしたらね、唐突にですよ、
「おじさんオシッコしたくなっちゃったな」
とかなんとか言って、
海パン穿いたまんま「シャーッ!」と‥‥。
── うわー‥‥。
勝村 現場は、阿鼻叫喚のウズに。
── そうでしょう。
勝村 天才だ、パンクだこの人はと思いました。
プールサイドで。
── すごい‥‥。
勝村 さすがにオンエアされませんでしたが、
いまだにやってること同じですからね。
── すごすぎる。
勝村 でも、4年くらい出させてもらいましたが、
本当に鍛えられました、あの天才たちには。

今のバラエティ番組にも
ずいぶん影響を与えていると思いますしね。
── その当時って、勝村さんは‥‥。
勝村 ええーと、20代の半ばから
後半くらいにかけてのころだったと思います。
── なるほど、そういう時代だったんですか。
勝村 だから、ちょうどそれくらいの時期なんですよ。
一作目の『新宿鮫』と出会ったのも。
── おお! そういう時代、だったんですか‥‥。


<『新宿鮫』第一作が書かれた時代背景を
 非常に偏った文脈から理解したところで
 次回へつづく>

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2010-10-08-FRI



2010年10月15日(金)から
『絆回廊 新宿鮫X』は「後半」に突入します。
それにともない、それまでの「前半」は
読めなくなってしまいますので
読み逃しているかたは、今のうちに、ぜひ!

新宿鮫はこちら

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