ほぼ日刊イトイ新聞-ジャズと、タモリと、70年代。そして、中洲産業大学。

──	やっぱり、日野皓正さんのトランペットってそんなに、すごいものなんですね。
高平	うん、俺は、そう思う。
──	じゃあ、高平さんが「この人だけは聴いといたほうがいい」ってミュージシャンを挙げるとすると‥‥。
高平	日本人で言うなら、やっぱり（渡辺）貞夫さんと、山下（洋輔）さんと、日野さんだろうね。この３人は、すごい‥‥よね。
──	若手の上原ひろみさんなんかは、どうですか？
高平	セロニアス・モンクばっかり弾く 24歳の女の子がいるっていうんで、新宿で聴いたんだけど‥‥おもしろかった。それから、『報道ステーション』のオープニングでサックス吹いてる、矢野沙織さん‥‥だっけ？彼女、チャーリー・パーカーのフレーズ、そのまんま吹いてるよね。
──	いまでもけっこう、ライブには足を運ぶんですか？
高平	うーん、そうでもないかな‥‥。このまえ、家にあるものをとにかくぜんぶ、自分のiPodに入れたんだよ。それで、何でも聴けるからさ（笑）。このiPodがあれば、まあ、ほとんど間に合うんじゃないかな（笑）。
──	すごい！（笑） ‥‥でも、今みたいなコメントでおすすめされると、聴いてみたくなっちゃいますね。
高平	まあ、これからジャズを聴いてみようって人はとにかく、誰でもいいからライブに行ってみたらいいんじゃないかと思うよ。 ‥‥というのもね、たとえば、「マイルスを聴いてみたんだけど、　つぎは何を聴いたらいいんでしょう？」って質問には答えられるし、おすすめもできるんだよね。でも、なんの手がかりもなく「何を聴いたらいいんですか？」っていう質問に答えるの、すごく、難しいんだよ。その人がどんな音に「いい！」って反応するのか、わかんないから。
──	膨大なアーカイブがあるわけだし、とりあえず何か聴いてみたらひっかかるかもしれないっていうことですね。
高平	マイルス・デイビスって名前を知ってたら、とにかくマイルスを一枚、聴いてみればいいんじゃないかな。べつに予備知識なんて、なくったっていいから。
──	なるほど、なるほど。
高平	だからさ、たとえば君らに一晩ジャズを聴かせて、これはかっこいいとか、これはそうでもないって反応をみてから俺がおすすめを選んだら、おそらく、だいたいイケちゃうよ、それで（笑）。どっか温泉にでも行ったらさ、教えてやるよ。ゆっくり一晩かけて（笑）。
──	ああ、それ、おもしろそうですね！（笑）
高平	逆にいえばさ、我慢してまで聴くことない。おもしろいか、おもしろくないかどう思うかわからない。でも、聴いてみなきゃ、それすらもわからない。そんなもんだよ、ジャズって。
──	そうですか‥‥なるほど。高平さんのおっしゃること、すごく、よくわかりました。 ‥‥でも、あえてぼくたちに、なにか、おすすめしてもらえませんか？ジャズがはじめてなら、このあたりから聴いたらいいんじゃないかっていう‥‥。
高平	え？　うーん、そうだなぁ‥‥。
<続きます>