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アーカイブ 2008/06/01
 
レシピその67
野菜の塩味ケーキ
〜イタリアで道をたずねると‥‥〜


私は方向音痴です。
その場でぐるっとひとまわりしただけで、
もう自分がどの方角を向いているかわかりません。

ミラノに引っ越してすぐのこと。
旧市街の全く通ったことのない道に、
迷いこんでしまいました。
放射線状に広がるミラノの街の中心部にある
ドーモ(教会)に行きたかったのに
旧市街から抜け出せなくなっていました。
細い道にぎっしりせまるたくさんの建物。
当時、私にはミラノの建物は
どれも同じに見えました。
建物の区別がつかず、
目印になるようなものも見つけられません。

渦巻きの中心に入ってしまったかのような
出口のない絶望感におそわれたとき、
幸いにもひとりの人が通りがかりました。
「ドーモに行きたいのだけれど‥‥」とたずねると、
「30m先を右に曲がってまっすぐ行き、
 10m先の大通りをまた右に曲がると、
 その先の左側にドーモが見えて来るから」
と、明快に答えてくれたので、
安心して私は足元を見ながら、
歩幅を約30cmとして、
30mはこの位かな? 10mはこの位かな?
といった感じで、距離を計算しながら歩きました。
ところが、たどり着いたところでは、
ドーモなんて見えません。ここはどこ?!
あわてて、そばにあった小さいお店に飛び込んで、
ドーモへの行き方をたずねると、
「そこを出てすぐ先にある道の20m左にあるよ」
と言われ、
言われたとおりに歩いてみたら、
またもや、ドーモが見あたりません。
困り果てていたときに、
小柄な親切そうな
おじいちゃんが通りがかりました。
事情を話すと
「お困りだね、お嬢さん」と、私の手をひいて、
ドーモの入り口まで連れて行ってくれました。

イタリアで道をたずねると、
みなさん親切に教えてくれます。
目的地に至る距離も何m、何kmの数字まで
ていねいに教えてくれるのです。
ところが、実は、その正確そうな数字で教えてくれる
距離が一番くせ者で、
みんな、自信を持って明快に言い切りますが、
かなりアバウトです。
これに慣れるまでに時間がかかりました。
そんなわけで、いまではイタリアで道をたずねる際は、
3人の方におうかがいすることにしています。

上を向いて歩くこと。
イメージ力を最大に使うこと。
感性を磨くこと。
自力を信じた上で、他人の意見を取り入れること。
‥‥道を教えてもらうということだけでも、
こんなに勉強をさせてもらっています。

さて、そろそろ屋外で食事すると
気持ちのよい時期になってきましたね。
バーベキューやピクニックなど、
屋外での食事には野菜の塩味ケーキが大ウケです。
私はシンプルな野菜の味を味わいたいので、
フルーツなどで作ったソースはつけませんが、
お好みのソースでいただいてもよいと思います。
どうぞお試しになってくださいね。

野菜の塩味ケーキ


■材料(4〜6人分)

野菜ミックス(※):300g
※今回の野菜ミックスの内訳は、ニンジン、ズッキーニ、
 グリンピース、いんげん、アスパラガスです。
 旬の野菜なら何でもオッケーです。

卵:4個
砂糖:25g
ヨーグルト:125cc(無糖のナチュラルタイプ)
小麦粉:150g
コーンスターチ:30g
ベーキングパウダー:小さじ1
バージンオリーブオイル:50cc
塩:小さじ1杯半
ナツメグ:少々
コショウ:少々



■作り方

(1)ニンジンはさいころ状に切る。
その他の野菜は丸ごとさっとゆでる。
アスパラガスは穂の部分は飾りに使うため、
小さく切らずにとっておく。
アスパラガスの穂以外の部分と
その他の野菜は小さく切る。
ナツメグはすっておく。
小麦粉やコーンスターチなどの
他の材料は計って用意しておく。



(2)ボールに卵を入れ、
砂糖を加えて、数分間、撹拌する。



(3)砂糖がよくとけたらヨーグルトを入れる。



(4)小麦粉、コーンスターチ、
ベーキングパウダーを一緒にして
あらかじめ一度ふるったものを、
(3)に、再びふるいながら入れて、
ゆっくりと混ぜあわせる。



(5)よく混ざったら
バージンオリーブオイルを入れる。



(6)飾り用にとっておいた
アスパラガスの穂以外の野菜と
塩、コショウ、ナツメグを入れて、
デリケートにかきまぜる。



(7)クッキングシートを敷いた
パウンドケーキ型の中に(6)を流し入れて、
上にアスパラガスの穂を飾る。



(8)160度のオーブンで40分焼く。
焼き上がった後、しばらく置いて
あら熱がとれたら、
キッチンペーパーを取りのぞく。



出来上がりです。
やさしい野菜の味をお楽しみください。


 
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