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アーカイブ 2008/05/18
 
レシピその66
春畑のちょうちょのパスタ
〜イタリアの北と南の電車事情〜


4月21日付けの「今日のダーリン」や
「postma@1101.comから。」

電車内での過ごし方を読んで、
私のイタリアでの経験談を書きたくなりました。
日本に帰国したときに電車に乗ると
寝ている人が多いことにいつも驚きます。
車内に「寝ても安全」の空気が漂っているので
私も無防備のまま、すぐさま夢の中に突入できます。
でも、こちらでは注意を要します。


イタリアに来てすぐ、
電車でペルージャから北の街バレンツァに
何回か通っていた頃の話です。
南のナポリからやって来る電車に乗りかえて
ミラノまで約5時間。
電車はコンパートメント(個室)になっていました。
友達からは、大切な物は絶対に手から離さないこと。
見知らぬ人からキャンディーなどの
食べ物をすすめられても、
睡眠薬などが混含されている疑いもあるので
絶対に食べてはいけないことなど、
実体験と合わせて毎回聞かされ、
車内の注意事項を叩き込まれました。

ある時、コンパートメントに入り、
ひとつだけ空いていた席に私が座ったときのことです。
はじめのうちは周りの人たちから、
異様な視線を感じましたが、
凄まじいほどの声の大きさで話す明るい彼らに、
そのうちすっかりうち解けて、旅の仲間になりました。
当時、駅のホームで駅弁を売っていて、
いつものように買おうとしたら、
「そんなのはおいしくないから、一緒に食べよう」
と、お弁当を買うのを止められました。
彼らのお昼ごはんは家から用意してきた物で、
ワインや水などの飲み物もあり、
まるでピクニックのような、
おいしそうな物が次から次へと出てきます。
友達からの警告もすっかり忘れ、
そのときは家族の一員になったような気分になり、
家庭的なおいしい物を一緒に食べることで、
幸せの笑いがあふれました。

イタリアの南の人達は、そこの気候のごとく
おおらかな太陽のように明るく、熱く、時には激しい‥‥
そんな気性を持った人が多いように感じます。
オープンで、初めて会う人でも、
仲間とみなしたときはすぐに歓迎してくれます。
ですから、その場に居合わせただけの見知らぬ私を、
旅を共有する友達として迎えてくれたのでしょう。

後に、イタリアの北にあるミラノに引っ越した際は、
車内のみんなの話し声が小さいことに気がつき、
南の人達との違いを感じました。
寒い地方だから口を大きく開けたくないのかしら?
商談などをすることが多いので
大きい声では話しにくいのかしら?
‥‥なんて想像を張りめぐらせましたが、
大きい声で話すことはエレガントではない、
とミラノの人たちが思っていることが
理由かもしれません。
ミラノの電車の中では、
「他人は他人」的なところを感じます。
よくとれば、個人を尊重し、
認めてくれているということです。
そのため、コンパートメントに乗ったときは、
ひとりの静かな時間を持つことができます。

とはいえ、先日、ミラノからヴェネチアに行ったときは、
同席した女学生と、スイスに移住した母娘と同席になり、
ダイエットの話題で3時間も盛り上がりました。
北や南の人達の気質うんぬんがあっても、
その時の同席するメンバーによって
旅の過ごし方はかわるものですね。
ひとりの時間を過ごすのもよし、
わいわいするのもよし、
どちらにしても電車での旅は楽しめるものです。

さて、今回、ご紹介する料理は春野菜のパスタです。
青い味の野菜たちをたんのうしましょう。

春畑のちょうちょのパスタ


■材料(4〜6人分)

グリンピースのさや
グリンピースの豆:150g
※さやに入ったグリンピースを用意して、
 さやと豆を分けます。
 さやはだし用なので
 手に入らない場合はなくてもけっこうです。

ソラマメ:200g(さやから出した豆の状態で)
アスパラガス:数本
新タマネギ:1個
トマト:1個半
ベーコン:100g
生パスタの生地(※):300g
オリーブオイル:大さじ3
塩・コショウ・粉チーズ:適量
※生パスタの生地がない場合は、
 リボン状のパスタや、またはそのほかのかたちの
 お気に入りのパスタをご使用になってください。



☆下準備

・5リットルのお湯をわかして塩を入れ、
 野菜のだしをとるために、
 よく洗ったグリンピースのさやを数分ゆでる。
 さやが無ければ、
 お湯をわかして塩を入れるだけでよい。



・その後、グリンピースのさやを取り出したお湯で、
 料理に入れるグリンピースの豆、ソラマメ、
 アスパラガスの順にさっとゆで、ざるにあげる。
 (ゆであがりの時間が違うので、
  別々にゆでること。
  また、鮮やかな色を保ちたいときは、
  ゆであがった豆を、手早く氷水で冷やしてください。)
 このお湯は後で使用するため、
 弱火で熱し続けてておく。





・ソラマメは、飾り用を数個除いて、すべて皮をとる。
・トマトは皮を湯むきして細かく刻む。
・新タマネギとベーコンは小口切りにする。



■作り方

(1)生パスタの生地をパスタカッター(※)
写真のように長方形に切る。



※パスタカッターには下記の写真のような
 シングルのものもあります。
 パスタカッターがない場合は、
 包丁でギザギザを入れずに直線に切ってもけっこうです。




(2)長方形の中央を写真のようにつまみ、
リボンのかたちにする。



(3)ちょうちょパスタの出来上がり。



(4)ベーコンを大さじ3のオリーブオイルで
よく炒める。



(5)ベーコンから油がでたら、新タマネギを加え、
しんなりしたらグリンピースの豆とアスパラガスを加え、
先ほどのゆで汁を、
具に軽くかぶるくらいの高さまで加えて、
弱火で10分煮る。



(6)水分がなくなったらソラマメを入れる。



(7)さらにトマトを加える。



(8)下準備で使ったお湯を沸騰させて塩を加え、
ちょうちょパスタを
アルデンテよりもかたくゆであげる。



(9)(7)に(8)のパスタと
パスタのゆで汁を少々入れ、
塩、コショウで味を整え、
全体に味をなじませて仕上げる。



出来上がりです。
飾り用にとっておいた皮付きのソラマメを飾りました。
お好みで、チーズをたっぷりとかけて
召し上がってくださいね。


 
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