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アーカイブ 2008/02/24
 
レシピその60
ロシアンサラダ・ペック風
〜高級総菜店「ベック」のこと〜


20年前、ミラノで暮らし始めたとき、
街中にある高級惣菜店「ペック」に驚きました。
品揃えが豊富なことに加えて、
どのお総菜もとてもおいしい。
それまで暮らしていた
田舎のリエティにはこのような店はなかったので、
軽い衝撃があったことを覚えています。

いまでも、間違いなしのおいしい物が欲しいときは、
自然と足が向きます。
特に、日本食用の薄く切った
おいしい肉が欲しいときは欠かせません。
買ってきた食材で料理をして出すと、
家族に悟られ、
「今日はペックだね、力が入っているねえ」
と言われます。
また、「料理のお勉強」という大義名分で
贅沢なお惣菜やハムやチーズを買うときもあります。
「ペック」は、私たちの一般の主婦にとって、
毎日お買い物ができる気軽なお店ではありません。
でも、ついつい足が向いてしまうのは、
「ペック」が居心地のよいお店で、
買物はしなくとも、店内をいろいろ眺めて、
2階の絵画がたくさん飾られているバールでお茶をして、
気持ちよく帰ってくる‥‥
なんて楽しみ方もできるからです。

さて、「ペック」についてご紹介しましょう。
日本にもお店があるそうですが、ご存知ですか?
ミラノが伝統的な食文化だった19世紀に、
プラハから来たチェコ人のフランチェスコ・ペックさんが
ドイツのハム、ソーセージ肉の薫製品のお店を
開いたことから始まったそうです。
王室やブルジョワ階級の御用達店にまでなり、
その後、何人か経営者がかわった後、
1970年からストッパーニ4兄弟の経営になりました。
「ペック」を営んでいるストッパーニ4兄弟のひとり、
レモさんからうかがった話によると、
彼らの父親は「働くこと」の哲学を
身をもって厳しく子ども達に授けたそうです。
気品と鮮度が満ちあふれている独特な空気は、
ストッパーニ兄弟が自らも職人として、
100人を越える従業員といっしょに、
現場で働いているから生まれてくるのだと思います。

毎週1回は兄弟とその子どもたちが集まり、
意見交換をするとのことです。
時代にそって変化している
お客さんからの要望にこたえるため、
味付けやリクエストの採用については、
子ども達の若い世代の声を大事にしているそうです。
「よい物をお客さんに提供するために
 研究を怠ってはいけない」
この精神が「ペック」を世界的にも有名な
食のリーダーにしている理由だと思いました。

レモさんからプレゼントされた「ペック」の本に
「4人兄弟が責任を持って各部門を統括し、
 愛情、良心、そして情熱をもって支え合い、
 お店を発展させている」
と評論家が書いていましたが、
その通りだと納得しました。
家族経営は難しいことも多いと思いますが、
信頼と愛情で結ばれ
同じ理想を夢見て頑張っている兄弟の
いきいきと働く姿を見て私はうれしくなりました。


▲ストッパーニ兄弟三男のレモさんが
 お店の奥にある厨房を案内してくださいました。
 レモさんはチーズとインポート部門の責任者です。
 中央が私。右端は友人です。



▲写真の左奥が長男のアンジェロさん。
 お惣菜と精肉部門の責任者です。



▲長男のアンジェロさんの下で働く、
 お惣菜部門のシェフたちです。



▲お菓子部門ではパスクゥア(復活祭)用の
 卵チョコレートを作っていました。
 お菓子部門は次男のマリオさんが責任者です。
 ちなみに四男のリーノさんは会計の責任者です。



▲カーニバルを見ながらお買い物にきました。
 私も「ザンパノさんの紙ぶくろ」を愛用してます。


ところで、
今回ご紹介する料理は、レモさんおすすめの
「ペック」のロシアンサラダです。
私たちにもできるレシピです。

ロシアンサラダ・ペック風


■材料(4人分)

ジャガイモ:中2個
ニンジン:中くらいのものを半分
グリンピース:90g
ピクルス:3本
ツナオイル漬け:60g
アーティチョーク(オイル漬け):数個
キノコ(オイル漬け):好みの分量
酢漬けのケッパー:大さじ1
マヨネーズ:大さじ8
お酢・塩・生クリーム:少々



★マヨネーズ(400cc)の材料

卵黄:2個
レモン汁:レモン半分をしぼる。
オリーブオイル:50cc
コーンオイル:300ccくらい
塩、砂糖、マスタード:少々



■作り方

(1)まず、マヨネーズを作る。
黄身に塩・砂糖・マスタードを加えて撹拌し、
レモン汁を加えて、また撹拌する。



(2)撹拌しながら2種類のオイルを、
少しずつ加える。




▲マヨネーズのでき上がりです。


(3)鍋にお酢を少々入れた水を入れ、
洗った皮付きのジャガイモを入れて火にかける。
5分後にニンジンを丸ごと入れる。
柔らかくなったら皮をとり、さいころ状に切る。
グリンピースもお酢を少々入れた湯でゆでて、
豆を取り出す。



(4)グリンピース、ケッパー、ツナオイル漬け
以外の材料は、すべてさいころ切りにする。



(5)(4)をボウルに入れ、
あらかじめ作っておいたマヨネーズを加えて混ぜて、
塩加減をみる。塩加減が足りない場合は、塩を加える。



(6)固いときはお好みで生クリームを少々加える。



これでできあがりです。
ところで、参考までに、
前菜用の盛りつけをご紹介しますね。
お時間のあるときにお試しになってくださいね。

今回は、下記の材料を飾り付けに使いました。
チコリー、スープストック、
トマトペースト、ゼラチン、
ニンジン、ビート、ゆで卵、クラッカー。


●チコリーを使った前菜



温めたスープストックにトマトペーストを加え、
ゼラチンを入れて溶かし、チコリーの内側に注ぐ。
冷めてきたらチコリーの上にサラダをのせて、
冷蔵庫で冷やす。


●クラッカーを使った前菜



クラッカービスケットの上に
ゆで卵をのせて、
その上にサラダをのせ
ニンジンやピクルスを細長く切り飾る。


●ビートとゆで卵を使った前菜



ビートの薄切りの上にサラダをのせて
細かくくだいたゆで卵の黄身をかける。


日本のポテトサラダより
ちょっと酸っぱくてクリーミーです。
こちらでは前菜としていただきます。
具はその時にあるものを組み合わせて、
バリエーションを楽しんでくださいね。
オープンサンドやサンドイッチに使ったり、
いろいろ楽しめる料理です。

 
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