『ミッケ!』の秘密を
ミッケ!

いつのまにか110万部になった
おとなも夢中になる「遊びの絵本」とは?
そういえば、と、気がついたんです。
これを紹介していなかった!
『ミッケ!』というタイトルの、
写真をつかった遊びの絵本。
こどもたちが、幼稚園で熱心にやってますとか、
学校の図書館で順番待ちですとか、
プレゼントにもらって親子で夢中になってますとか、
時々、読者の方にメールで教えてもらっていましたが、
「ほぼ日」で紹介したことなかったんです。

10年も前に、細々と1冊目を出した絵本が、
いつのまにか、もう8巻にもなっていて、
なんと110万部のベスト&ロングセラーになっていました。
どうしてこういうことになったのでしょうか、と、
担当編集者の桑原さんに、あらためて取材しましたよ。


さっそくいただいた『ミッケ!』へのメールを
ひとつ紹介いたします。

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最新版の「がっこう」以外は完ミッケです。
そうとう親子で楽しめます。
見つけにくいやつを見つけたときは
子供から「すごい!」って尊敬されます。
でもつづけて3個以上ミッケしてしまうと
「もう〜おかーさんばっかズルイ」
って怒られます。

見つける楽しさはもちろん、色の美しさ、
形のおもしろさ、わくわくする問題の出し方
(byイトイさんですよね?)
など、とてもすてきな本です。
「がっこう」どんな感じになってるんだろう。
あーまた子供が寝るのが1時間遅くなるな。

(ろくろさん・40歳)

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今回発売された
『ミッケ!』シリーズ8/「がっこう」

●桑原プロに聞く、答えのミッケ方!

桑原

この本の編集を始めるときに、
まず答えは、
ぜんぶ自分で探すんです。

ほぼ日 え?
答えをアメリカの出版社がくれるのではなく?
桑原 そうなんですよ。
ほぼ日 どうしてですか!?
ご自分でも楽しまれるために、ですか?
桑原 というか、最初から、
答えをもらおうと思ってなくて(笑)。
「よーし、全部ちゃんとあるか、
 探そう!」
と。
でも、そのほうがきっと、面白いんです。
ほんとに、読者のかたの
気持ちになってできますので。
あ、こんなところに隠れてる、とか、
喜びが多いんですよ(笑)。
ほぼ日 それはまさに、読者そのもの、ですよね!
今まで答えをもらわれてないのに、
10年の間、 本がスムーズに
出版されているということは、
桑原さんがわからなかった答えは
ひとつもなかった、
と理解していいのでしょうか。
桑原 ひとつもないですね(笑)。
じっくりやって、ぜんぶ見つけます。
とにかく、楽しんで作ってるんです。
そうやってると、
やっぱりこの本、面白いなーと
しみじみ思いますね。

今ではたくさんの人に楽しんでいただいて、
『ミッケ!』の面白さが、
やっと、やっと広がったんだな、
って感動しています。


『ミッケ!』シリーズ8/「がっこう」より
ほぼ日 うちの事務所でも、楽しませてもらってますよ。
ひとりで遊ぶこともできますし、
大勢でやるときには、誰が早く見つけられるか、って
けっこう熱くなったりしますよね。
友達の家に遊びに行ったりする時には、
いいプレゼントにもなりそう。

ところで、答えを見つけるコツってあるんでしょうか?
桑原 10年もやっていると、
だいたいコツはわかってきましたね。
ストレートな答えだけじゃなくて、
ちょっと意地悪なものが隠れているんです。
ひねくれた目で見るといいかもしれないです(笑)。

実は、今回発売した8巻目の「がっこう」の中で、
ひとつ、僕が見つけた
とっておきのナゾがあるんです。
これは、
この本のどこにも載っていない
ナゾなんですよ。
フフフフフ。
ほぼ日 え!
桑原プロ、ぜひ教えてください!
「ほぼ日」読者だけにこっそりと。

本の中では問いかけられていないけれど、
実は、こんなところに、こんなものが隠れているよ、
っていう桑原さんが独自で見つけられた
ナゾなんですよね。
桑原 そうです。
答えを言ってしまうのは、面白くないので
問題だけをお伝えしますね。
(註:問題も知りたくない、まっさらな気持ちで
 『ミッケ!』を読みたいかたは、飛ばしてくださいね)


「がっこう」の18ページと19ページですが、
ほかのページと比べると、ちょっと地味なんです。
チョークで落書きされたコンクリートの地面の上に
バスケットボールがひとつ、転がっているだけ。
なぜだろうって考えていたら、
このページが、あるページの中の1コマだったことに
気づいたんです。
さあ、どのページの1コマでしょう、
っていうのが僕からの問題です。
ぜひ、ミッケてみてください!
ほぼ日 えええええ?
探す範囲は、全部のページからってことですか?
そんなに高度な問題も隠されているんですか!
『ミッケ!』のさらなる面白さを知るには、
ちょっと他のページと違ったり、なんかヘン、
って思ったところで立ち止まって考えることが
コツみたいですねー。

いやあ、奥が深すぎて、
1回遊んだだけじゃもったいないですね。



『ミッケ!』シリーズ4/「ミステリー」より
桑原 必ず大人より子どもたちの方が
早く見つけるっていうお話しをよく伺います。
先入観がないんでしょうかね。
ほぼ日 そうかもしれませんね。
桑原 学校の図書館にも置いてくださっているそうで、
やっぱり、1冊学校で借りると、
他の巻もやりたいなって
思ってもらえるみたいで、
そういうことも手伝って、
広がっていったのかなと思います。
ほぼ日 今いちばん人気があるのは、
6巻目の「ゴーストハウス」と
以前おっしゃっていましたよね?



『ミッケ!』シリーズ6/「ゴーストハウス」より
桑原 そうですね。
怖いものって、子どもたちは好きですよね。
門からお家に入っていって、
ドアを開けると不思議な部屋があって、
グルグル回って、最後出てくると、
裏庭のお墓みたいなのが
出てくるっていうつくりなんですが。
他と違って、ストーリーっぽくなっているので、
売れ出したんだと思います。
で、それが人気出ると、
あ、こんなに他にも違うシリーズがあったんだって、
思ってもらって、他のも人気が出てきました。

●今の絵本の読まれ方って
 どうなんでしょう?


ほぼ日 今、出版業界で絵本って、どんな状況なんですか?
桑原 残念ながら、全体的に絵本は
あまり人気がありません。
でも、先日話題になったのが、
『あらしのよるに』っていう絵本で、
それが100万部ぐらい売れました。
愛子さまが読んでる本っていうのも
すごく人気があるんですよ(笑)。
本はほんとに、ここ数年、
だんだん悪くなってきて、
普通の書店さんでも、
絵本を置いてもらうコーナーが
どんどんどんどん、減ってきました。
そんな中で、『ミッケ!』が多くのかたに読まれている
っていうことはすごく嬉しいことです。
ほぼ日 アメリカでは700万部
っていうことですが
すごいですね。
桑原 アメリカはケタ違いです(笑)。
アメリカは、子どもの絵本に、
かなり力を入れているみたいですね。
テレビ番組で、そういう絵本を紹介するものもあるし、
『ミッケ!』もそのうち番組になるって聞いてます。
それから、本屋さんに行くと、
よく子どもの本のコーナーがあって、
小さな舞台みたいになっていたり、
カフェがあったりして、そこに座って、
お父さんが子どもに読んであげていたりします。
あと、たまにゲストが来て、
読んであげるってこともしてるそうです。

アメリカでは、どこの本屋さんに行っても、
そういうコーナーがちゃんとあるから、
力が入ってるんだなあと
うらやましく思います。

それから、もうひとつは、
ブッククラブが さかんらしいんですよ。
ほぼ日 「ブッククラブ」ってなんですか?
桑原 お客さんには、会員になってもらって、
そのかわりすごく安く本を売る組織があって、
たとえば、スコラスティック
(『ミッケ!』の出版社)なんかは、
かなり会員を持ってるんです。
スコラスティックは、
日本だと学研さんみたいなもので、
子どもの本にすごく力を入れている
出版社なんですね。
で、本屋さんでももちろん売りますけども、
それ以上に、そういうクラブで、
月に1回かふた月に1回か、冊子を送って、
注文してもらって、本を送るっていうことが
すごく盛んらしいんですよ。

それが、ひとつには、
アメリカは郵便料金が安いんですよね。
雑誌なんかも、店で買うより
定期購読をしてる人が多いんです。
ほぼ日 日本でも、もっともっとたくさんの人が
『ミッケ!』で想像力をふくらませたり、
家族だんらんできたりするといいですよね。
桑原 そうですね。
今は時期はずれですけど、
クリスマスにはすごい人気でしたね。
どの書店でも、ひとタイトル、
山のように積んでありました。


『ミッケ!』シリーズ8/「クリスマス」より
ほぼ日 このゴールデンウィークにでも、
みなさんで遊んでもらいたいですね。
桑原 ちょうど学校が始まったシーズンでも
ありますしね。
「がっこう」がお薦めです。
英語も小学校で習いますし!
ほぼ日 桑原さん、どうもありがとうございました。
なんだか、自分で『ミッケ!』の問題を
作りたくなってしまいました!
これからも、どんどんミッケてくださいね。
桑原 はい、喜んで。
(今回で終了いたします!
 これからも『ミッケ!』をよろしくお願いします!)

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写真:ウォルター・ウィック
文:ジーン・マルゾーロ
訳:糸井重里
出版社:小学館

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2003-04-30-WED

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