「フランコさんのイタリア通信」が本になります。 酒井うららさんと、 イタリアについてしゃべろう!


第1回 マンマのお料理ダービーも?

シェフ 「フランコさんのイタリア通信」が本になります!


 
わぁーっ!
シェフ 水曜社さんというですね、
わりとかたい本をつくられている
出版社さんから出ることになりました。
この出版社に、北畠さんというですね、
弊社のべっかむ3にそっくりの
おじさん編集者がいまして、
彼がワールドサッカーファン、
もう世界中のサッカーが好きで、
フランコさんのページの愛読者なんです。


▲これが北畠さん。

その彼がぜひ本にしたいって
おっしゃってくださって。
その方にお任せするんだったら、
フランコさんとしても、
ぼくらからも、もうぜひということで
北畠さん、うららさん、そしてフランコさんが
じっくり進めていた編集作業が終りまして、
12月にはみなさまのところに
お届けできるはこびとなりました!


 
わぁー!
シェフ で、「ほぼ日」でも応援コンテンツを
立ち上げよう! となったんですが、
お話ししようという内容はサッカーではなくて。
せっかくうららさんをお呼びしましたので‥‥
ふふふ。
シェフ 「イタリア全般」ってことで、
みんなでおしゃべりをしたいと思います!
フランコさんのこと、
イタリアの男の子のこと、
町のこと、いろいろと。
よろしくお願いします。


 
よろしくお願いしまーす。
シェフ まず前提として、
この本は、「ほぼ日」の連載を
“まとめただけ”ではないんですよね?
ないんです。書き下ろしが随分あります。
半分ちかく、あるんじゃないかな、

 
すごい!
というのは、編集の北畠さんが
サッカーに大変詳しい方なんで、
あの人について書いてほしい、
この人についても書いてほしい、
というのが結構あって。
「ほぼ日」の連載では触れてない人も
結構いるんですね。プラティニとか、
それから往年の名選手であるとか。
フランコさんはもう60代半ばぐらいで
いらっしゃるのかな、
30年以上の記者生活があるので、
この30年を振り返って、というような章も
もうけているんです。
それからあとはフランコさんが
バカンスでお出かけした先の情報。
そして最後の方には
ミラノの町をホームにする
インテルとACミランという
2つのチームがあるでしょう?
同じ町同士のチームが対戦することを
特別にダービーと言っていて、
じゃあ、この2チームの監督のお母さんの
お料理ダービーをしようよ、って。
シェフ それが書き下ろしに。
へぇー!
すごい、楽しいですね。
面白いですー。
さらに、後書きのかわりに、
いつもインタビューする立場にあるフランコさんに
私がインタビューしちゃいました。
シェフ 基本はサッカーの本、ですけれど、
すごく男の子っぽいだけの本ではないし、
すごく女性的な本でもないし、
誰が読んでも楽しめる作りになっていますね。
サッカー選手のことについても、
記録のことよりも、
その人となりみたいことから、
ある選手については、不遇の晩年を送ったであるとか、
その選手が持っているドラマを
描いているんですよ。
この人は何をするのが上手いとか、
どういう成績を残したとかいうのは、
世の中に、たくさん、出ているわけなので、
フランコさんは、
実はこんな事件があったんだよねとか、
こーんなこと、抱えてたんだよねとか、
そういう話題が多いんです。
シェフ 連載も、その視点の文章が
かなり多いですものね。
サッカーという、
何かすごく特殊な才能を持って
生まれちゃった人の人生を描いているのね。
生まれちゃった(笑)。
そう、生まれちゃったのよ。
‥‥やっぱり大変だろうと思いますよ。
シェフ ああ。
ほんとに大変だろうと思う、
背負わされたものが大きいもの。
シェフ フランコさんって、その視点が強いですよね。
憧れだけじゃない、
スターのすごく辛い面ていうのを
ちゃんと分かってる人ですよね、
フランコさんて。
うん。そう、ほんとにそう。
もしかしたらキリスト教的な下地も
入ってるのかもしれないんだけど、
向こうの人たちって、
何か才能があると思ったら、
それをちゃんと育てて完成させていく
義務と責任があるってまず思うんですよ。
シェフ それは自分に?
それとも、人に対しても
持ってる気持ちなんですか?
自分が持ってなければ身近な誰かに。
例を挙げると、私、
ミラノで美術学校に行っていたんですけれど。
シェフ はい。
いくら美術学校ってったって、
全員が絵描きになれるわけじゃないですよね。
しかも学校のあたりって、
ブレラ美術館があるところなんですけれど、
今はすっかりモダンに変わったエリアですが、
1970年代当時は昔は薄暗い裏通りで、
ちょっと麻薬なんかもはびこっているような
危ない地帯だったのね。


 
へぇ‥‥。
その辺りには画材屋も多いし、
ブレラの卒業生かどうかは別にしても、
アート系の人々が集まるのです。
中には、世間に認められないまま
歳をとってしまったような、
「自称絵描き」のおじいちゃんもいるわけですよ。
売れていない、お金がない、安い食堂に行く。
その安食堂の店主が、ちゃんと彼に敬意を払って、
作品を買って支えていたりする、彼を。
その店主だって、けっして金持ちではないでしょうに、
店の壁に「売れない絵描きの絵」を飾って
サポートする。
それが、その店主の喜びや誇りだったりもする。
シェフ 彼が世間で認められているかどうかは
関係なく?
「彼が絵描きだって言ってるんだから、
 彼は絵描きなんだよ」って、そういう世界。
でもね、それも1970年代の話だから、
今はちょっと違うと思います。
今はもうちょっとシステム化されて、
格差がもっと激しくなって、
プロになれなかった人は
はじかれちゃってると思いますね。
でも少なくも、20、30年前ぐらいまでは、
あったかーく、地域で見守ろう、
そういうところがありましたね。

(つづきます)


2008-11-26-WED

 
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