ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2010-01-13-WED

2010年の幕開け。

日本のみなさん、
2010年あけましておめでとう!!

さてさてイタリアのサッカーにも時は流れ、
旧年は過ぎて新しい年の新しい展開が‥‥と
期待したいところですが、
どうもお定まりの監督交代や、
いつも通りの論争の中で、
伝統的なカルチョ・メルカートは
「新年」を迎えたようです。
まるで、太陽のもとには
何も新しいものは無いかのように。

マンチーニ、マンチェスターに。

本年最初に交代させられた監督は、
アタランタBCのアントニオ・コンテです。
今シーズンでは8人目で、
クリスマスの少し前には、
ロベルト・マンチーニが
マンチェスター・シティFCと契約しています。
彼はインテルを3回のカンピオナート優勝と、
イタリア杯とスーパーカップ、
それぞれ2回の優勝に導いた監督です。
マンチェスター・シティFCは
英国プレミアリーグのチームで、
昨年は世界有数の富豪たちの
アブダビ・ユナイテッドグループに
買収されています。

franco

ロベルト・マンチーニは
2008年からどこの監督もしていませんでしたが、
その間、いくつかのチームからの要請を受けながらも、
価値ある大規模なサッカーに戻る
良いチャンスを待っていたのです。

次期W杯南アフリカ大会のために、
日本代表を監督するという噂まで
流れたこともありました。

彼はこう説明しています
「日本代表が予選を通過したのち、
 監督を変えることもあり得ると知り、
 ぼくも意欲的にそのことを考えました。
 もし実現していたら、
 素晴らしい経験になったでしょうが、
 その後、南アフリカ大会の予選を
 勝ち抜いた監督を信頼することになったようで、
 話はそこで終わりました。
 日本のこの判断は正しいと思います。
 でも、本当のところ、ぼくに要請があったら、
 情熱を持って受けたことでしょう」と。

franco

マンチェスター・シティFCは彼に2013年までの
豪華な契約を提供し、
彼はもう日本代表のことは考えていませんが、
将来のことは誰にも分かりません。
数年先の日本代表の監督ベンチに‥‥、
なんていうことも、あるかもしれませんよ。

キブーが負傷、大事故に。

さて、1月6日、
カンピオナート再開の試合のひとつである
インテル対キエーヴォ戦で、
早くも事故が起こりました。
インテルのクリスチャン・キブーが、
キエーヴォのペリッシエール選手と
ぶつかって負傷、
頭蓋骨の手術を受けたのです。
この、選手生命をおびやかす大事故に、
イタリア中の誰もが
悲劇的なことにならないことを祈り、
手術はうまく行きましたが、
サッカー選手としての将来には
疑問が残る状態になっています。

franco

この試合では、
バロテッリ選手がキエーヴォの観衆から
肌の色のことで侮辱されたということも、
論争を呼びました。
バロテッリは試合直後にテレビで
「ぼくがこの競技場に来るごとに、
 不快感が増します」と言い、
この発言が論争の炎に
さらなる油を注ぎました。

franco
キエーヴォが位置している、
ヴェローナの市長は、
こう、テレビで応戦しました。
「バロテッリは未熟です。
 彼はロミオとジュリエットの街に
 敬意を払うべきです」と。
この発言も論争をふくらませました。
というのも、この市長自身が
以前に人種差別的行動で
訴えられたことがあるのですから
しかたありません。
バロテッリの肌の色についての
人種差別的言動も、
年を越してなお続いているようです。

franco
▲「がんばれキブー!」
→頭に酷い打撃:割れ目と血腫の手術をうけた
→バロテッリはゴールを入れ、そして告発:ヴェローナの観衆は不快

その他、メルカートの小さな動きとしては、
インテルのヴィエイラが
マンチェスター・シティFCに移籍し、
そのインテルはSSラツィオから
アタッカーのパンデフを買いました。
そしてフィオレンティーナが
ウディネーゼからディフェンダーの
フェリペを買っています。

ベッカムがミラノに戻ったことで
ファッションデザイナーたちは大喜びです。
モンテナポレオーネ通りの高級ブティックで、
彼の妻であるヴィットリアがさっそく
100万ユーロの買い物をしたようですし。

経済恐慌は忘れ去られたのでしょうか。
全てが元のまんまです。

これでは
「新年おめでとう」ではなくて
「古い年おめでとう」と
言っているみたいですね。


訳者のひとこと

みなさん、おけましておめでとうございます。

いよいよW杯の年ですね。
この連載も9年目に突入しております。
今年も張り切ってお手伝いいたしますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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