おさるアイコン ほぼ日の怪談

「おいでおいで」

私の体験を聞いてください。

小学6年生のときのことです。
幼なじみで、いちばんの親友だった
クラスメートの女の子が、学校の帰り道、
ぼそっと、こんなことを言いました。

「このごろ毎晩、夜中に知らないおじさんが
 枕もとに立って、おいでおいでをするんだ‥‥」

その子はいわゆる霊感の強い子で、
たまにそんな話をしてくれたのですが、
私は怖い話が苦手なので、
いつも、まじめにとらないようにしていたのです。
その日も、すぐに話題を変えて、
そのまま別れました。

ところが次の朝、その子が自分のベッドで
冷たくなって見つかったのです。
お医者さんの話では、寝ている間に
心不全を起こしたらしい、ということでした。
ただ、とっても安らかな顔をしていたそうです。

この話は、その子のご家族を含めて、
誰にも話したことがありません。
今でも、あれは偶然だったんだと
自分に言い聞かせています。
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