愛と涙の父親参観的座談会?!

第5回 お父さんからの手紙。

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さとみ
うちで繰り返し、よく言われたのが、
「さとみの心の中には、
 まだかたちがガタガタの石があって、
 転がすと音がする。
 でも、それをどんどんどんどん転がしていって、
 真ん丸にしなさい。
 そうして転がしても
 音のしない石をつくりなさい

みたいな、わかるような、
わからんような話をされて。

要は、自分の中身を磨いて、
ちゃんとした人になりなさい、
っていう意味なんでしょうけど。
なんかそんな話をずっとされてた憶えがあります。
何かあるたびに、そういう手紙をくれてましたね。
ほぼ日 手紙?

さとみ
うん。
たとえば、小学校に入学とか中学卒業とか、
そういう何かの節目には必ず手紙があった。
誕生日とかはもちろん。

るか
一緒に住んでるときも?
部屋の前に置いてあったりするの?

さとみ
いや、これ、ハイ、って手渡しで。
「さとみさんへ」とか
達筆な字で書いてあって(笑)。
普段は呼び捨てなのに。
あんまり内容は憶えてないんですけど、
「これから頑張って」とか。
「パパは今これが仕事で、ママはこれが仕事で、
 さとみは勉強することが仕事ですね」とか、
そういう教えが書かれてたり(笑)。

あんだちゃんは、
お父さんに手紙とかもらったことありますか?

あんだ
あ、なんか、
小さいころは手作り絵本みたいなので、
「トイレのしかたの本」とか、そういうのを。
みんな わあー。いいなあ。

あんだ
手紙と言えば、ひとつだけ、
すっごい思い出深いことがあって‥‥。
わたしが高校生のとき、
学校の帰りにカラオケに行ったんですよ。
そしたら、それが先生にバレちゃって。
寄り道はいけないって言われてるのに、
カラオケなんて軟派なところに行って
先生にすっごい怒られた。
部活のみんなで行ったんですけど、
「部活、もう活動禁止!」みたいになって。
「なんでですか!?」
「先生のバカヤロー!」みたいな感じになっちゃって。
で、すっごい参ってたんです。
「親も呼び出しね!」とか言われてて。
あー、もーやだー、とか思って、
辛くなってたときに、父が、
「いや、俺も行くから。先生のとこ行くよ」って。
で、手紙をくれたんです。
ほぼ日 ほうほう。何て書いてあったの?

あんだ

‥‥なんか、
「そういう辛いことがあるけど、
 それを、いま乗り越えれば、少しずつ大人になって、
 いい人になれるよ。
 楽しいばっかりのドラマは、
 観ててもつまらないだろう?

みたいな、そういうかんじでした。
ほんと、でも、そうだなあって。

みんな へええ。

さとみ
泣いた?

あんだ
うん‥‥チキショーって‥‥。

賢作
アハハ‥‥いいね。青春してるな。
ほぼ日 感動するなー。チクショー。

あんだ
1本取られた。

賢作
そういうときってさ、
いちばん最後に「お父さんより」とか
書いてあるの?
「重里」とか書いてあるの?

あんだ
フルネームで。

賢作
「糸井重里」。あー、そうなんだなー。

あんだ
「父より 糸井重里」とか、そういう感じかな。
みんな へー。


賢作さんご自身も、家族に手紙を書くときは
やっぱりフルネームですか。

賢作
あのね、旅が多いんですよ、僕。
で、たまには葉書でも出すか、って思うんだけど、
これがさ、また、誰に出すかが問題で。
家族3人連名にしちゃってもいいんだけど、
そうするとよけいに書けなくなっちゃってね。
自分のことだけ書いて出せばいいのかも知れないけど、
なんかね、それぞれに出して、何か言いたいんだよね。

さとみ
へえ、それぞれに!
奥様、息子さん、娘さんって。

賢作
そうそう。

るか
どう違うんですか?

賢作
やっぱ、男の子には
「サッカー頑張ってますか?」みたいにね。
で、なんだか男の子には「お父さんより」とか
書けるんだけど、
娘に「お父さんより」って、
あれっ? っていう感覚なんだよね。
でも、「谷川賢作」って、
フルネームも変だな、って。
英さんは、手紙とかもらったことありますか?


ありますね。
僕は高校中退して、
1年ぐらい禅寺に修業に出されたり、
インドへ連れて行かれたりして。
その後、アメリカに留学したから、
手紙はちょくちょく書いてくれた。
でも僕、何にも憶えてないんですよ、内容。


さとみ
絵とかは、描いてあったんですか?

絵は、描いてくれなかったかな?
父の絵入りの手紙の話ではないんだけど、
僕、留学していたときに、
画家の谷内六郎さんの娘さんと一緒になって。
で、六郎さんから4コママンガ入りの
お手紙を頂いたのが、
僕はすごい印象に残っているかな(笑)。
うちの父からは、けっこうやっぱり説教だったかなぁ。
きっと今から思うと、愛情のこもった?
もしかすると絵入りだったかもしれないけど。


さとみ
でも、ご心配なさってたんですね。

きっと心配のしかたが、母親とはぜんぜん違って。
母親のほうは、
行動を伴った心配のしかただから、
そっちのほうは憶えてるんです。
たとえば、電話かけてきたりとか、
極端な話、アメリカに来ちゃったりとか。
父はそういうこと、しないから。
ほぼ日 陰から見守っているタイプだったんですね。

だから手紙が多かったんでしょうね。
もう残念なことに、内容は憶えてないっていう(笑)。
あ、でも、父がアメリカに来たことはあったなあ。
そのときは、「心配で来た」ということをあらわすよりも、
展覧会へ一緒に行ったり、いろいろな人に
会わせてくれましたね。


あんだ
お父さんからの手紙は、何通ぐらい来ました?


向こうにいる間、けっこう来ましたね。
んー、父もけっこう手紙を書くのが好きなんで。
それで僕も返事を書いて。
なんか、「息子からのポストカード」とかいって、
僕が送ったポストカードを、
絵の題材にしてくれたり

みんな へー! 素敵‥‥!

そんな(笑)。
父は息子自慢のような気持ちではないんですよ。
それがどうしたの? ぐらいにしか
僕は思っていなかったんだけどね。
きっとあれなんでしょうね、
父親はあんまり感情を出して、
僕に接してたっていうことはあんまりなかったかな?
どっちかっていうと、
環境づくりをしてくれたかな。


さとみ
いっつも必ず言われることって、ありました?

具体的には憶えてないんですけど、
ま、躾けに関しては、ほんっとに細かすぎるぐらい、
きびしかったかな。
っていうわりには僕、
ぜんぜん躾けのよい大人にはなっていないんだけどね。
たとえば父と打ち合わせに行ってても
一言なんか言ったことで、言い方が違うとか。
それこそ箸ひとつ落としたときの
取り方じゃないけど、そういうことを細かく。
母親よりも言われた。

考えてみると、もう僕が40代で父が60代なのに、
いまだに小さい子どもと親の
ケンカみたいに

親のひと言ひと言に
ムカツいたり反抗したりする親子関係を
友達からは「羨ましいじゃん」って
言われちゃったこともあるけど。


さとみ
なんか、いいですね。

うん、小学生レベルの会話が
まだできてるっていうのは、
極端な話、ま、いいかな?って。
もう大切に大切に、「あ、大丈夫?」なんて
こっちが必要以上に
いたわらなければいけない父でなくて
あー良かったなーなんてね。


ほぼ日 すごい関わってる親子ですよね。
あきらめてないですよね、親を(笑)。

人から見ると、すごい仲良しじゃん、
って言われるんですけど、
たぶんそうなんでしょうね。
いろいろお話しましたけど、
結果的には仲がいいのかな。
ひとつひとつを具体的に言うと照れ臭いけども、
あぁ好きだな、って、
最近言えるようになってきたかな。
こういう場に参加させていただけて、
ちょうど良かったのかも知れない。

みんな わああ(感動)
 
<あさってに、つづきます!>   

★読者メール紹介!★
皆さんのお父さんの話に釣られてウチの父の話も。
私の父はグルメ父です。
学生のころから銀座を根城にしていたらしく
美味しいものが大好きでそれで体を壊して、
脳出血で入院して、それでも看護婦さんと
飲みに行くような人です。
その父の一番の自慢は、銀座のお姉さんと
飲んでいてラーメンの話になり、
そのまま飛行機で博多までラーメン&屋台を
食べに行ったことです。
ちなみに二番目の自慢は、
私が2歳くらいのときに浜松まで新幹線で
鰻を食べに連れて行ったことのようです。
母に言わせると
「盗み食いをする背中の角度までそっくり」な
私たち父娘は、とっても仲良しなんですが
食べ物の好みが似すぎで
食事のたびにバトルになってます。
(順子)

わあ!グルメお父さん、せこせこしてなくて
男気があってカッコいいですね。
順子さんも、ドロドロ血にならないよう
身体だけはお大事に!
グルメなところが似ているのって
なんだか豊かな気分がして羨ましいのですが、
私は父に似たくないところが
似てしまって悲しいです。
何でも正面から受け止めてしまって、
心に遊びがないところとか、
短気なところとか・・・。
これから、似てよかったところを探す
旅に出ようと思います。
(さとみ)


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私はほんとうにお父さん似です。
顔やひょろりとした風貌や片付けの
できないだらだらしたところとか、
本の虫のところとか。
あまり多く話をしたりせず、
二人とも別々の本を読みながら
だまーっていることもしばしば。
どちらもぐうたらなため、
2人ともよく母に叱られます。
そしてしょんぼりした片方に、
もう一方が「行く?」と声をかけ、
向かうところは本屋さん。
車のなかでは母の悪口炸裂です。
「もっとな〜おおらかに生きなあかんよな〜
 あの人も」
なんて弱虫な2人組。のんきな2人。
(こんぽ)

共通の趣味があったりすると、
きっとよりわかりあえるんでしょうねー。
ここまで気のあう親子って素敵です!
うちは共通の趣味じゃないんですけど、
母のほうがぐうたらで、整理整頓が
まったくダメだったので、
「ちゃんとやってくれー!」と
母を攻撃するときだけは、
父と娘、がっちり手を組んでました。

(るか)
★★★★★★

『ピノキオ』スペシャルエディション
 発売記念


「ゼペットさんとピノキオ」という、
父と子の愛情を描いた、1940年に生まれた名作
『ピノキオ』のビデオとDVDが
6月20日、スペシャルエディションで発売されます。
(『ピノキオ』って、じつは、
 お父さんが子供と観るには最高のストーリーなんですよ!
 『ピノキオ』について、くわしくは、
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『ピノキオ』の発売を記念して、
この「お父さんと、いっしょ。」の連載が
更新されるたびに1名さまに
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第四回のピノキオグッズに当選した方は
千葉県の Iさまです!
たくさんのご応募ありがとうございました!
毎回更新毎に抽選しますので、
ふるってご応募ください!

プレゼントご希望の方は、
メールの表題に「ピノキオ」と書いて、
●氏名
●住所
●ご連絡先電話番号
と、「お父さんと、いっしょ。」への感想を
ひと言お書き添えのうえ、
pino@1101.comまでメールにてご応募くださいね。

応募しめきりは、「お父さんと、いっしょ。」の
 連載が更新された日の翌日の、午前11時となります。
(たとえば、6月4日水曜日に連載が更新された場合は、
 6月5日木曜日午前11時が
 プレゼント応募しめきり時間となります。
 つまり、連載が更新されてから、まる24時間が
 ご応募の期間となります)
※ご応募プレゼントの発送は6月20日以降となります。
 ご了承くださいませ。
 当選された方の発表は、
 次回更新のこのページで行ないます。
※応募メールにお書きくださいました感想は、
 「お父さんと、いっしょ。」をはじめとする
 ほぼ日刊イトイ新聞のページのなかで
 紹介させていただくことがあります。

2003-06-04-WED

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