YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。

ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。

さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson824
 読者の声2 ― 「おかあさんのアバター」について



母娘問題のコラム「おかあさんのアバター」には、
娘の立場から多数反響が寄せられ、
先週「読者の声」で紹介したが、

「まさにアバターの母でした」

という読者から、おたよりをいただいたので、
ひきつづき「読者の声」を紹介する。


<アバターの母>

まさしく、私は「アバターの母」でした。

3人の子どもと夫、夫の両親と同居の
兼業農家の7人家族。

私は都会の核家族の一人っ子育ち。

長女が可愛くて、
私の決めた思い通りの枠の中で育てました。

でもその時は
全くそのことに気づいていませんでした。

そんな中、夫の病気、私の病気。

そして長女が中3のときに、
夫が亡くなりました。

娘が高校生のとき、
特に何かがしたいという希望もなく、
私は、

「手に職をつけられるところにすれば?」

と専門の大学を勧めました。

娘は、私の言うがままに受験して合格。

しかし、
入学して5月の連休明けから
大学に行かなくなりました。

大学で、
まわりの学生が志を持っているのを見て
「自分はそうではない」、
と今までの我慢が切れてしまったのです。

大学に行かなくなって、
娘は、家の中で荒れました。
ご飯も食べず、部屋から出ず、

私はイライラしました。

「どうしたいの?」

と聞いても何も答えません。
心配になって、
娘を心療内科へ連れて行きました。

そこの先生が娘を診察して私に言いました。

「おかあさん、
子どもはお母さんの思い通りには動きませんよ。
やりたいようにやらせてあげればいいんですよ。」

それでも大学だけは行ってもらいたくて、

口を閉ざしたままの娘に
何度も問い詰めました。

やっと娘が言った言葉が

「行きたくて行った大学と違う」

信頼できる人たちにこの件を相談しました。

心がストンと落ちる言葉をもらいました。

「巣立ちのときと違うかな。」

「自分の行動が自分でちゃんと決められて偉いね。」

原因が私だったこと。
娘を言いなりに育てたこと。

娘のためではなく、
自分のための子育てをしてしまっていたこと。

そして娘は、精一杯私に尽くしてくれたこと。

ゆっくりと時間をかけて反省しました。

そんな私の変化と同時に、娘も変化し始めました。

大学を辞めてバイトに行き始め、
20歳になって一人暮らしを始めました。

娘らしい朗らかさが戻って、娘と同等に会話ができる。

今はそれがすごく嬉しいです。
(karen)



「家族は一緒にいるべきだ」と
当然のように言う人がいる。

でも、本当にそうだろうか?

田舎育ちの私は、18歳から、
大学に行くため親元を離れ
一人暮らしをせねばならなかった。

都会で通学圏内に大学が多数あり
大学になっても親と一緒の人がうらやましかった。

しかし、大学で教えるようになって、

文章表現教育を通じて、
「離れて暮らす親子のカタチ」を
たくさん見るようになった。

たとえば今年、Jリーグに入った学生は、
15歳からずっと親もとを離れて暮らしている。

そんなふうにスポーツとか、
独自の夢を追ってきた人の多くが、
早いうちから親と離れて生活しており、

しかし、そうした学生ほど、
「家族」が、これ以上ないくらいの
精神的な支えになっている。

ツラいとき遠くの家族を思ってガンバレる、
とかいうレベルでなく、

生きる意味のど真ん中、
夢のど真ん中に「家族」がいる。

ある学生は、プロ入りに手が届きそうになって、
焦り、自分を見失いかけた。

夢が至近距離に迫ってきたことで、
現実を目の当たりにしたのだ。

夢直前で挫折していく人の姿や、

自分と同じくらいの年でも大学に行く選択をせず、
すでにプロとして世界で活躍している人、
すでに戦力外通告を受けた人、

そうした現実に心をかき乱されて、焦り、

本来の自分が発揮できず、
結果が出せなくなり、
夢を追う意味もわからなくなって

その状態から、抜け出せなくなってしまった。

もちろん、サッカーを見てくれるすべての人のために
頑張る、感動を与えたい、
そういう正直な気持ちもある。

チームや恩を受けた人のために頑張る、
それも、もちろんそう思ってはいるが、

窮地から抜け出すまでには至らなかった。

しかし、「家族」を想ったとき、

物心両面でずっと支え続けてくれた家族、
日本中どこで試合があっても必ず応援にかけつけて
くれる家族、

「家族に対して、サッカーでどう表現するか。」

それこそが自分が夢を追う真意だと気づいて、
その学生は窮地から脱却することができた。
離れていても家族がこれ以上ないほど機能している。

家族が「生きるチカラ」になっている。

「家族はどこか何かが同質だ。」

血がつながった家族なら、同じ遺伝子を持っている。

血がつながっていない家族も、
一つ屋根の下で、似たようなものを食べ、
同じような文化や習慣で暮らしていくと
「同質」の部分を多く持つようになる。

同質どうし、ひっつきすぎ、長期になれば、
視野も広がらなくなる。

同質どうしの小競り合いは、やがて、
自分で自分をこきおろすような、
おたがいをつぶしあうものになる。

だから、
同質の者のなかで育まれた人間が、
やがて異質な人を求めて巣立っていくのは
自然なように思える。

「同じ遺伝子を持つ者どうしだからこそ、
世界の四方八方に飛び散って、それを生かせ」

という発想もアリだ。

自分と大きく異なる人々のなかで生かせば、
家族の中で当たり前だった性質は「個性」として輝く。

異質なもの同士がぶつかれば、
新しい考えに触れられ、ひらけがある。

そう考えると、

18歳で物理的に親と引き離されてしまったことに、
いまはむしろ「感謝」している自分がいる。

自他ともに認める「おかあさん子」の私は、
あのまま一緒にいたら、自立は遅れたろう。

「家族は一緒にいるべきだ」

その考え方を否定はしない。
いいことなんだろうと思う。一方で、

「家族はいつか分かれて生きるものだ。
それでもお互いが生きるチカラになる。」

そういう道もある、と私は思う。

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「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
  上記アドレスに送らないでください。
  山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
  直接ご連絡いただくか、山田ズーニーの本を出している出版社に
  連絡先をお問い合わせのうえで、
  ご依頼くださいますようおねがいします。


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★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。


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『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!



ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
 無料で聴けます

 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。

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ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



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 お問い合わせください。


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『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!

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『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。

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『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。


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『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!


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▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)

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ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。

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「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。

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『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。



『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!




『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社




『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社




『おとなの小論文教室。』
河出書房新社



『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの 痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)

山田ズーニーさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「山田ズーニーさんへ」と書いて、
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2017-04-26-WED

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