「こんにちは。滝川クリステルです。」滝川クリステルさんがいま、一番気になる仕事。

ようこそ、滝川クリステルさん!
雑誌「GOETHE」の企画で、
滝川さんと糸井重里の対談が実現しました。
これまでにたくさんの著名人と会って
第一線の仕事を見てきた滝川さんが、
「いま、一番気になる仕事」として、
糸井重里をインタビューしてくださいました。
フリーアナウンサーとしての活動のほか、
動物愛護活動にも力を入れている滝川さんと、
仕事や動物の話を中心に盛り上がりました。
対談の最後に「イメージが変わりました」と
糸井が語ったふたりの初対面、どうぞおつき合いください。
※「GOETHE」2017年6月号に掲載された対談を、
ほぼ日編集バージョンでお届けします。

滝川クリステルさんプロフィール

1977年フランス生まれ。
東京オリンピック・パラリンピック
競技大会組織委員会 顧問。
WWFジャパン 顧問。
フランスの芸術文化勲章シュバリエを受章。
ローランギャロス日本親善大使
一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表。

アクティブな女性

糸井
滝川さんは今日、
絆創膏をされていて。
滝川
そうなんです。
結構、アクティブに動くので。
糸井
小さい頃は男の子のように
育ったという感じですか。
滝川
そうですね。いつも外に出てました。
糸井
その気配はありますよ。
滝川
本当ですか?
糸井
うん。何が表しちゃうんだろう?
滝川
えー、なんですかね。
糸井
ねぇ、なんでしょうね。
滝川
仕事では、世界一高い、セコイアという
木にも登ったりしていますけど。
個人では登れないところですからね。
糸井
ああ、そうですか。
登る機会を与えられてよかった、
というやつですよね?
滝川
そうです、そうです。
自然と一体化したいという気持ちが強くて。
糸井
ネーチャーゲームでしたっけ、
本当に自然と一体化すると、
自分のからだに鳥がとまるんです。
滝川
そうみたいですね。
糸井
あれは憧れですね。
滝川
余計な雑念もなくなるんですね。
糸井
ぼく、セミは素手で捕れるんですよ。
気配を消せばいいんで。
滝川
気配。
糸井
それはね、やればできるんですよ。
その極端な形がネーチャーゲームです。
滝川
やっていることは瞑想に近いんでしょうね。
糸井
そうですね。
もともとは原子元素のレベルでいえば、
セミも、鳥も、自分も、
同じ材料でできてるわけだから、
母は一緒だと思うんですよ。
というところまで感じられたら、
相手にも同じ水準で伝わるんだと思うんですよね。
アメリカにいるプロの釣り師に、
そういうタイプの人がいるんですよね。
滝川
糸井さん、釣りはお好きですよね。
糸井
釣りは楽しかったですけど、
ぼくは、研究家としてはヘタなんで。
マーケティング的に
一所懸命やった人のほうが釣れるんですよ。
ぼくも釣りの研究に興味はあるんですけど、
そんなに一所懸命になれないという
弱点があったから、ハンパでしたね。
でも、リック・クランという釣り師は、
ほとんど裸に近いような恰好で
魚の居場所を探すんですよ。
魚がどういう感じで生きているかを、
からだで感じているんです。
滝川
釣り竿を通して感じる作業ですよね。
いま、釣りはされていらっしゃるのですか。
糸井
釣りが一番楽しいって言いながら、全然できていません。
趣味は何ですかって言われたら、
本当は「釣り」って言いたいけれど、してませんね。
滝川
私も、以前、お仕事で釣りをしたことはあるんですけど、
最初にサメを釣っちゃったんですよ。
糸井
いきなり、サメ。
滝川
それがトラウマになっちゃって。
東京湾で釣りをしていたら、
いきなりサメが引っ掛かっちゃった。
糸井
まあ、あり得ますよね。
滝川
もう、びっくりしちゃって。
東京湾では、意外と釣れるらしいんですけど、
釣りなんてほとんどしたことない人が、
いきなりサメを釣っちゃったら、びっくりしますよね。
もう、手が痛くて、痛くて。
でも、周りはおもしろがって、
ひとりでリールを回せって言うんですけど、
もう本当に痛かったんです。
助けてくださいって言っているのに、
誰も助けてくれない。
糸井
水面に上がってくるまでは、
普通の釣りですからね。
滝川
普通の釣りを楽しめないぐらい、強すぎました。
あと、これもお仕事でパプアニューギニアの孤島で
釣りをした時には、珍しい魚が釣れたんですけど、
口を開けたらネズミがいっぱい入っていて。
糸井
ネズミ!
滝川
背中に大きな黒い斑点がある魚で、
肉食だったんですよ。
糸井
ネズミを喰っていたところを釣った。
滝川
釣った魚に、たまたまネズミが入っていて。
口から1匹出てきたと思ったら、
中にもう1匹がいて‥‥。
もう、トラウマですよ。
よくそんなの釣ったねってびっくりされて。
糸井
それはすごいね。
滝川
釣りに対して、ちょっと1歩引いているんです。
糸井さんは、釣りでそういう体験はないですか。
糸井
琵琶湖で釣りをしていた時に、
暗くなってからもやめたくなかったんです。
ヤーって竿を振ったら、
水に落ちた気配がないのにアタリがあったんですよ。
あれっ、釣れたのかなって思ったら、コウモリだった。
滝川
空中でキャッチ。
糸井
空中ですね。
それはびっくりしました。
滝川
釣りは、本当にびっくりする
出会いがあるものなんですね。
糸井
見えないところから
何かを引き出すという意味では、
宝探しですからね。
滝川
そういえば私、テレビ番組のロケで
深海の魚も釣ったことがあります。
もう、水深何百メーターだったかな。
機械で、勝手に回るものでしたけれど。
糸井
電動リールですね。
滝川
そうです、そうです。
深海があまりにも神秘的だから、
何が釣れるかっていうので釣りをしたら、
釣り上げた時の魚の目が飛び出るんです。
それを見たら、もう‥‥、
本当に申し訳ないって思って。
糸井
みんな、そうなるんですよね。
いま、みんなが普通においしいねって言っている魚で、
実は深海に近いようなところで暮らしている、
ハタ類とかもいるから、不思議はないんですよ。
みんな、目が飛び出していますから。
滝川
そうそう。
深海魚は、びっくりするぐらい
おいしかったんです。
糸井
キンメダイとかも、
結構深いほうにいるんじゃないかな。
身のやわらかくておいしい魚は、
だいたい深海のものですよ。
滝川
あと、海だけではなく、地中もありますよね。
地中って、すごくおもしろいなと思っています。
人間にとって、未開拓なところですよね。
糸井
洞窟とか?
滝川
洞窟ですね。
宇宙にも行くようになったし、
海はもっとも神秘的だって言われていても、
地中はまだまだ開拓されていない場所です。
実は、すごくおもしろいところだなと思っています。
糸井
地中に潜ってから、
中でテントを張ってキャンプをするんですよね。
滝川
あ、キャンプしましたね。
お正月にBSでやっている
「アースウォーカー」という番組で。
糸井
おお、それはすごいや。
だいたい、そういう仕事は
テレビスタッフがやることですよね。
滝川
そうですね(笑)。
糸井
ぼくが昔やっていた埋蔵金のチームは、
そういうスタッフの人たちなんです。
滝川
私、洞窟でキャンプをしたときに、
「そういう仕事をやるのは、
お笑い芸人か、あなたしかいない」って言われました。
罰ゲームでお笑い芸人さんが洞窟で過ごすような仕事を、
よく引き受けたねって言われて。
糸井
その気配はありましたよ。
滝川
ボロが出ないように気をつけます。
糸井
なんでしょう、バレるんだよね。
滝川
バレちゃうんですかね。
糸井さんは、勘が鋭いです。
糸井
いつもだったら、
「エレガントな人」っていう位置づけですよね。
滝川
そうでしょうかね。
糸井
斜めにお辞儀するエレガントな人。
滝川
ファッションとかは、
一応そういうふうにしていますけど。
糸井
それでもね、バレるんだよ。
でも、それがまたよかった。
ハリウッドで主演を張っている女優さんとか、
そういう人が多いでしょう。
みんな、小さい頃は男の子って言われたような、
アクティブな少女時代を過ごして。
滝川
ああ、そうですか。
そうでないと、
たくましくやっていけないんですかね。
糸井
女の人はみんな、女役をできるけれど、
男役になって戻って来た女役のほうが、
より本当っぽいですよね。
歌舞伎でも、男の人が女役をやると
女っぽくなるじゃないですか。
男っぽくしていた滝川さんが、
女っぽく振る舞えばいいだけだから。
滝川
女っぽく、演じる。
糸井
おもしろいですね。

(つづきます)
2017-06-26-MON