第23回 ニッポンのお鍋のカルタ
鍋を囲んで 集まる 笑う

とても素直で、ストレートで、
それでもやっぱり「お鍋」の魅力を
じんわりと伝えてくれる読み札を
今回の冒頭に置いてみました。

食卓を囲んでみんなで「いただきます」。
ごろんと大きな「お鍋」を真ん中において、
ぐつぐつ煮ながらたいせつな人と笑顔で過ごす、
あの、「ゆっくりやわらかな」あたたかさ‥‥。
お鍋の周りの笑顔が見えるような一枚を、
キープ箱(下のほうにあります)へと収納しつつ、
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
お題・「鍋料理」にも、
あたたかな投稿をたくさんいただきました。

メールをまわして 鍋だ集まれ!

なるほど、「今」っぽい投稿です。
気のおけない仲間と一緒に食べるのがいちばんですからね。
メールをまわせば、くいしんぼう友だちがぱっと集まる。
お鍋にとっても、便利な世の中になりました。

さあ、家族なり、友だちなり、
一緒に食べる人々が集まりましたよ。

ゆげも一緒に いただきます

わぁ‥‥
なんだかほんとに鍋のふたを開けたような読み札。
では、いただきましょうか。

待てぃ 待てぃ! と奉行の一声

そうでした。かならず登場するのでした。
その日の鍋を取り仕切るお奉行様が。

・鍋の数だけ 鍋奉行

その通りだと思います。
「やれやれ」と笑われたりもしますけど、
立派なお奉行様はありがたいもので、
おおせの通りにしていれば、ほぼまちがいなく
おいしい鍋へと導いてただけるものです。
きっと「鍋の方向性が定まる」からなのでしょうね。

それだけに、こういうことになるたたいへんなんです。

・鍋奉行 ふたりいると 揉める

鍋の方向性が定まらなくなっちゃう。

そういうわけで、
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」としましては、
その日の鍋奉行をはっきりと1名決めておくことを
強く推奨しようと思うのです。

鍋自慢は お国自慢

こちらもズバリその通りで、
鍋を愛する人々にはそれぞれに
「自分の味を食べさせたい」という思いが
強くあるわけで。
そんな意味でも「きょうの奉行」を決めておくのは
とてもたいせつなことだと思いますよ。

でもこれは「仲間が集まる鍋」の場合で、
家庭の鍋ということになると、
奉行はやはり、お母さんでしょうか。

母にとっては 楽ちん料理

ということもありますものね。
材料を用意して入れるだけだし、
鍋がそのまま器にもなるし、
その上、家族みんながおおよろこび。
ほんと、鍋ってすごい‥‥。

・鍋だとなぜか はりきる父

鍋奉行の父の血が騒いで、取り仕切ってくれれば
これまたお母さんにとっては、
さらに楽ちん料理になりますね!

肉の投入は先か後か スキヤキ東西戦争

あー、あります、この違い。
西はお肉が先なんですよね。
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も、
先日京都旅行でその違いを体験してきました。
砂糖をからめて最初に一枚だけ焼いて食べる、
あの牛肉の美味しさといったら‥‥。
東の味しかしらなかったので、衝撃でした。
でも東には東の美味しさもあり‥‥。
‥‥スキヤキ東西戦争、
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」は
中立の立場をとらせていただくことにします。

・お肉としらたき 遠ざけろ!

しらたきはお肉をかたくするから、
鍋の中ではお肉の遠くにセットせよ。
スキヤキ好きなら常識なのではないでしょうか。
‥‥それにしても、
お肉をかたくするというデメリットを知りながら
それでも、しらたきを入れるんですね?
とあらためて自問します。
そして、「はい」と自答するのです。
なぜなら、スキヤキにしらたきは欠かせないから!
デメリットをこえたおいしさがありますからねぇ。

しいたけに バッテン

飾り包丁。
味がしみやすくなる上に、
見た目にもかわいく、おいしそうに‥‥。
ふしぎで愛おしいニッポンの調理術と言えるでしょう。

・ふくれてぱんぱん おでん鍋

・困ったときの 水炊き

おでんも水炊きも、いいですねぇ‥‥。
これまた地方によって様々な
おでんや水炊きがあるようで。
ニッポンの鍋料理、つくづく奥が深いです。

おたまを箸で つまみあげ

夢中になって食べてると、
おたまが鍋の中に水没しちゃったりして。
みんなで軽く笑い合ったりして。
‥‥あぁ、ずいぶんあたたまってきました。

野菜も食べなさい

「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」にも、
育ち盛りの子を持つ親がいます。
成長期の子どもというものは、
とにかくお肉を求めるもので。
栄養のバランスを考えても、
おいしい野菜を食べてほしいんですが‥‥

野菜でくるんで 肉をとる

という作戦にでたりするんですよ。
‥‥ん? でもこれって、
おとなになってもやることかも?

あたたまるにつれ 徐々に 直箸

直箸は「じかばし」と読みます。
自分の箸をみんなの料理に直接入れてしまうことで、
本来はお行儀が悪い行為なんですが、
鍋がすすむと、自然と直接になりますよね?
はじめて一緒に食事をする人とも、
直箸になるころには
お互いずいぶん打ち解けていたりして。

・もう全部入れちゃって いいんじゃない?

こちらもずいぶん鍋がすすんだ段階で
でてくるセリフです。
おなかも落ち着き、のんびり食べる時間。

かと思うと、終盤にきて、こんな人も‥‥。

まだいるはずだ! オレの牡蛎

オレのって‥‥。
みんなで食べてる鍋なのにねぇ。
‥‥でも、ちょっとわかる気もします。

鍋の途中参加は 悲しい

これは悲しい!
やはり鍋は、開演時間の前に席につかないと!

うれしはずかし お鍋をよそう

こ、これは、どういう場面なのか‥‥。
新婚さん? 初デート?
いずれにせよ場面に鍋があることで、
しあわせ感が倍増していると思いまして、キープ。

鍋終わり 〆はうどんか雑炊か

今回、最も多かったのが、
こうした「鍋の締め」に関する読み札でした。
投稿作品ぜんたいの4分の1は、
「鍋の締め」を詠んだものだったのです。

・おじやのために セーブします

・意地でも食べたい 締めの雑炊

・ぞうすいは 別腹

・最後は のの字に 玉子をかけて

・満腹でも食べちゃう 最後のうどん

まだまだあるのですが、このような具合で。
ちなみに「雑炊」と「おじや」の区別は
けっこう曖昧なようで、要はどちらも
鍋の最後に「ごはん」を入れるということです。

こんなにも「締め」の投稿が多いとは、予想外。
ニッポン人は鍋の最後をとても重要に考えている、
と、はからずもそんな実態が明らかになった気がしました。

おじやを蒸らす ふしぎな静寂

数多い「締め」の作品のなかで、
印象的だったのがこちら。
「はあ〜」
と満足なため息をもらす人々の前に、
じっくりとおじやを蒸らす、鍋。
幸福感に満ちたふしぎな静寂が伝わってきます。

お題・「鍋料理」の最後は、
こんなにすばらしい一枚を。

今日は早く 帰ってきなさいよ

‥‥いいなぁ、今夜は鍋なんだぁ。
いっぱい遊んでおなかすかせて、帰らないとね!

しっかりとあたたまったところで、
「フリー部門」へとまいりましょう。

‥‥前回予想した通り、今回は「鍋料理」に
投稿が大きくかたよりました。
というか、最近は
「お題部門」に投稿が集まる傾向が強いようです。

とはいうものの「フリー部門」をなくしてしまうのも
これ、悲しいことで‥‥。
相変わらず「フリー部門」は募集しつつ、
「コレ!」というのが届いたら掲載する、
ということにいたしますね。

そんなわけで、今回はコレ!!

クラスにひとり 三国志マニア

三国志マニア!
たしかにいました!!
中国、魏・呉・蜀の三国の抗争を綴る歴史物語。
なぜでしょう?
ニッポンではとても人気が高いですよね。
たしかにクラスに数人、
夢中になっている者がいた記憶があります。
漫画「三国志」が流行っていたような‥‥。

それにしても、今回のテーマ「鍋料理」とは
ぜんぜん関係のない読み札ですねぇ。
いままでの、どのお題にも含まれないし。
これぞ「フリー部門」!
こういう「思わぬ角度からの投稿」、お待ちしています!

今回はこのあたりで。

今週もキープ札は、すべてこちらの
「キープ箱」に加えさせていただきました。

キープ箱
※きわめてニッポン的な音がしますのでお楽しみに&ご注意を

「キープ箱」の中身は、毎回更新していきます。
あなたの札が、ここに入りますように‥‥。

それでは、次なるお題を。

「あいさつ」。

「こんにちは」「こんばんは」「おはよう」
「いらっしゃい」「さようなら」「またね」
いろんなシーンごとに様々なあいさつがあります。
さらに、それぞれの方言を挙げていけば
たいへんな種類になりますよね。
あと、お辞儀とか名刺交換とか、
ニッポン独自のあいさつのシーンも思い浮かびます。
「ふしぎで愛おしいニッポンのあいさつ」
お待ちしています!
変わらず「フリー部門」も、募集中。
それと‥‥あれ? 今回はなかったですね、
「言いたいだけ札」。
やっぱりないと淋しいかも‥‥控え目に大募集です!

下にあります投稿のルールを軽く読んで、
「なるほど」と思われましたら、
お気楽にご投稿くださいませ。
みんなで、カルタをつくりましょう!

 

投稿のルール(仮)

募集するのは「読み札」

カルタは「読み札」と「取り札」に
わかれているわけですが、
当面は「読み札」のほうを募集したいと思います。
七五調や七七調の札がカルタっぽいみたいですよ。

「ふしぎと愛おしい日本」がテーマ

なにを書いてもよい自由な投稿です。
でも「ふしぎと愛おしい日本」というテーマからは
どうぞ、はなれないようにしてくださいね。

どの文字で投稿するかは自由

「いろはにほへと‥‥」の文字のなかの、
どれを選ぶかは今のところ自由です。

部門について

大きくわけて、「お題をテーマにした部門」と、
それ以外の「フリー部門」の投稿を受け付けます。
過去の「お題」を投稿するのもOK。
その場合は「フリー部門」への投稿になります。

ひとつのメールにひとつの「読み札」

いっかいの投稿で送る「読み札」は、
一作品だけにしてください。
ひとつひとつ、集中して吟味したいので。
たくさん思いついた場合は、
何回もメールを送っていただければ大丈夫です。

詠み人しらずの投稿です

『万葉集』のように、というと大げさですが、
“詠み人しらず”の作品を集めたカルタを目指します。
“無名の知”のパワーに期待するカルタを。
なので、投稿者のハンドルネームは発表いたしません。

2007-12-12-WED
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