仲畑貴志くんという同業者のともだちがいます。
ぼくは、「ほぼ日」をはじめてから、
昔のようにともだちと無駄に会う時間が
すっかり減ってしまって、
彼とも、年に一度か二度会うくらいになっていました。
ま、ともだちというのは、
「しょっちゅう会ってなくてもかまわない」
というところまで含めて、言うのだと思うんですけどね。
ところが、ひょいとしたきっかけで、
仲畑くんの書いた『この骨董が、アナタです。』
という本を手に入れて読みはじめたのですが、
これがむちゃくちゃにおもしろい。
彼は、骨董の趣味を夢中になって語ると、
聞いてる人が迷惑すると考えているらしいので、
この本も、ひっそりと出していたようです。
骨董のような「わけわからん魔物」に、
近寄ったり離れたりしながら、
その「まぼろし全体」を、ふわっとつかみとっています。
フィクションめいた文章にしたり、講談調に盛りあげたり、
過剰に謙虚さを演出したり、阿呆になって見せたり、
なかなか一冊の本のなかで忙しく動いているのですが、
根っこにあるのは、「有り合わせの考え」に
だまされまいとしているという姿勢です。
これは、基本的には
「どうしたら嘘をつかないことができるか」
という問題でもあると思うんです。
これが、見事にできている。かっこいいんですよ。
骨董について巡り巡る思いの旅が、
人間論としても、ブランド論としても、
おもしろおかしい落語の本としても読めるんだなぁ。
友人の著作だけれど、ほんとに大ヒットでした。
(「今日のダーリン」より) |