1、2週の収録を終えて、落ち込む。
昨年からずっと、
この番組にかけてきた。
書店置きのテキストもたおれるまで書いた。
(中略)
なのに、自分は、何をしてるんだろう?
私が、1回目の放送で、
なぜ、思うようにしゃべれなかったかと言えば、
テレビが初めてだったからだろう。
そのことに、いまさらのように気がついた。
生まれて初めての環境には、
そこ、独特の文脈や、作法(=プロトコル)があり、
その中に入って、新人は苦しむ。
新人にできることは、そこで後にまわらず、
打って出て、失敗して、
その痛さでプロトコルを
体でつかみとっていくことだけだ。
3回目の収録、今度は化粧をしてくださる方に、
できるだけ自然にと言えた。
鏡を見たら今度は自分の顔だった。
今度は、話に専念しよう!
今度は伝えるんだ! と思えた。
本番。「自分」の声が出てきた。
なぜ、自分の声が出てきたかと言えば、
一度テレビに出たからだ、そこで失敗したからだろう。
「後にまわるな、打って出て、つかまえろ!」
私は、新人の自分にそう言い聞かせていた。
(「おとなの小論文教室」より) |