第8回 みんなで遊べるゲーム。

糸井 『どうぶつの森』って、
もともと終わりのないゲームなんだけど、
今回、さらに終わりがないな
っていう感じがしますね。
岩田 うん。そうですね。
糸井 たとえばこれまでのシリーズって、
いちおう、お金でやれるところはここまでって
やり尽くせるポイントがあったと思うんですよ。
でも、今回の『とびだせ どうぶつの森』は
自分の家をとことん自分好みにしたら
終わりというわけじゃなくて、
その先に村全体を自分好みにしていったり。
京極 はい。
役場や駅舎も改築できるようになるので、
公共事業で村全体を変えていくことができます。
たとえば、「メルヘンな村」を
つくることもできます。
糸井 お金いっぱい稼いで、
豪邸を建てて、好きな家具をぜんぶ買って、
ぜんぶの花と果物が育つ村にしても、
まだ終わった気はしない、ってことだ。
毛呂 しないと思います。
岩田 ほんとに終わる気がしないんですよ。
自分はもう極めたと思っても、
世の中にはもっとうわてな人がいて、
それを発見すると、まだまだやれることがあって。
毛呂 ほかの人のいろいろな村を
「夢見の館」で見ることができますから、
そういう意味でも「終わりがない」と思います。
糸井 はー、すごいねぇ。
で、もちろん、豪勢に、たくさん、
という方向性だけに
目的が決められちゃうわけじゃないし。
「黒い」部分を自由に出しても、
おもしろく遊べてしまう。
岩田 そうですね。
なにをしてもいいけど、
「ただの清く正しい世界」になるようには
つくってないです。
「影の部分」も含まれていないと、
深さとかすごみは表現できないですからね。
糸井 「うれしい」にしても、
「悲しい」が背景にないと、
うれしくないんですよね。
だから、豪邸を極める一方で、
その逆のこともできるっていうことですよね。
秀吉の黄金の茶室みたいなものをつくりながら、
千利休のわびさびをやる人もいるという。
岩田 はい、はい(笑)。
糸井 いっぱい稼いで、寄付もして、
「でも、いちばん最初に買ったお茶碗を
 ずっとつかってるんだよ」っていう。
岩田 自分の村にお金をつかわずに
ほかの人の村に寄付するっていうことも
できますからね。
糸井 ああ、そうですね。
あしながおじさんじゃないけど、
わかんないように、わかんないように、
気をつけたりしてさ。
岩田 バレないように寄付をする(笑)。
京極 こっそり寄付すると、誰がしてくれたのか、
ほんとにわからないです。
糸井 それを狙うのもおもしろいですね。
繰り返しやることって、やっぱり
現実にやってることに似るんだよね。
ああ、いいなぁ、たのしいなぁ。どうしよう。
これやると、ちょっと忙しくなるなぁ。
永田 ハイ、質問です。
糸井 お。永田くん。
永田 糸井さんに質問なんですけど、
年々、遊ぶゲームが減ってきてるなかで、
『どうぶつの森』シリーズだけは
やるじゃないですか。
それは、どうしてだと思いますか?
糸井 ああ‥‥なんでだろうねぇ。
うーん、ひとつは、
仕事をさせないからじゃないかな。
永田 ゲームが、遊び手に対して。
糸井 うーん‥‥それだけじゃないよね。
岩田 つまり、自由度があって、特定の目的がない。
糸井 そういうことですよね。
ただ、それだと理屈っぽい答えになりますね。
だから‥‥すごく乱暴にいえば、
「かわいいから」じゃない?
岩田 ああー。
糸井 あとやっぱり、自分がいるんだよ、この中に。
岩田 表現していくうちに、そこで表現されるものが、
自分になっていくから。
糸井 そうそう。
このゲーム全体が、
自分のアウトプットなんですよ、やっぱり。
とはいっても、この絵がかわいくないと、
ぼくはやらないと思うな。
音楽も絵も、丁寧につくられているから、
かわいくて、おもしろいんだね。
岩田 なるほど。
糸井 さて、ずいぶんお時間をいただきましたが、
最後に、みなさんから、
このゲームを待ってる人たちに
ひと言、もらえますでしょうか。
京極 はい。
長いことお待たせしてしまいましたが、
お待たせしたぶんのボリュームと、濃さと、
新しい要素が入っています。
いままで遊んでいたかたにも、
今回がはじめてというかたにも、
幅広く遊んでいただけるゲームです。
また、3DSの通信機能を使って、広く、
『とびだせ どうぶつの森』を
遊んでいる人どうしでつながることができるので、
たくさんの人に遊んでいただけたらいいなと思います。
毛呂 『とびだせ どうぶつの森』をゲームとして、
まずは一所懸命やってほしいんですけど、
そこでとどまるんじゃなくて、
うちの村でこんなことがあったんだとか、
カブの話とか、ローンの話なんかを、
実際に話題にして、友だちと共有してもらうことで、
やったことない人も「え、なにそれ?」
って思うような、そういう輪が広がっていくと、
おもしろいと思うんです。
そういう意味で、このゲームがどんどん実世界にも
飛び出してくれるといいなぁと思います。
糸井 ああ、よくわかります。
岩田 開発チームの人たちから、
「『前とあんまり変わってない』
 とは絶対言わせない!」
という気持ちをものすごく感じるんです。
というのも、Wii版のとき、
みなさんにたのしんでいただけた一方で、
前作との変化が少なかったという
ご意見もいただいたんですね。
だから、和気あいあいとつくってはいるんですけど、
この作品にかける熱い意気込みを
ビシビシ感じるんですよね。
「変わってないなんて絶対言わせない、
 みんなを驚かせてやるぞ」っていう。
糸井 うんうん。
そういう情熱がやっぱりいいね。
でも、個人的には、Wii版のときに
そんなことはぜんぜん思わなかったけど。
これからはじめる人も多いんだから、
気にしすぎるなよっていう気もしますけど、
でも、新しくしようって気概は
ものすごく大事ですよね。
岩田 変えちゃいけないところもありますし。
だから、今回の『とびだせ どうぶつの森』は、
「これは紛れもなく『どうぶつの森』だ」
ということを一切妥協せず
残したままで新しくするという、
けっこう難しいチャレンジをしています。
「今回、なんかすごそう」って
言ってもらえている理由は、それだと思います。
糸井 これまで遊んだことがない人も
遊ぶといいですよね、ほんとに。
なんというか、
つらいことがあんまりないゲームだからね。
で、いいことはたくさんあるもんね。
岩田 「おとなも こどもも おねーさんも。」
糸井 うん(笑)。
岩田 個人的な話になりますけど、
『MOTHER2』をつくったときに、
「おとなも こどもも おねーさんも。」
という言葉を糸井さんから聞いて、
そのことについて考えていなかったら、
きっと私は「ゲーム人口の拡大」って
言い出さなかったと思うんです。
だから、糸井さんのあのコピーは、
自分にとってものすごく重要なヒントだったんです。
糸井 で、その、
「おとなも こどもも おねーさんも。」の気配が、
『どうぶつの森』には明らかにあるんですよ。
岩田 そうですね。
糸井 だから、ぼくは新しい『どうぶつの森』を
いつもたのしみにしているのかもしれない。
競争じゃなくて、共感を元にして遊べるから、
みんなで遊べるんだよね。
岩田 今日また、違う角度から話ができて、
『どうぶつの森』の魅力が
より立体的に伝わったと思うんです。
これからどう「とびだして」いくのか、
いっそう、たのしみになりました。
どうもありがとうございました。
糸井 たのしみです、ほんとに。
ありがとうございました。
毛呂 ありがとうございました。
京極 ありがとうございました。
一同 (大きな拍手)
(『とびだせ どうぶつの森』の
 発売直前に行われた座談会はこれで終わりです。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。)
2012-12-03-MON