川上弘美さんと
相づちを打ち合う。
『MOTHER2』を切り口に
「そうそうそう!」

第5回
どせいさんとつくり手冥利

川上 どせいさんは、
どういうふうにしてできたんですか?
糸井 これは、まえの取材でも言ったんですが、
どせいさんは無垢のシンボルなんですよ。
川上 無垢、ですね。うん。
糸井 昔、原作を手がけた
『情熱のペンギンごはん』にも
そういう無垢を描いたりしたんですが、
ぼくはそういうものが好きで。
ひとつは「無垢をバカにすんなよ!」
っていう気持ちがあるんですよ。
川上 (笑)
糸井 だから、たとえばどせいさんは
「科学の粋」を持ってたりしますよね。
つまり、進化のかたちって、
人間と同じかたちだけじゃないと思うんです。
そういうことについて、
ちょっと演説したくなるようなことを
ぼくは全部、どせいさんに入れたんです。
川上 なるほど。でも、それ、
時代がようやく追いついた感じがありますね。
いまの「癒し」のブームってそれですもんね。
「ぽえ〜ん」とか言われると
もう「それでいいかも」っていう
気持ちになりますよね。

糸井 うん。どせいさんがそういう人だったからか、
けっきょくのところ、
みんなが共通に憶えてるのって
どせいさんなんですよね。
川上 ああ(笑)。
糸井 無条件でいい人じゃないですか。
川上 そうですね。そうそう。
糸井 こないだ、『MOTHER』の音楽について、
対談をやったんですけど、そのとき、
音楽を担当した田中(宏和)くんが、
自分の子どもの話をしたんですよ。
その子は『MOTHER2』をやっていて、
こう、ご飯を食べているときに、食卓で、
「お父さん、どせいさんって、
 いい人だよね」って。
川上 あははははは!
糸井 それで、「そうだな」って言ったら、
もう1回、「お父さん、どせいさんって、
ほんっとに、いい人だよね」って(笑)。
川上 かわいい(笑)!
糸井 もうね、つくり手冥利に尽きるって
そういうことですよねー。

川上 そうですよね、はー。
糸井 ゲームつくってよかったと思うのは、
そういうときですよね。
小説にそういう子ども、いないですもんね。
川上 ああ、それはそうですね。
そういう人物造形って、
小説だとできる場所がないですね。
ゲームとマンガくらいかなあ。

(続きます!)

2003-08-08-FRI

BACK
戻る