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おんなのホテル道。 その6




ノリスケ そうそう。ちょっと話がずれるんだけど、
アメックスのカードに
トラベルサービスってのがついてるじゃない?
つねさん うん。
ノリスケ で、電話1本で手配しますっていうんだけど、
いろいろ調べてみると、
目的が決まっている人にとっては
とってもいいサービスなの。
こういう旅行がしたい、
いついつ、どこそこ航空で行って
こういうホテルに泊まりたいんだけど
取ってくれるだろうかっていう質問には、
もう素晴らしい答えが返ってくるの。
つねさん すごく的確に答えるんだね。
ノリスケ でもそのサービスを勘違いしてる人は、
イベントプランナーが
電話の向こうに待ってると考えるわけ。
で、漠然と‥‥。
つねさん 「あったかいところに行きたいんですけど」
とか?
ノリスケ そうそう。南の方に行きたいんだけど、
みたいなことを言うそうなの。
でもそういうのは、
やっぱり満足のいく答えは
なかなか出てこないんだって。
そりゃそうよね、
なにを求めているのかわからずに
答えが出るということは、ないものね。
ジョージ あのね、旅行代理店の営業所の店先に行くと
パンフレットがいっぱいあるじゃない。
ノリスケ うん、ある。
ジョージ で、パンフレットでものを買う人は、
受け身な消費者なの。
ノリスケ 受け身な消費者。
ジョージ どなたかが考えてくれたものを、
売っていただく立場。
せっかく自分のいただいた大切なお金を
使うんだったら、売ってもらうんじゃなくて
買いたいじゃない。買いにいくのよ。
で、買いにいくものは
パンフレットにないんだよね。
ノリスケ パンフレットは参考ね。
ジョージ そう。参考。
つねさん ぴったりのものが
そのパンフレットに載ってたら、
それはそれでOKなんだよね。
ノリスケ お得! と思えばいいんでしょ。
ジョージ そうそうそうそう。
ただ、どういうんだろうな、
どういう事柄がよいヒントになって、
その人も知らないような
旅行のドアが開くのかどうかというのは、
これ、難しいとこだよね。
ジョージ 難しいとこ。
例えば、どうだろ。東京に住んでます。
ノリスケ はい。
ジョージ あんまり遠出はしたくありません。
ノリスケ はい。
ジョージ もしかしたらチェックインが
夜中になるかもしれませんけども、
1晩ぐっすり寝ると、
朝輝くような気持ちになって
目が覚めるようなホテルを
1軒紹介してくださいって。
これね、聞く人によっては
すぐ出てくるじゃない?
ノリスケ ああ、そこまで言えば。
ジョージ 何とかなるね。
ノリスケ よっしゃって気になるね。
ジョージ そう。よっしゃって。
つねさん やりがいはあるよね。
ノリスケ やりがいがあるよね。うん。
ジョージ あとは東京らしいところが好きなのか、
東京らしくないところに行きたいのか。
ノリスケ 東京らしさにもいろいろあって、
西新宿もあれば丸の内もあり、
浅草もあるわけで。
ジョージ うん。うん。例えばあんまり
遠出したくないんだけど、
東京の中で東京らしくない朝を
迎えたいなっていうんであれば、
都ホテル椿山荘のフォーシーズン
どっちかだろうね。
ノリスケ はいはいはい。都心だとはいえ、
ちょっと離れててお庭がある。
ジョージ お庭がある。で、そういう気持ちを例えば
フォーシーズンズホテルの人に
伝えるとするよね。
ゆっくりしたいんです。
東京にいるのを忘れるような一晩を
過ごしたいんですけどって言うと、
あそこにはコンサバトリースイートって
いうのがあって、ビューが何にもないの。
ノリスケ え?
ジョージ お庭に面した部屋で。
つねさん ああ。庭しか見えないの?
ジョージ 温室つき。
ノリスケ 温室?
ジョージ 温室っていうか、
英国の建築様式でサンルームがついた家って
あるじゃない。
ノリスケ ああ、あるある。
ジョージ で、サンルームつきの部屋があって、
そこはもうお庭しか見えない。
下手すると木しか見えないんで。
ふたり へえ。
ジョージ 自分がどこにいるのかも忘れてしまうのね。
つねさん あ、おもしろいなあ。
ノリスケ へえ。
ジョージ リビングルームとベッドルームに
なだらかにつながるような形でサンルームが。
で、床が大理石張りになってるんだよね。
お願いするとそこにマッサージ用の
ベッド設えてくれて、
アロマテラピーとか受けることも
できるんだけど、そうするとまるで
私は今英国の田舎に来て
1晩旅行して帰っていくみたいな感じ、
にはなれるよね。
つねさん すごいなあ。
ジョージ でもちょっと高いの。
普通に泊まると5万円くらい
するんじゃないのかなあ。
でもそんな高い出費をして
それを求める人にとっては安い部屋だけど、
東京のダイナミックなエネルギーを
カラダの中に入れたくて
ホテルに泊まる人にとっては
最低の部屋だよね。
ノリスケ あはは。ほんとね。
つねさん 安くないから。
ジョージ そう。例えば緑豊かなところから来たら、
何でこんなとこに来たんだろうって
いうことになるじゃない。
つねさん 確かに。
ノリスケ ほんとね。
ジョージ ものすごいエネルギーを
カラダの中に入れながらも、
しかも癒されるような気持ちってなると、
超高層の一番上の方だね。
ノリスケ そっちの方が元気になるかも。
ジョージ パークハイアットだよね。
ノリスケ うん。よしやるぞって気になるのは
そっちかも。
ジョージ だね。
ノリスケ 休暇だったらまたちょっと違うけど。
つねさん 椿山荘は休暇っぽいよね。
ノリスケ うん。
ジョージ パークハイアットとか、
同じフォーシーズンズホテルでも
丸の内のフォーシーズンズだと
目の前が東京駅で。
ノリスケ うん。
ジョージ で、防音は確かに
きっちりしてるんだけれども、
ベッドに入って耳を澄ますと
ゴトンゴトンゴトンっていう
電車の音が聞こえるの。
つねさん ああ。
ジョージ でも、それはそれでいい風情だよね。
ノリスケ うんうん。
ジョージ で、朝起きてカーテン開けると
目の前に丸の内がバーンと見えて、
ああ、東京の真ん中にいたんだ、
っていう感じがしてね、いいかもしれない。


2007-01-23-TUE

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