忘れられない「1000万分の1日」教えてください。

人生の節目の日、ハプニングに遭った日、
なんだかちょっとうれしかった日‥‥。
ほぼ日手帳の
累計販売部数1000万部到達にちなんで
みなさんから投稿いただいた、
忘れられない「1000万分の1日」をご紹介します。
2024/04/30

母とのお伊勢参り

2011年のある日突然、
母がくも膜下出血で倒れた。
赤信号を渡りそうになるくらい頭が混乱する日々や、
心身の疲れ、余裕のなさから、
母への「愛情」が
いつしか「家族としての義務」に替わってしまい
葛藤を抱え泣きながら
回復期リハビリテーション病院に
通っていた時期を乗り越え、
2017年2月、ついに叶えた母とのお伊勢参り。
最短距離で電車を乗り換えるには
どの階段を利用してどう行くか、
お昼の予約、車いすを借りられる場所、
この距離だとタクシーを利用した方がよいかなど、
ダウンロードシティのTRAVEL MEMOを活用しながら、
なるべく母に負担がかからぬよう、
母が行動できる範囲で入念に計画して挑んだ旅行だった。
以前のようにはいかないけれど、
叔母と従妹にサポートしてもらいながら、
こうしてまた母娘で旅行ができたことを
心から感謝した、忘れられない1日。

お伊勢参りの数日後、
叔母が何気なく見せてくれた写真に写っていたのは、
母の車いすを力強く押す私の後ろ姿だった。
生活が激変し、正解が分からないまま
「これで合っているのか」
「(母に対して)もっとできることがあるのではないか?」
「きっと、もっといい方法があるのかもしれない‥‥」と
日々、迷いながら自信のないなかで
母に接していた私だったが、
その写真に写るその時の後ろ姿はとても力強く、
思いのほか頼もしかった。
なかなかやるじゃん。かっこいいじゃん!

久しぶりに2017年のweeksを開いて
その写真を眺めたが、やっぱり今でも変わらず、
自分にとって力が湧いてくる写真だった。
後遺症で「記憶する」ことが
なかなか難しくなった母は、
きっとこの日のことは覚えていない。

(りく)

お母さんとの関係に悩み、もがいた経験が、
りくさんをたくましくしたんですね。
お母さんのかわりにりくさんが、
そして手帳が、
いつまでもこのことを覚えているのは、
とてもすてきだな、と思います。
2024/04/23

祖父を送る時間

体調を崩し入院した祖父が、
1週間と経たずにこの世を去っていきました。
「ちょ、待てよ!!」
私をはじめ、家族のだれもがそう思ったことでしょう。
この日はとても忙しく、
普段ならすぐに気がつく家族からの電話にも応答できず、
病院に到着した時には既に祖父の意識はほぼありませんでした。
心の準備が何一つできていない家族をおいて、
祖父は逝ってしまいました。
不幸中の幸いだったのは、日程の調整が合わず、
亡くなった日から納棺・通夜、火入れ、葬式が
毎日1つずつ進んでいったことです。
亡くなった翌日、家に戻ってきた祖父は
自身が古美術商をして集めた古き良きモノに囲まれて、
静かに横たわっていました。
祖父の静けさとは裏腹に、
棺の周りでは幼いひ孫がお鈴を打ち鳴らしながら
ニコニコと笑い、居合わせた親戚が
「やかましいって言いながらじいさんが化けて出るぞ」と
冗談を言って笑い。
なんとも賑やかな1日でした。
ひとつひとつお勤めを果たすたび、
私たち家族は祖父の死を受け入れる
心の準備を整えていきました。
手帳を見返すと、
親戚がこぼした何気ない言葉や祖父との思い出、
お寺の方丈さんのお話など様々なことが書いてありました。
その時にしか書けない気持ちを書くことで
心の整理になりました。
当時はなんとも思わずに書いていた一言が、見返した時に
「あぁそういうことか」と思えることもありました。
かなしい思い出でしたが、
記録に残しておいてよかったと思いました。

(まぁちゃん)



かなしいことって、
「かなしい」という気持ちに
大きく覆われてしまいそうになりますが、
まぁちゃんさんが何気なく書き留めたことばや
ちょっとした場面に、おじいさまへの思いが
たいせつに残されているような気がしました。
2024/04/16

夏の日のハプニング

夏の暑い日。
母、私、妹で、車でショッピングに行くところでした。
私は運転席にスタンバイ。
元々テンション高めの妹・幸(当時30歳)は
なにを思ったか、後部座席に飛び乗ろうとして
車のフチに頭をゴッとぶつけて転倒!
なにごとかと振り返った
私の目に飛び込んできたのは、
パンツをおっぴろげて地面に転がる妹でした!
そのときも涙を流して大笑いしましたが、
映像があまりにも衝撃だったため、
数時間後帰宅して思い出しながら
描いた絵が忠実に描けてまた衝撃。
10年経っても笑える出来事です。
さすがに可哀想なので、
妹の旦那さんにも見せていませんが、
ほぼ日のみなさんに公開します。

(izumi)

あらまっ!!
ぶつけた効果音が‥‥、
なかなかの重みがありますね。
izumiさんの絵からは
10年たっても人を笑わせるいきおいが
伝わってきます(笑)。
クスッと笑ってしまいすみませんですが、
きのこをセレクトするあたり
かわいらしい妹さんだなぁ、
と思ってしまいました。
2024/04/09

はじめての一人暮らし

はじめての一人暮らしをした日です。
30歳を過ぎてからの一人暮らし。
早く家を出なければと焦ってはいたものの、
経済的なことやマイナス思考ばかりで、
なかなか踏み出せずにいました。
家を出ると決めて、家を見つけて、
契約して、引っ越して、
一人で迎えた夜。
静かで不安で落ち着かなかったことを覚えています。
しかし3日後には慣れて、
もう3年ぐらい一人暮らししていたかのような感覚になり、
快適さと開放感に、
早く家を出てればよかった、
なんとかなるじゃないか!
とすっかり前向きになりました。

(セラヴィ)



いくつになっても、
新しいことは不安も緊張もしますよね。
でもその先には
明るい未来が広がっているんだ!
と、セラヴィさんの投稿を読んで、
うれしい気持ちになりました。
2024/04/02

どこかで見た気がする人

夫が仕事で販売をしていたときのこと。
お客さんから
「どこかで見かけた気がする」と
声をかけられたそう。
思い当たるフシがなく困惑していたところ、
真相はなんと私の大学の同期でした。
その人は、
LINEのプロフィールに載っていた
家族写真を思い出したそうです。
連絡をとったのは実に10年ぶり。
夫と私は社会人になってから出会ったので、
お客さんと夫とは
なんの接点もありませんでした。
そりゃあ戸惑うわけだ。

(もんさ)

10年間連絡をとっていない人の、
LINEのプロフィール写真を覚えているなんて
その方の記憶力に驚きました!
「どこかで見た気がする人」はたまにいますが、
ちゃんと答えにたどりつくのが
すごいです。
2024/03/26

大雪が降った日

2年前の1月17日。
東京に大雪が降った日、
私はニュースで流れる
「東京で雪のため転倒し怪我をした人は〇〇人」
のうちの一人となりました。
向こうから歩いてくる高齢の女性を無意識に避け、
その拍子に転んでしまったのです。
翌日からは三連休。
痛みが出てきた時のためにと
薬をもらいに行った近所のクリニックで、
腕を骨折していることが分かりました。
受け入れてくれる病院を探してもらい、
そこに向かうタクシーの中で、
「こんなことが本当に起こるんだなぁ」とか
キャンセルしなくてはならない予定、
迷惑をかけてしまう人のことを
パチパチと音のしそうな勢いで考えていました。
手術まで1週間の待機。
手術の為の入院。
通ったリハビリ。
なくならない痛み。
1年後の抜釘手術。
初めての経験ばかりでした。
少しずつ記憶は薄くなりますが、
深く刻み込まれたこと、それは
「経験してみなくてはわからない」ということ。
それまでもそう思ってはいましたが、
しっかりと釘を刺されました。
想像することは大事だけれど、
それは「わかった」とは違う、
そう教えてくれた経験になった日なのでした。

(うらら)



年齢を重ねるにつれ、
「初めての経験」は少なくなっていきますが、
それでも「こんなことが!」というできごと、
あるものですね。
骨折は痛みもともないますし
本当にたいへんだったと思いますが、
うららさんが悲観するのではなく、
「経験」として胸に刻んでいるのが
すてきだなと思いました。
2024/03/19

息子からの手紙

いつか反抗期&思春期がきても、
それも含めての全部が
かわいい息子の成長だと思えるよう、
ほぼ日5年手帳を購入。
カズンと並行して書き残していました。
当時の息子からのお手紙のなかに、
今の私を助けるメッセージがありました。
たいていのことは水に流せます。

ああ、これはたまらんですね。
お年頃でいろいろあっても、
このメッセージを読めば、
たいていのことはさらさらと水に流せちゃいますよね。
『おこられても大すき』という破壊力たるや。
他人の私ですら心を鷲掴みにされました。
はじっこに書かれているところもいいなぁ。
これからもたくさん助けられそうですし、
残しておこうと思ったまゆさんの大勝利!ですね
2024/03/12

祖母の温もり

ある日、とても晴れた日。
たくさんの星に白い息を吹きかけるようにヒイヒイと
蔵の2階にある祖母のお部屋に行きました。
「ばぁちゃん、顔を見に来たよー!!」と。
ポケットから秘密で持ってきたチョコレートを出し
「あーんして!!」と祖母の口の中に入れました。
秘密の外袋は私のポッケに証拠隠滅。
「じゃ、またくるねー!!」と言うと
祖母はとってもうれしそうににっこりして
「ありがとう。今日はいい日になった」
本当に本当に一瞬のやりとりでした。
この一瞬の出来事と祖母の温もり、
今も忘れられません。

(チッカ)



冬の透き通る夜空のうつくしさや
チッカさんのやさしさ、おばあさまのにっこり笑顔。
もし手帳に描くならこのような絵かなぁと、
わたしも一緒に想像をめぐらせておりました。

1日のほんの一瞬のできごとでも、
その瞬間があることで
最高にうれしい日になったりしますよね。
おばあさまのうれしそうな笑顔と、
その温もりを感じた日。
お互いに「いい日」だったエピソードに
わたしもこころがあたたかくなりました。
2024/03/05

背中に触れる小さい手

3歳8ヶ月の娘と一緒にお風呂に入って、
自分の体をタオルでゴシゴシ洗っていたら、
「してあげる」と、小さい手で、
一生懸命背中をゴシゴシ洗って流してくれた。
たまに背中に触れる小さい手が、
愛おしく幸せな時間だった。
初めて背中を流してもらった、
忘れられない思い出になりました。

(yoko)

ああ、その様子を想像するだけで
胸がキューンとなります。
娘さんが大きくなっても
ずっと「忘れられない一日」ですね。
2024/02/27

人生が変わった映画との出会い

その日、私は大好きな石田ゆり子さんの主演映画
『マチネの終わりに』を観に映画館に行っていました。
そこで福山雅治さんが弾いていた
クラシックギターの魅力にすっかりとりつかれ、
その日は家に帰ってからも気持ちが興奮し、
なかなか寝付けないほどでした。
その夜ベッドの中で決めたのは、
「クラシックギターを自分も弾けるようになる!」
ということ。
今まで全く楽器の経験なし、もちろん楽譜も読めず、
年齢もアラフィフにさしかかる頃という厳しい条件で、
教室を探し、ギターを買い、
クラシックギター練習が始まりました。
難しすぎてへこたれそうになる日々でしたが、
3年目から発表会に出られるようになり、
少しずつ夢が叶いつつあります。
今でも、あの日映画館に行って映画を観たことが、
楽器演奏と無縁だった自分の人生を
変えたんだなあ、と感じています。

(かな)



映画を観てからの興奮冷めやらぬ余韻が
ビシビシと伝わってきます!
新しいことを始めるってなかなか腰が重いですが、
それをうわまわる感動が
「弾けるようになる!」という
つよい気持ちにつながっているのですね。
そして積み重ねて夢が叶いつつあるなんて、
とっても素敵です!
たのしそうにギターを弾くかなさんを思い浮かべて
わたしもたのしいきもちになりました。