糸井重里のコラム
2025-11-30
なかよくしてる、なかよくできる。

・種類のちがった動物が、なかよくしている場面を見ると、どうしてうれしくなっちゃうんだろう。犬のおかあさんに育てられたライオンとか、仔鹿を連れて帰ってきた犬だとか、チンパンジーと犬だとか、牛と犬の友情だとか、いろんな例はありますよね(しかし、上にあげた例、犬ばっかりだな)。もっと、とにかくいろいろな映像を見てきました。そして、そういう異種交流は、ぼくばかりでなく多くの人が好きみたいです。

どういうところに好感を持つのでしょうかね。異種間の「壁をこえている」というということかなぁ。それとも、「なかよくする」ことが好きなのかな。ぼく自身にも、よくわからない感情なのですが、これは動物の異種間ばかりでなく、人間のことについても感じているような気がします。同種の人どうしがなかよくしているのもいいですが、あきらかに種類がちがいそうな人どうしが、親密になっていくという話は、やっぱりいいですよね。人種のちがいとか、世代のちがいとかもありますが、国境線をはさんで敵対していた人どうしが、たがいに抱き合うようなシーンも、きっと感動します。

ぼくらは、「なかよくなれる可能性」というものを、もっともっと広げたいのでしょうかね。いま、世の中は「分断」ということばが流行してます。実際に、「分けて対立させる」ようなことが、あちこちにたくさん起こっているかもしれません。だけど、どこかのところで、もともと人間は、「なかよくなれる」ことが力であり、よりよく生きていく道だと知っていたんじゃないかな。理屈より先に、もっと本能的に備わったものとして。だから、異種の動物の「なかよくする」のを見ると、こんなに可能性があると、うれしくなるのかもしれない。さらに、いま、あらためて気づいたんだけど、犬と人間って、動物として異種の関係だったはずですね。 

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。人と犬って、最高に「なかよくしてる異種」関係ですねー!

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