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ほぼ日手帳

糸井重里

・「損得や理屈で考えるよりも、
 実は好きや嫌いのほうがたよりにできる」
 という考え方があります、ちょっと流行ってます。
 半分くらいは、ぼくもそう思っているようです。
 あまりにも「損得や理屈」がすべてみたいな社会に、
 「そうかなぁ?」と異議を唱えたいとも言えますし、
 「損得や理屈」が最適な結果を教えてくれる
 とはかぎらないぞ、ということも知っているからです。
 損をしても好きなことができたほうがいい、
 ということだっておおいにあるし、
 理屈が通らぬことに思い切り飛び込みたいこともあります。
 でも、「好きや嫌い」が大事だということを、
 あんまり強く言い過ぎるのも、どうかなぁと思います。

 たとえば、あなたがある人を「好き」だとします。
 恋愛の対象ということに限らず、
 好きだと思っている人はいますよね。
 「ほんとうか?」と、じぶんに問いかけてみます。
 「好きは好きだよ、理由なんかないよ!」と
 反発されるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

 どういうところが好きなのか、どうして好きなのか、
 なにか好きになる理由があるのではないか? 
 と、よくよく自己問答を繰り返していくと、
 もしかしたら、と思うようなことが見つかったりします。
 その人が、じぶんを認めてくれるから。
 その人が、じぶんに得なことをしてくれるから。
 ということだって、遠くに見えてくるかもしれません。
 ぜんぜんそれは悪いことではないです、
 「だってそうなんだから!」ね。
 同じように「嫌い」についても、よくよくじぶんに問うと。
 「あいつが善いなら、おれは悪いになってしまう」
 「あの人はわたしのことを見下している」というように
 理由のようなものが浮かび上がってくるかもしれません。
 好きとか嫌いというのも、ただの「自然」でもないのです。
 そして、「自然」であることのみが尊いわけでもないです。

 まことに「じぶんの森」は暗くて深くて、おもちろいです。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
大昔から、文学なんかは、そういうことを描いてますよね。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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