ARAI&YONEMITSU
夢中になりたい!
広島・東京・世界

第29回『ベストセラー本ゲーム化会議』


アライ

いきなり宣伝なんですが
『ベストセラー本ゲーム化会議』
という本が出ます。
わたしが編集いたしました。
『かまいたちの夜』の麻野一哉、
『巨人のドシン』の飯田和敏、
おなじみ『バロック』の米光一成という
3人のゲーム作家たちが、
ベストセラー本をゲーム化するという
企画対談。
16冊を勝手にゲーム化してもらいました。
おつかれさまです。

よねみつ 発売日は10月10日だけど、
23日のハリーポッターさま発売で書店は
それどころじゃないって噂なんですが。
アライ わぁ、たいへん! 
ABCインターネットショップで
先行予約中なので、
そちらでぜひ。
そんなことより、
なんでこんな本を作ったか、ですよ。
よねみつ もともと、異業種の作り手による
評とか映画評が
面白いって言ってたんですよな。
アライ 『鳩よ!』という雑誌で
映画コラムを担当してたんだけど、
一回も映画評論家に頼んだことがない。
ファッションスタイリスト、演劇演出家、
フィルム管理者、ゲーム作家と
一貫して他の分野の専門家の
言葉にこだわってたんですよ。
よねみつ 松尾スズキさんの映画コラムは読んでました。
たんなる印象批評じゃないから、
面白かったですよ。
アライ そうなんですよ。
たとえば演出家の目で映画を見ることが、
普通の観客には見えない構造を提示する
行為になってたりしてすごくスリリングでした。
よねみつ 飯島洋一という建築のオーソリティが書いた
『映画のなかの現代建築』って、
すごく面白い本があるんですよ。
映画に出てくる建物の建築家が誰で、
その建築家のテーマがこういったもので
映画のテーマとどう関わっているのか、
なんて話題があって、
おおおそんな観かたもできるんだ! 
って驚きの連続。
アライ 最近出た本で、脚本家の君塚良一の映画評論集
『脚本通りにはいかない!』も、面白いよ。
『マルコヴィッチの穴』の破天荒な展開を
「素敵な初稿」であるとか、
『アルマゲドン』に
ハリウッドの手法を読んだりとか、
脚本家ならではの視点がいかされている
名著でした。
よねみつ すでに名コラムとして有名ですが、
そういった意味では
近田春夫『考えるヒット』も、
ミュージシャンならではの言葉で
語られている強味があるよね。
アライ 枡野浩一『君の鳥は歌を歌える』も、
映画や本などを短歌化することで、
その作品の肝に迫るところが新鮮で面白かった。
よねみつ あとさ、やっぱり何か作ってる人って、
他の作品を語るときにも、
愛情がある気がするのなー。
いくらキツイこと書いてても、
作品を生み出す苦労を知っているから、
愛のある貶しになってて。
アライ 君塚さんの本で、
いわゆる評論家が認めたがらないような
ハリウッド的な大作を
きちんと評価してるんだけど、
あれだけ大勢の人が楽しめるように
知恵を尽くして作ったものを
バカにしてはいけませんというスタンスは、
作り手ならではだなと思う。
よねみつ やっぱり作り手って、最終的には、
じゃぁ俺ならどう作れるよ、
って考えるところが、
評論家との違いなのかもしれない。
アライ ね? 作り手の評って絶対面白いんだよ。
だから、ゲーム作家のみなさんに
書評をしてもらおうじゃないの、
と、この本を企画したというわけです。
よねみつ ゲーム化するという視点でしゃべってるので、
その本の良さとか、その本のダメさとかよりも、
本の構造だとか、
どうして売れたんだろうとか、
システム化するとどうなるだろうとか、
そんなことが中心になっていて、
変わった本になりました。
アライ 『世界がもし100人の村だったら』が、
プレイヤーはほとんど見ているだけの
環境シミュレーションゲームになったり、
飯島愛の『プラトニックセックス』に
はジョブチェンジシステムを採用したりとか、
結果的にはゲーム化会議を通して
ベストセラーの本質に迫れてるんじゃないか、と。
よねみつ 迫れているのかなぁー。
ともかく、著者のひとり麻野さんが
「自分で読んでて声出して笑っちゃったよ」
って言ってましたので、
ベストセラーを肴に
ゲーム化バカ話をしている本にはなってると
思います。
アライ ので、ぜひ買ってくださーい。
ハリーポッターに負けるなー!



(データ)

『ベストセラー本ゲーム化会議』
2002年10月10日(木)原書房より発売
(みうらじゅん推薦)。
3人の現役ゲームクリエイター
(「かまいたちの夜」の麻野一哉、
 「巨人のドシン」の飯田和敏、
 「バロック」の米光一成)が、
本をゲーム化する団体
「ベストセラー本ゲーム化会議」(略称:BGK)を結成、
ベストセラー本16冊のゲーム化に
勝手にチャレンジしたヘンな書評本。
いわば「ゲーム脳の逆襲」ですよ、
笑って読んでくださいよ。
企画の発想方法がわかるから、
クリエイター志望者には参考になるかも。とにかく、
ゲームが好きな人にも本が好きな人にも
ぜひ読んで欲しいです。詳しくはBGK公式サイトまで。
http://www.ne.jp/asahi/kaeru/bungei/game1.html
ABCインターネットショップにて先行予約受付中
(予約特典付)
http://www.aoyamabc.co.jp/public-html/RECOMMEND/literature/L030902.html
(アライ記)

よねみつかずなり/
ゲームデザイナー。
こどものもうそう
http://www.asahi-net.or.jp/~IH9K-YNMT/
でだらだら書いてます。
Lv99.com
http://www.Lv99.com/
でオリジナルTシャツもやってます。

アライユキコ/
文芸フリーペーパーカエルブンゲイ編集・発行人。
http://www.ne.jp/asahi/kaeru/bungei/

2002-10-06-SUN

BACK
戻る