| よ: | 今回お勧めは、岡倉天心著・桶谷秀昭訳「茶の本」 講談社学術文庫。
 とはいえ、まだ私も第六章を読んでいる最中。
 しかし、溺れるようにして読んでます。
 本自体、228ページの薄い本で、しかも半分は英文なので、
 いま読んでいるのもまだ76ページなのですが、
 一行読んでは、おおお! と叫んだり、うむむ~と唸ったり
 にやにや笑ったりしながら読んでいるので、
 もうすでに360ページぐらい読んだ気になっています。
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            | ア: | なんで? なんでいきなり『茶の本』なの? | 
           
            | よ: | 今作ってるゲームの参考のためだったのだけど、 そのようなことはどうでもよろしい。
 うだうだ説明するより、引用したほうが伝わると思うので、
 最初の部分を。
 
 茶のはじまりは薬用であり、のちに飲料となった。
 中国では、八世紀になって、
 茶は洗練された娯楽の一つとして、詩の領域に入った。
 十五世紀になると、日本で、審美主義の宗教である
 茶道に昴められた。
 茶道は、日常生活のむさくるしい諸事実の中にある美を
 崇拝することを根底とする儀式である。(P.13)
 
 最初の一文だけ引用しようと思ったら止まらなくなったよ。
 この何だかぎゅうぎゅうに凝縮された感じ、
 削いで削いで削いで作られた感じの文章に、
 ほれぼれしちゃったのです。
 このすぐ後にも、さらに茶の哲学が、
 それは精神の幾何学である、宇宙にたいする
 われわれの比例感覚を定義するが故に。(P.14)
 
 あああ、しびれるねぇ、しびれない?
 埴谷雄高にしびれちゃう感じに似てるかも。
 だが、しかし、それだけじゃなくて、
 第1章の後半になると、突如、饒舌になって、
 「無始」の大いなる始めの「霊」と「物」との死闘が
 描写されちゃって、あらら?
 愛の二元論とか、宇宙を流転する二個の魂とか、
 盛り上げる盛り上げる。
 幻魔大戦か? 茶の話じゃなかったのか?
 超絶宇宙バトルが、どう茶に結びつくのか?
 と思ってると、その間に、一服のお茶を
 すすろうではないか。(P.24)
 
 って、そーきますかっ! 惚れたよぉ~、天心!
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            | ア: | コーフンしてるなあ。 これがかにかまに冷たいよねみつさんであろうか?
 同一人物とは思えませんな。
 買ってきました。たぶん初めて読みました。
 岡倉天心、フェノロサ、『茶の本』と、
 データとして知ってるだけで一生を終えるとこでした。
 あぶないあぶない。
 そーね、いまんとこ(P.24まで読んだ)シビレタのはねー、
 
 もしもわが国が文明国となるために、
 身の毛もよだつ戦争の光栄の
 拠らなければならないとしたら、
 われわれは喜んで野蛮人でいよう。
 われわれの技芸と理想にふさわしい尊敬がはらわれる時まで
 喜んで待とう(P.16)
 
 待てばよかったんだよねー、日本はさ。
 しかし、なんか無性に引用したくなっちゃう文章だねえ。
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            | よ: | 全編、諦めている感じが底にあるんだけど、 でも、どうしょうもなくハイテンションに
 なっていくところとか、読んでいてこちらも
 興奮してきます。
 文章の波の高さが極端に変わるところ、
 天心ワンマンライブで3000万の観衆に
 語っているような感じがします。
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            | ア: | 起伏が激しいの。理路整然と説いてるかと思うと、 いきなり興奮して「おお茶よ!」って感じでほめたたえる。
 あ、これすごくかっこいいや。
 引用させてね、2章の締めの最終行です。
 
 茶道は変装した道教であった。(P.35)
 
 原文は
 
 Teaism was Taoism in disguise.(P.197)
 
 おお、頭韻が美しいねえ。
 なんつーか、全体に詩っぽいよね。
 『失楽園』とかに近い気がする。
 ちゃんと読んだことないけどね。
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            | よ: | わたしは、ひきつづき岡倉天心の『東洋の理想』 を読むことにします。じゃ。
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            | ア: | あいや待たれよ! まだ終わっちゃだめでしょう。 わたしゃ今日やっと4章まで読了しました。
 勝手に終わるの反対!
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            | よ: | 『東洋の理想』もおもしろいなぁ、あぁ。 | 
           
            | ア: | ふう。本日昼休み、本文読了いたしました。 でも、繰り返し読まなきゃわかんない本だね、きっと。
 その都度心にひびく場所が違ってきそう。箴言の嵐だもん。
 
 変化こそ唯一の永遠なるものである。(P.85)
 
 うきーっかっこいい!(ってこんな反応ばっか、
 わたし、頭わるそうですな)『東洋の理想』も
 こんな感じですかい? もう読み終わりました?
 よねみつさん?……ねえってば!
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                  |  | ●『茶の本』データ 講談社学術文庫
 岡倉天心 桶谷秀昭訳 英文収録
 228ページ760円+税
 ISBN 4-06-159138-X
 
 茶の哲学からはじまり、利休の死の描写で終わる
 茶の真髄を綴った名著。
 別に茶に興味がなくても面白い。
 「茶」の文字を自分が興味ある言葉に置き換えて読めばOK
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            | ●次号予告 | 
           
            | ア: | つぎはねー。オススメの本屋さん! | 
           
            | よ: | 本屋さん? | 
           
            | ア: | とりあえず、ヴィレッジヴァンガードを オススメしておこうと思います。
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            | よ: | あいあーい。 | 
           
            |  | To Be Continued |