ARAI&YONEMITSU
夢中になりたい!
広島・東京・世界

第6回 『死霊のはらわた』

ア: 借りてきた、ジャケット見た、気持ち悪い〜、
今日はここまで、おやすみ!
よ: 気持ち悪くないよ、怖くもない。
とてもストレートで、ぞっとするような怖さはない 。
そういう映画じゃないんだ。
ア: といわれてもすごく怖かったので、
今朝7時に起きて観ました。
よ: 夜、ヘッドフォンして、ひとりで大音量で、
ロック聞くように観ることーっ。
ア: へへへ、もう遅いす。だって小6のころ小川宏ショーで
『エクソシスト』のさわりをやってるのを観て
不眠に陥って以来のホラーなのよ。
観ただけでもほめろって感じ。
よ: だめだめだめっ。環境を整えて観なくちゃ。
でも、怖い映画じゃなかったでしょ。
ア: はい、見事に裏切られました。
朝っぱらから笑った笑った。なにこれ〜?
どうして死霊ちゃんは小僧らをさっさと殺戮せんのかい?
汁ばっかり出して、おめえはかぶとむしかっつの!
導入のドライブシーンから「僕ら今から起こる恐怖を
さっぱりしらない若者5人組なのさー♪」てな感じだし、
合唱してやがるし。
よねみつさん、この作品の魅力を解説してください。
よ: 徹夜してて笑いのツボにはまって
ゲラゲラと笑いが止まらなくなってるんだけど、
思い切り走りつづけていて横腹いたいのに笑い止まらなくて、
助けてぇぇぇぇ、
そんなイメージなんですね、おいらの中では。
コメディじゃないけど、笑ったりもしないけど、おもしろい。
ごり押しで作ってる部分と、予算削減のための工夫が
随所にみられます。粗雑な部分もたくさんありますが、
またそこがいとおしく見えてくるところが味ですね。
パワーっす、パワー、文化祭的暴走パワー。
ア: 文化祭パワーとは言い得て妙。
好んで観るタイプのものでもないし、
マイフェイバリットにも絶対ならない映画だけど、
安っちくて楽しかったよ。
よ: 目に映るモノを脳に届く前に
ハイクオリティな映像に変換して見ても楽しいです。
っていうか、その変換作業自体が楽しい。
好んで観てるし、マイフェイバリットなんだなー。
ア: マイフェイバリットと言っちゃうすか!
変換作業を楽しめるってのは職業習性よねきっと。
フツーの人はやんないと思うよ。
よ: サム・ライミ監督、
この後、死霊のはらわた2、3と撮っていくんだけど、
予算が増えているのに、安っぽいノリはそのまま。
予算膨らませた以上に、表現する規模を膨らませてます。
3は、骸骨戦士軍団とか出てくるしね、
むちゃむちゃ人形なんだけど。。
ア: ほー。続編あるんだ、観たいなあ。表現したいことに
予算が永遠についていかないってとこにはシビレますね。
かっこいい。
よ: 「ダークマン」なんか観ると、
きちんと作ることもできるみたいですけどね、
といっても、なんかそこはかとなく
チープな雰囲気が残っていて、
いいんだなぁー。
ア: ビジュアルだけじゃなくて、
ストーリー展開も相当にチープで笑える。
死霊にとりつかれて白目になったシェリルが、
いちばん凶悪って設定なのに、ほとんど最後のほうまで
ずっと床下に閉じこめられて半身乗りだして
「出せ〜」ってやってるじゃない?
はよ他の小僧に乗りうつれっちゅうねん。
あと、なんで死体からゴキブリが??
よ: 死霊の仕業でしょう。
というか、2は特にそうなんだけど、
死霊の仕業ということにして、
作りたいめちゃめちゃな映像をむちゃむちゃ圧縮して
ほうり込んでみました、ネタオンパレード!みたいな。
ア: ただいまビデオ屋から戻ってまいりました。
続編置いてなかった〜、残念!
ないとなるとますます観たい!
よ: シリーズ3作品とも主役はブルース・キャンベルなんですが、
彼のモンキーパンチが描いたような顔も素敵っす。
こちらの近所ビデオ屋には、3しか置いておりませんでした。
ア: ねえ、主役の人って死んだんじゃなかったの?
そういうラストだと思ったけどなあ……。

●『死霊のはらわた』データ
DVIL DEAD 『ダークマン』『クイック&デッド』の
サム・ライミ監督作品。
過剰すぎて怖くないホラー映画の先駆けであろう
『死霊のはらわた』原題は『EVIL DEAD』。
『死霊のはらわた』をパワーアップさせた
『死霊のはらわた2』。
その続編の
『キャプテン・スーパーマーケット』は
エンディングが違う2バージョン、
ビデオで出ています。
4作まとめて楽しんでください。(よねみつ記)

「死霊のはらわた」
価格:2980円(税抜)
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ(株)

●次号予告
ア: じゃ、つぎはこのズルルン気分を一掃すべく、
俳句にいたします。
よ: 俳句ですか。
ア: 秋ですしね。
『池田澄子句集』か『摂津幸彦句集』、手に入ったほうで。
どっちもダメなら、
「よねみつさんに俳句作らせる」編にしちゃう。
よ: 季語があるのが、俳句だっけ?
ア: そのへんはデリケートな問題なのよね。
ま、この二人に関してはとりあえず作品を見てほしいわ。
  To Be Continued

1998-09-26-SAT

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