矢沢永吉の開けた新しいドア。
「ほぼ日」特別インタビュー2003。

第16回 コンサートの後の時間

糸井 永ちゃん、今でも
「墓は日本」って気持ちがある?
矢沢 オレはもう、絶対そうだね。

いつかは、こっちに帰ってくるから。
もうすこし区切りが見えたら。

もうL.A.の家も、来年6年目でしょう?
6年いて、ちょうど、行った時のキッカケも、
ご存知のように、オーストラリアの事件があって、
向こうに行っちゃおうってことで行っていたから。

オレは犯罪者でも何でもない。
被害者なのに、
有名人だってことだけで、周りが騒ぐ。
日本にはいたくなかったのね。
いても、よかったんだけど、胸クソ悪いから。

こないだ、嫁さんと話してた。

「そろそろ子どもの区切りもつくし、
 あと何年かかるかわからないけど、
 ここ数年で、日本に帰ろうか」

そう話しあっているころ、
ちょうど、あの事件が解決した。
犯人、ぜんぶ、ムショに入ったじゃない?

あの事件が起きて、
われわれがアメリカに来て、
今はあいつらは刑務所に入って、
あの事件は解決した。

不思議なもんだねぇ、って話してね。

アメリカでは、
いいこともいっぱいあったし。
こないだ、オレ、はじめてキャンプしたの。
糸井 前の撮影のやつと違って?
矢沢 違う。
今度は、家族でほんとに行こうと思って、
キャンピングカーを借りて……。
めちゃくちゃ、たのしかった。
糸井 へぇ、永ちゃんがそう言うと、
ほんとうに、たのしそうだなぁ、キャンプ。
矢沢 うん。
アメリカだと、
だいたい、4泊5日、10万円ぐらいで
大型キャンピング・カーを貸してくれるの。
シャワールームからベッドから
ぜんぶあるやつ。

それ借りて、
ヨセミテとか、ああいうとこ行って。

オレが延々、運転したんだ。
糸井 いいねー。
矢沢 行って、キャンプやろうってことで、もう、
とにかく本読んでさ、
「キャンプとはナニゴトだ」って出てるんで。
やろうやろう、って言いながら、
今まで、やっていなかったんだよ。

で、こないだ、
「やろうよ」
「よし、やっちゃおう」
って行って、メッタメタおもしろかった。
糸井 何日間ぐらい?
矢沢 3泊4日ぐらい。

実際もう、火を焚いてさ、バーベキュー食って、
シャワー浴びて……メッチャメチャよかった。

それから、もっとおもしろいこともあったよ。
オレ、今まで、カタリナって、
行こう行こうと言いながらも、行ってなかったの。
糸井 カタリナって何?
矢沢 カタリナ諸島だよ。
糸井 あ、そっか。
永ちゃんが持ってるクルーザーで、
カタリナ諸島まで、出かけたんだ。
矢沢 クルーザーの免許は取ったけど、
今まで、そのへんにチョロチョロって
いうくらいしか、行ってなかったから。
ほとんど時間がなくて、
まともに、とことん航海するってのは、
やったことがなかったの。

で、「よし、今回やろう!」って
何人か連れて、カタリナ行ってきたのよ。

メッタメタ、よかった。

イルカは出てくるし、
ウミガメは出てくるし、
波は、荒れまくっているからね。

海がボコーッて盛りあがるの。
イルカ50頭くらい出てくるもん。
船がくると、おもしろがって、
追っかけてくるんだよね。
糸井 へぇー。
矢沢 もう、イルカがブワーッて、
波は、こんなんだよ。
ウミガメは出てくるし、すごい。

現地のヤツに言われたの。

「永ちゃん、カタリナに行かないで、
 それでもし将来、
 日本に引きあげたら、笑われるよ?」

それで、
「よし、来週の火曜、カタリナ行こう」
って言ったからね(笑)。
糸井 どのくらいの距離なの?
矢沢 いや、そんな遠くないよ。
ぜんぶ行って、6時間ぐらい
ノン・ストップで航海というくらいか。、
7時間ぐらいずーっと航海してくの。
海、1周してね。
糸井 あー……それ、やってよかったね。
矢沢 もう、これでオレ、一人前よ(笑)。
そういうことをやったり……。
糸井 ちょうど、コンサート後は、
いい季節がずっと続いてるんだ。
矢沢 うん。

(つづきます!)

2003-06-27-FRI


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