矢沢永吉の開けた新しいドア。
「ほぼ日」特別インタビュー2003。

第5回 会社にリーダーがいなくなった


矢沢 古いか、新しいか、ってのは、
便宜上、そう言われただけのことだと思う。

古い? 新しい? 関係ない。

彫刻とかオモチャとか民芸品とか、
何でも、そうじゃないの?
「職人」とか「名人芸」だとか、
今、改めて言われているからね。

「古い」「新しい」が関係ないなら、
言いきるヤツ、やりきるヤツ、
貫ききるヤツが、ほんとうは、
どれだけ豊かなことか……。

今の世の中の価値観でも、
もう、そういうことが、既に、
はじまっているのかもしれないよ。
糸井 うん、はじまってるね。
特に、景気の悪い時代っていうのは、
かならず、長老の知恵が必要になるんですよね。
乗りきんなきゃならないから。
矢沢 うん。
糸井 乗りきる時、
若いヤツに船長をやらせとくと、
「行くだけ行ってみよう!」
って言って、嵐にあって沈没するんだよ。
矢沢 (笑)ハハハ。絶対そうだよ。

こないだテレビで、面白いことやってた。

リストラ、リストラ、リストラでね、
どこの企業もさ、もう年寄りはいらねえって。

賃金が高いし、年取ってきたし、
どこでぶっ倒れるかわかんないし……
っていうことで、何か知らないけど、
年寄りをやめさせることが、モードになりすぎて。

考えもしないで、計算もリサーチもしないで、
「年寄りは切れ!」ってやる。

で、若いヤツを、
バンバンバンバン、入れるんだよ。
それで、今、何が起きているか。
ある意味、仕事の空洞化が起きてるんだって。

ずーっと見ててね、
「そりゃ、そうだ!」って思ったわけ。
オレたちも、新人入れるでしょ?
仕事、できねえんだよ。
できるわけ、ないじゃん。

ところが、前からいる50何歳の人。
もう今じゃ、リストラの対象になってるじゃん。
でも、ダテに50何歳、来たわけじゃないよね?
糸井 うん。
矢沢 そりゃ、
仕事のことよく知ってるわ、
会社のことよく知ってるわ。

なのに、そいつら、
使いこみをしたわけでもないのに、
会社に反旗を翻したわけでもない、
裏切ったわけでもないのに、
「なんか知らんけど、
 世の中がそうだから、もう年寄りはいいよ」
ってところに、
今、ぜんぜん行ってないとは
言い切れないじゃない?
糸井 そうだね。
矢沢 行ってるだろ?

で、そいつらの会社が
新人入れるから、大卒の何とか入れるから、
とやる時、ほんとに計算してやってんのか。

盗っ人をやったから、
こいつら金を会社の金をちょろまかしたから
首切ったのかっていうならいい。

だけど、
ちゃんとした調べもなしに、やめさせる。

若いみなぎったエネルギーを入れる?
それも、計算をしないでやり過ぎて、
いま、会社に大問題が起きてるんだって。

あのね、
会社をコントロールする、
リーダーを取れる、
班長を取れるヤツがいなくなった
んだって。
糸井 あぁ。
リーダーシップってのは、
カンタンには学べないからね。
うーん……。
矢沢 そうなのよ。
若人を入れるって、聞こえはいいけど、
運転できないヤツばっかり育っちゃったのよ。
糸井 「あそこに駐車場があるんですよ」って、
知らない人ばかりが、道路を走ってるんだ。
矢沢 みんな走ってんの。危ないよね。

だから、今のいろんな会社、危ないんだって。
管理職のいないこの感じ、わかる?

果たして、若いヤツばかりにしたところで、
会社が、若返っていってるのかってのには、
ちょっと、疑問なんだよ。
糸井 リーダーシップを取れる人がいない。

オレ、興味あるのは、
定年の後のおじいさんたちのほうなんです。
そっちのほうが、やる気あるじゃない?
仕事、したいんだもん。
矢沢 だから、これから会社の経営って……。
ちょっと今日、話が違うところ行くけどさ。
糸井 いや、すごくおもしろいよ。
どこか、永ちゃんが矢沢永吉を
プロデュースすることにも、つながってるし。
矢沢 うん。

経営の話だろうと、
音楽の話だろうと、趣味の話だろうと、
おじさんの「貫き度具合い」の話であろうと、
やっぱり、よく言ったもので、ちゃんと調べて、
自分自身が納得してるかどうかで進まないとね。
糸井 リサーチの時に重要なのは、価値観ですよね。
矢沢 そう。
糸井 ある価値観でリサーチをしないと、
「今すぐ稼ぐかどうか?」って考えだけだと、
体力のあるやつのところにいっちゃうから。

(つづきます!)

2003-06-12-THU


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