最新の記事 2007/01/19
 
「ややこしい問題。」第60回は、
いま世間でも話題の
「サービス残業」的な仕事について、です。

相談者の方は、
「どうするのがみんなに一番よいのでしょうか。」
と、雇い主と従業員、みんなのことを考えて
悩んでいらっしゃるようです。

難しい問題ですが、どんな解決法がよいのでしょうか。

では、相談の内容をごらんください。

問題60 勤務外の作業が苦痛になってきました‥‥


とある個人商店でアルバイトをしています。
とてもいいお店で、そこで働けるのは
すごく楽しいのですけど
勤務時間以外の仕事が多いのに、
作業代が出ないのが不満です。

店長はパソコンにあまり詳しくないので
そういう関係のこととか、チラシの作成とかを
わたしや他のバイトスタッフが引き受けています。
勤務中暇なときがあればその中でやることもありますが
だいたいはお店が忙しいので、
家でやったり休みの日にお店に行って作業したりしてます。
それだけでも結構な労働時間になるのですが、
それらの作業にはいっさいバイト代が出ないのが
だんだんつらくなってきてしまいました。
いえ、つらいというよりは、
なにかむなしくなってきてしまいました。
これがこのまま続くのかと思うと、
普段の勤務にもげんなりした態度が出てしまいそうです。

最初はちょっと手伝うくらいではじめたので
そんなに負担でもなかったし、
ちょうどそのときお店で取り組んでた一大イベントが
前年よりもよい売り上げで終わったので
金一封もいただけて、
片手間にやったことでお小遣いがもらえて
ラッキー、くらいに思ってました。
それでその後もいろいろ引き受けたり、
自分から申し出てお店に必要なものを
新しく作ったりしてきましたが、
お店の売り上げがなかなか好転しないせいもあってか
まったくノーギャラのまま年月が過ぎてしまいました。

ただ店長もなにも思ってないわけではないらしく
「いつも作業やってもらってて悪いんだけど、
 売り上げが悪いから作業代は出せない」
というふうに言われたことが何度かあります。
それでも他のスタッフからは
「作業代を請求したほうがいい」と言われるのですけど、
もう何年もノーギャラでやってきて、
今更請求しづらいのです。

作業代が出ないからといって
作業を引き受けなければお店が回らないのは
目に見えているので、やらないわけにもいきません。
それに私以外のスタッフもみんな
なにかしらノーギャラで作業してるので
私一人抜け駆けで作業代を出してもらうのは
気が進みません。
私の作業代を出してもらえるのなら
他の人のも出してほしいと思います。
でもお店にそんなお金はありません。

いろいろ自分でも考えるのですけど、
お金がないのはわかっているのに、
お金のことをこちらから言い出すなんてとてもできなくて
うやむやなままバイトを続けています。
ちなみに普段のお給料はちゃんといただいてますが、
昇給はありません。

どうするのがみんなに一番よいのでしょうか。

(V)


最初はすすんでされていたということ、
職場は今、雰囲気が良いということなど、
ややこしい要素はいろいろあります。

その選択肢は、次のふたつでした。

A:勤務時間外の作業代をみんなと一緒に請求する

B:勤務時間外の作業が発生しても、引き受けない


では、結果を発表します!


作業代をみんなと
一緒に請求する
   
   

と、なりました!

さて、内訳はこちらです。

投票総数:4376

A:作業代をみんなと一緒に請求する
65.4%

B:作業が発生しても、引き受けない
34.6%

3人にお2人は、「請求する」という割合ですね。

男女別に見てみましょう。

男女別

女性

A:64.6%  B:35.4%
男性

A:67.6% B:32.4%

男性のほうが少々、「請求する」方が
多いようです。

年齢別ではいかがでしょうか?

年齢別
全体


女性


男性


20代以下は、「作業代を請求する」が
多くなっています。

今回の結果は以上です。
結果をご覧になってのご意見は、
ぜひこちらまでお送りくださいね。


最後にメールをご紹介いたします。

どちらを選んだ方にも、
「これ(請求する、断る)をきっかけとして、
 よいように状況が変わるといいですね」
ということを書かれた方が多くいらっしゃいました。
ほんとうに、状況がよくなるといいですね。


A「作業代をみんなと一緒に請求する」メール

=
私はお金よりも気持ち。

個人商店や零細企業はどこでもおんなじですね。
私も、似た経験が何度もあります。
私は、気持ちがくすぶってきたら、
気持ちをそのまま正直に伝えるようにしています。
「最近、この仕事に作業費が出ないことに
疑問を感じるようになってきました」と。
「これからは請求させていただきます」とか
「もうお引き受けできません」といった
“結論”は言わないようにしています。
「支払いがないのなら、できない。
支払いがあれば、できる」と伝え、
支払うのか作業させるのをやめるのかは
店長の決断に任せます。
敢えて私の意向を問いただされたら、
「支払いがほしい」と言わず、
「私はこの作業が得意だしやってて楽しいし、
続けたいと思っています」と言います。
多分、私にとっては
「お金をもらうかもらわないか」よりも、
「気持ちよく働けるかどうか」が大事なんです。
だから、
「気持ちよくその作業を続けるために
 作業費をもらう」
「気持ちよく通常業務ができるように
 無報酬労働をしない」と、
結果はどちらでも良いのです、多分。
選択肢はA(請求する)を選びましたが、
これは私にとっては「この作業を今後も続けたい」
という意思表示です。
相談者さんは(働き方が)私と似たタイプの人のように
思いましたので、そうしました。
(alba)

=
時間内に終わらせる方法を。

Aに投票しました。
といっても、請求するというよりは
時間内に作業してバイト代をもらう、というのが
いいんじゃないかな〜、と思いました。
勤務中は忙しいということだったので
勤務が早く終わるときは終わってからを
作業時間にする、とか作業をする日(時間帯)は
バイトの人数を増やしてもらうとか、
とにかく、勤務時間中に作業できる時間を
作ってもらえるように
みなさんで交渉されてはいかがでしょう?
お店のためにする作業、しかも頼まれてする作業は
立派な仕事だと思いますよ。
(31歳・女)

=
お金じゃないもので‥‥。

「A:みんなと一緒に請求する」に投票しました。
‥‥ただ これは不本意なのですが、
「断る」よりはいいかと思いました。
現在OLとして一般企業で働いていますが、
実家は自営業(個人商店)でした。
そういう目線から言わせてもらうと
個人商店では、お仕事とそれに対するお給金が
必ずしもつながらない、ということです。
それはもちろんご存知だからこそ
今でも続けてらっしゃるとは思うのですが、
そこはやはり割り切るべきです。
しかも店主さんが申し訳ないと思っていることが
分かっているのなら、なお更だと思います。
それでもやはり何かを求めているのであれば、
お金じゃないものでご褒美をもらっては
どうでしょうか?
食事代を出してもらう、など。
でもやっぱりどうしても納得できないのであれば、
それはバイトを辞めるべきだと思います。
そしてシステマチックに区切られ、過不足なく
お金のもらえるバイトをしたらいいと思います。
最後には厳しい言い方になってしまいましたが、
個人商店とはそのお店を愛する
従業員の力で成り立ってると思いますので。
私としましては、そんな個人店が好きなので
今はとても羨ましい感じがします。
(セイチン 29歳 女子)

=
店長さんにも、良い結果に。

私は小さなパン屋を営んでいるため、
店長さんと同じような状況に
立たされることもあります。
正直、本当にバイト代を支払えるほど
儲かっていないのだと思います。
そんな状態でノーギャラで働いてもらっている方々に
いつ「バイト代を払ってくれ」っと言われるのか
ビクビクしていらっしゃることと思います。
しかし、ずっとこの状態を続けることは
将来的にみてもそのお店にとって
良いこととは言えないと思います。
今のような状態で経営を続けても、
いつまでたっても経営状態は改善されないでしょう。
バイトのみなさんで作業代を請求すれば、
それを期に店長さんも今のお店の経営状態を
真正面から受け止めざるを得なくなり、
今後のお店の経営についても真剣に
考えてくれるようになるのではないでしょうか。
最初はお店の雰囲気が悪くなったり
ギクシャクすることもあるかもしれませんが、
結果的にはきっと店長さんにとっても
良い機会になると思いますよ。
どんな結果になっても、店長さんはこれまで
ノーギャラで働いてくださったみなさんには
本当に感謝していると思いますよ。
勇気を出してがんばってください。
(31歳 女子)

=
すでに赤字なのと同じ。

この気持ちは大変よくわかります。
職場は働きやすく、雇用者もいい人で、
経営状態が苦しいことも
わかっているということですね。
それにもう何年も無給で
時間外作業してきているので今さら言い出しにくい。
でも、筋から言っても、
従業員のモチベーションから言っても
働いた分は請求する方がいい、と思います。
もし経営がもっと苦しくなったら、
他の勤務時間も無給で働くのか? ということです。
現在全国レベルでこれと同じことが
問題となっていますね。
従業員にそれだけの報酬が出せないのに
時間外作業をさせて、それでようやく経営が
成り立っているというのは、すでに赤字なのと
同じだと思います。
たとえうんと安くても、これ以後は残業代を
出してほしい、と頼んでみませんか。
あなたが侠気に富んでいて、
「この作業は自分のスキルアップにも役立つ。
 だからただで勉強させてもらってると思って
 無償でがんばろう」
と思えるなら別ですが、
むなしさを感じているというのなら、
やる気の喪失につながっているのですよ。
雇用者は報酬を出せないのなら
仕事をさせてはならないと思います。
個人的な人柄のよさと経営手腕は別物です。
(46歳 女子)

=
「金一封」という形で。

今回の問題はほんとややこしいですね。
一応はAに投票したのですが、
補足があるので投稿させていただきました。
けっこうな量の時間外作業が継続的にあって、
店長さんも「申し訳ない」という気持ちを
持っていらっしゃるようなので、
作業代を請求しても問題はないと思います。
ただ、お店に金銭的な余裕がないことを知っているだけに
「全額支払ってください」とは言いづらいですよね。
店長との間にしこりも残りそうですし。
ですので、ここは一つ、気持ちということで
「金一封」という形で請求してはいかがでしょうか?
毎月は無理でも、四半期に一度くらいは
店長さんがんばってください! と言いたいところです。
せっかく良いお店で
楽しくバイトできているようですので、
これからも気分良く働けるよう、
うまく請求できるといいですね。
(ゆきこ)


B「作業が発生しても、引き受けない」メール

=
話し合いをしました。

私は作業を引き受けない、を選択しました。
私も似たような環境で今働いています。
小さなお店で完全歩合制なので、時給はもちろん無し、
でも自宅でホームページを作ったり、
店長が仕入れた品を休みの日に
店長宅でメンテナンスしたり(骨董屋なんです)。
やっぱり自分以外の仕事だと、
「お金にならないのに‥‥」と
不満に思うこともあります。
でもやっぱり店の金銭事情を知ってしまっているので
請求は出来ませんでした。
なので出来るだけ店で仕事が出来るように
話し合いました。
今は大分納得して働いています。
持ち帰りになってしまう仕事などに
不満があるのなら、思い切って
断った方が自分もすっきり働けるような気がします!
店長さんも誰もやってくれなければ
嫌でもパソコンなど覚えるようになると思いますよ
(うちはそうでしたよ〜)。
今では分担でホームページ更新なども
してくれています。
(E)

=
「愛ある忠告」になる?

Bの「作業を引き受けない」に一票。
「タダではやりません」という意味では、
AもBも同じなんですよね。
ただ、Aの場合には、下手すると
「これまでの分も遡って払え」という話にも
なりかねない、という意味で、
経営者に「負い目」を感じさせることになるし、
大体、お金は無いのでしょう?
それならば、結果として「やらない」ことに
なってしまうのでは?
残業代が出るかどうかなんてのは、本来、
従業員が心配するべきことでは
ないはずだとおもうのですが。
たとえ悪意はなくとも、経営者の方は
周囲に甘えすぎだと思ってしまいます。
周りも甘えさせているというか、
一種のファミリー的雰囲気があるのでしょうか。
家族経営の商店での家族同士とか、
同好の士が集まってやってる仕事での仲間同士、
といった「身内」に対してであれば、
運命共同体的な形で、時には無理も言えると
思うんですけどね。
そういう意味では、相談者の方が、
その場に対してどれだけ「身内」で
どれだけ「従業員」か、という、ごくパーソナルな
目盛りの振れ加減の問題かもしれませんね。
いずれにしても、
「これじゃ仕事の仕方として良くないよ」
という意味の、「愛ある忠告」にはなると思いますが、
どうでしょう?
(道楽/仕事)

=
お金では得られないものが。

お悩みの気持ち、すごくよくわかります。
私も以前働いていた職場が残業代が一切出ない所でした。
雑貨店だったのですが大変ハードで、
最初は定時に上がれていたのですが、
スタッフがどんどん辞めてしまい人数が足らず、
やらざるを得ませんでした。
上の方々も残業せずに帰るようにと仰るんですが、
仕事は溜まっていくばかりだし誰も帰りませんし、
やむを得ない状況でした。
今は違う雑貨店で働いています。
こちらも「残業代」は出ませんが、
上の方から少しではあるけれどお手当てがついています。
というのも、こちらは以前のお店のような
ハードさはないものの、スタッフが次々辞め
お店を維持していくのがぎりぎりになるくらいの人数、
状態になってしまったのです。
以前の職場はお金はもらえないけれど
人間関係はすごく良く、だからこそ皆で助け合って
頑張れました。
今の職場は一応お手当て頂いているけれど、
その他の問題に悩まされています。
ご相談なさっている方の職場は
環境がとてもよい所のようですし、
お仕事も前向きに頑張っていらっしゃるようです。
なるべくご自身の負担にならないように、
せめて休日出勤はやめるとか、
他の方と少しご協力頂いてお一人で作業しないとか、
少しずつ状況を改善なさってみてはと思います。
またお仕事されてもお店の売り上げが
好転なされないことが余計に空しさに拍車を
かけているのかな、とも思いますが、
売り上げに結びつかなくてもお店にとって
必要不可欠な存在でいらっしゃるのですから、
こんな時こそ明るく、むしろ少し開き直るくらいの
気持ちでもってお仕事なさっていれば
きっと良いことがあると思います。
感謝や信頼や、お金では決して
得ることのできないものが
いっぱい溜まっていくと思います。
お辛いかもしれませんが、どうぞ頑張って下さい。
(S)

=
時間は命だと思っているので。

実際に売り上げが上がっていない以上
作業代を捻出することはできない訳ですから、
どちらかを選択するのであれば、
「作業を引き受けない」しかないと思います。
自ら進んで無償作業を行うことによって、
一緒に作業をしているスタッフを
助けられること以外にも、例えば、
・売り上げや利益を上げるためにはどうしたら良いか?
・効率よく作業するためにはどうしたら良いか?
・働いている人達が気持ちよく作業できるためには
 どうしたら良いか?
といった経営者の目を養えたり、
色々と貴重な経験ができますので、
「自ら進んで行っている状態」であれば
価値のある行為だと思いますし、
「将来経営者になりたい」など、
自分なりの目的があれば尚良いことだと思います。
ただ、それが苦痛になってしまっているのでは、
不満や苦しさだけが募り、本来良い経験として
身に付くものも身に付かなくなってしまうと思いますし、
作業効率が落ちたり、スタッフ間に
わだかまりができたりと、
お店にとってもスタッフにとっても、
あまりいいことはないと思います。
私は、時間は命そのものだと思っていますので、
それを安売りすることも、他人の時間を安易に奪うことも
あまり感心できません。
お店を維持するために無償の労働力が不可欠という
現在の状態では、既に利益を得るシステムが
崩壊しているわけですから、
まずはどのような対策をとって
この状況を打開するかをオーナーが考え、
スタッフが納得して作業を行えるように
ミーティングを行うなどしなければ
ならないところではないでしょうか。
オーナーがそれをできないのなら、
周りのスタッフと話し合って、
今後の方針を決めるのが良いと思います。
(35才 男)

=
アイディアを試すチャンス。

Bの引き受けないに一票入れましたが、
「作業代は請求せず、時間外の作業もする」
という選択肢があれば、
そちらに入れたかったな〜と思います。
働いた分の給与がないのは納得いかないと思います。
でも、お金以外のものを
いただいているのではないでしょうか?
相談者は若い方だと思いますが、特に学生であれば、
自分が作ったチラシでお客さんを呼べる!
なんて経験はなかなかできません。
次はこんな工夫したらもっとお客さんが来るかな!?
など、お金の発生しない作業だからこそ、
あなたのアイディアの生かしどころですよ!
ここはひとつ、自分の意見やアイディアを試す
チャンスだ! と思って取り組んだらいかがでしょう?
私自身は、学生時代の無謀なチャレンジと
それを受け止めてくれた人達が、
今の私の力を作ってくれたと思っています。
(いか 32歳 女性)

=
その仕事が本当に必要かどうか。

Bに投票しました。
僕は以前、教育関係の仕事でアルバイトをしていて、
今でも教育に関わる仕事をしているのですが、
そこで以前から思っていたことがあります。
それは、教育関係の仕事をする人は、
基本的に熱心な人が多いので、
いわゆる「サービス残業」を、
「生徒のため」にやってしまうのです。
それだけなら、本人の責任でやっているだけだから
問題はないのですが、雇用側が、
その熱心さを利用しているように感じることがあり、
「子どもたちのことを考えたら、これぐらいやって当然」
という態度をとることがあって、
僕はそれがとても嫌でした。
本当に必要と思うなら、きちんと報酬を
支払うべきではないか‥‥と。
あるいは、実はそのサービス残業は、
仕事をしている側の自己満足であって、
本来は必要ではない仕事を
やっているだけなのかもしれません。
もちろん雇用側としても、そのような仕事に
給料を出していたら、きりがありません。
Vさんの質問にあてはまるかどうかは分かりませんが、
僕はこのような個人的な経験上、
給料の出ない仕事をきちんと断ることで、
自分にとっても相手にとっても、
その仕事が本当に必要かどうかを判断する、
よいきっかけをつくることができるのではないか?
と考えるのです。
(29歳 男性)


このコーナーへの感想、
または、解決したいあなたのおなやみは、
メールの表題を「ややこしい問題。」と書いて
yayakoshii@1101.comに送ってくださいね。

「ややこしい問題。」は、
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