まず自然農法や永田農法に限らず
世の中にはいろんな農法があって
一概にこれがいいとか悪いとか言えないと
思っています。
先日、京都大学で
「自然農法」を研究している方にお会いしました。
この方は私も「藁一本の革命」という
著書を読んであこがれていた
福岡正信さんという
自然農法の大先生に学んだ方です。
その方と自然農法についても
いろいろとお話をさせていただいたり
実際に、現場を見せていただきました。
永田農法であれば
自分の経験からも話すことができますが
自分自身が純粋な自然農法を
やってないこともあり
本や一部の自然農法の現場をみて
間違っているかもしれない。
という前提でコメントをするのであれば
肥料もあげずに
周りの雑草が枯れていっても
山の木が肥料を与えなくても育っていくように
ある程度は育つのですが
今の野菜というのは
人間の手によって
品種改良をされているものです。
本来の野生種よりも
収量を多くするとか、
甘い実がなるとか
長く収穫できるとか
見た目がきれいだとか。
今の野菜というのは
人間が品種改良をして淘汰して
救い出してきた歴史があります。
ですからほおっておいても
人間が思い描いているその通りに
できない場合があります。
どんなに雑草の中で育っても
周りの雑草が大きくなって光りを遮ったら
そこに日が当たらないと
野菜は育たないのです。
ぼくが見てきた自然農法の方でも
経験の上で
少なくとも、植えている野菜の周りの
雑草はこまめに刈ってあげて
日があたるようにしてますし、
周りの雑草が腐って
肥料になっていく量をみながら
注意を払いながら育てていますが
収穫できる量はそんなに多くありません。
一般の農法のように
ある程度の量を作って
出荷することを続けることによって
収益をあげていくという
プロの農家のレベルでは
自然農法は難しいかもしれないと思いました。
永田農法が使っているのは
化学的に抽出した液体肥料を使っています。
それは人間の化学技術を駆使してできた肥料です。
堆肥や魚の腐ったものや
人糞や家畜の糞を使った
有機肥料ではありません。
ぼくらが空気中から
窒素を手で集めることはできないし、
リン鉱石やカリ鉱石を砕いて水に溶かしても
簡単にリンやカリはとけ込まないので
化学的に空気にある窒素や
リン鉱石やカリ鉱石といった天然鉱物から
養分を抽出しています。
効率よく天然にある肥料分を抽出して
必要最低限を野菜にあげることによって
肥料のあげすぎを防ぎ、
土壌に残存する肥料分を減らし、
野菜の様子をみながら
おいしい野菜を作ろうとする農法です。
そういう意味では
「化学技術を使いながらも
環境にもやさしい」
という化学技術と自然の摂理をうまく生かした
バランスのいい農法だと思うので
おっしゃる通り、
21世紀型の農法だと思います。
かつては雑木林を
人間が作り出しました。
雑木林とは天然林じゃないのです。
関東平野の雑木林だと
クヌギやコナラの森です。
それらは関東の自然の森ではできません。
自然の森は明治神宮にあるような
照葉樹林の一年中、緑が続く森です。
こういうところだと
山菜・キノコ、薪や炭もとりにくい。
江戸時代から伐っても生えてくる
クヌギやコナラを
意図的に植えることによって
雑木林は生まれました。
雑木林の生態系というのは
よくできています。
まずクヌギやコナラは炭や薪に適してますし、
木が椎茸やキノコを栽培するにも
適しています。
木の実がおちて
そこに鳥や動物がくるようになり、
夏は新緑で緑が濃くなり、
秋には紅葉して
冬には落ち葉がたまり。
堆肥になっていく。
人間が得るものも多い、
自然がうまく循環していくという
理想的な姿だと思います。
おおげさに言えば永田農法も
そこに通じるものがあって
人間がもつ化学技術と自然の摂理を
バランスよく生かしていると思いました。
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