農薬も基準を守れば安心です
ほぼ日 水と肥料のバランスのほかに、
「しつもんチケット」の中に
よく書かれていたのが、
「病害虫が出たけど農薬は使いたくない」
ということでした。
諏訪 これも多かったですね。
ぼくも永田農法にきりかえるまでは
無農薬、有機栽培にこだわっていたので
農薬イコール毒であり、
悪であるという印象でいました。
はっきりいうと
永田農法は無農薬というわけではありません。
ほぼ日 そうですね。以前、永田先生が
「困ったら農薬を使えばいいのに」
と、おっしゃっていたのを
聞いたことがあります。
諏訪 永田農法では畑の中に鶏糞や牛糞、
有機肥料を入れないので、
一般的には病害虫少ないんです。
完全に完熟してない鶏糞や牛糞が入ると、
半分はウンチの成分のままですから
当然ハエも湧くし、いろんな雑菌も湧く。
だから病害虫が出やすいんですよね。
永田農法ではクリーンな化学肥料を
薄くあげるだけなので
もともと病害虫が出にくいのです。
ほぼ日 とはいっても出てしまう場合がある。
諏訪 すこしくらいの虫は手で取ればいいけど
いっぱい出たときは、やはり、農薬の出番です。
永田先生は、よく、
農薬を風邪薬のように例えるんですが、
まさに医薬品だと思ってもらっていいと思います。
ほぼ日 なるほど。
諏訪 昔の農薬は基準も曖昧で、
毒性の強いものがあったり、
取り扱いを間違えて
それが事故につながることもありましたが、
今の農薬にはかなり厳しい検査基準があります。
ひとつの農薬を開発して
検査基準をクリアして世に出すには
時間が大変かかることから
億単位のお金がかかるといわれてますし、
提出する報告書も膨大です。
農薬を開発して販売するには
かなり高いハードルがもうけられているんです。
国内の基準で作っているものを
基準の範囲でつかえば安全ですから
ここは無理をせずに使ってもらって大丈夫です。
ほぼ日 農薬の選び方については
こちらのページが詳しいので
ぜひ、参考にしてみてください。
諏訪 例のギョーザ事件も、
「ギョーザに入っている
 ニラやキャベツの野菜の残留農薬ではない」
というのは野菜を作ってると
すぐにわかるんですよね。
人体に影響があるほど濃い農薬だと
ギョーザにする前に野菜が枯れちゃいますから。
ほぼ日 なるほど。
諏訪 ああいう事件があったばかりだから
農薬に対して過敏になる時期かもしれませんが
野菜づくりをしようと思っている人は
十分冷静に判断してほしいと思います。
過剰に使う必要はまったくありませんが、
必要なときに、バランスよく使うことを
考えてもらえればいいなと思ってます。

(つづきます)
2008-05-16-FRI