hobonichi presents
うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!
03


糸井 いや、ほんとにいいよ、この写真集。
うめ うわー、ほんとに? うれしい!
糸井 でもさ、いま、俺がすごく知りたくなったのは、
どうやって「梅佳代」がうまれたのかってこと。

つまり、いろいろ道はあっただろうけど、
なぜ「写真にいった」のか‥‥ってことなんだけど。
うめ たぶん‥‥いま思うと、高校生のあたしが
ほんといいジャッジをしたんです。
糸井 ほう。
うめ とにかく都会に出なきゃダメだぞって、
ずーっと思っとったんです、高校生のとき。
糸井 うん。
うめ だけどね、何かを覚えるのは苦手だし、
集中力もなかったから、
学校の勉強は、
これ以上、やらなくていいやと思った。
糸井 なるほどね。
うめ でも、ほかにできそうなこともなくって。

そこで、あたしがほんとに何をしたいかを
真剣に考えてみたんです。

もう「今、したいことって何だ?」って。



糸井 何だったの?
うめ 「イチローと結婚」だったんです。
糸井 ‥‥はぁ。
うめ いや、ほんとは、イチローだけじゃなくて、
イチロー爆笑問題の太田さんYo-king
真心の。
糸井 そんなに。
うめ あわよくば、
その人らと会えるかもしれん仕事がいいと思った。

で、そんとき、イチローはメジャーじゃなくて
まだオリックスにおったから
「『週刊ベースボール』で会えるかも」と思って。
糸井 つまりカメラマンになったらってこと?
うめ そうそう。だったら「写真学校やね」と。
糸井 それがきっかけ?
うめ そうです。それで、写真学校に行きました。
糸井 ほんとにー?
うめ 他には「女子アナ」も考えたんやけどねー。
糸井 女子アナ‥‥。
うめ プロ野球選手と結婚する人といえば、で。

でも、よく考えたら、女子アナなんて
絶対ムリやし、
「カメラだったらカンタンやろ」って。

いまから思えば、
ほんと、カメラマンに失礼な話ですけど。



糸井 いやあ‥‥なれてよかったねえ!(笑)
うめ はい、よかったです。
糸井 じゃ、それまでは、写真はやってなかったんだ?
うめ えっと、やってた‥‥というか、
女子高生だったら、
みんなカメラを持ってた時代だったんです、
あたしらのときって。
糸井 それは、今のデジカメ以前‥‥だよね?
うめ そう、「写ルンです」とか。
ともだち全員、持っとった。

だから、「写真をはじめた」とか
そういう問題じゃなくって、
写ルンですをただ持ってて、ただ撮ってた。
糸井 じゃ、それが「梅佳代」のそもそもの始まり?
うめ うん、こんどの『じいちゃんさま』の
最初のほうのは、
まだ写真学校にも通っていないとき、
高校生だったころに撮った写真。



糸井 ああ‥‥なるほど、そんな感じするよね。
うめ そうですか?
糸井 うん、いまよりさらに野心がないというかね。
うめ ただの女子高生が撮った写真やからね‥‥。
糸井 でもさ、写真集の構成でいうと、
この「うめぼし」の写真のあとくらいから
ガラッと変わってくるんだよね。


※「うめぼし」の写真

うめ それは、写真の感じが?
糸井 そう。グッと「写真を撮る人の写真」になってくる。

でも、その前に「うめぼし」を挟むことで
見る側に「ひと息入れさせてくれる」んだよなぁ。
うめ ああ‥‥あたし自身、こういう感じの写真って、
あんまり撮ってないし、人に見せてもいないんです。
糸井 たしかに「梅佳代」風じゃないよね。
うめ でも、装丁の祖父江さんが、入れようって。
糸井 たぶん、祖父江さんの意図としては
「ここまで」と「ここから」を
橋わたしするような役割なんじゃないかな、
この「うめぼし」の写真って。
うめ ああ、なるほどー。
糸井 だって「うめぼし」の次のページがこれでしょ。
すでに「こころえ」があるよ、この写真には。


※「うめぼし」直後の写真

うめ そうかもしれん。
糸井 で、その直前の写真が、これで。


※「うめぼし」直前の写真

うめ あはははは、こころえナシやね!
糸井 祖父江さん、すごいねー。
うめ はぁー‥‥ほんとや。
糸井 でも、能登で、こんな写真を撮ってた女子高生が、
東京にやって来たわけだ‥‥カメラに乗って。
うめ そうです。
糸井 で、『うめめ』を出して、『男子』を出して、
今度は「じいちゃんの写真」を出しちゃった。
うめ はい。
糸井 でも、そのふたつもよかったけど、
この『じいちゃんさま』があってこその
『うめめ』と『男子』だよね。

あの「梅佳代写真」のルーツは、これだよ。
うめ そうかも、あたしのルーツかも。
いわれてみれば。
糸井 言ってみれば、『うめめ』も『男子』も
ポピュラーソングでしょ?

「梅佳代」になったあとの写真というか。

でも、このじいちゃんの写真は、
ほんとにもう‥‥なんて言ったらいいのかな、
ホーミーみたいなもんだよね。
うめ ホーミー!
糸井 なんか、自然と出てきちゃったものというか、
誰も聞いてなくても、うたう歌というかさ。


梅佳代『じいちゃんさま』より

<続きます!>



2008-10-01-WED
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