hobonichi presents
うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!うわさのシャッターチャンス・ガール うめかよ参上!


零士 ぼくは、写真に関しては素人だけど、
うめちゃんってじつは
「基本に忠実」なんだと思うんです。

一見、へんな写真ばかりかと思いきや。
うめ ‥‥はっ!
零士 そのうえに、オリジナルが乗ってる。

天才肌の人って、
オリジナルからはじまってるように見えるんだけど、
たぶんうめちゃんも、
基本的なことをすごく大事にしてると思うよ。
うめ そう、そうなんです。
写真の、基本のことやってるんです。

撮ってるものとか、
撮ってることとかは、
「もっとも写真」だと、自分では思ってる。
零士 でしょう。
うめ わたしの写真は、
当たりまえの写真だと思っているのです。
ほんとうは。


零士 だから、同じものを見て
同じように針がピンって揺れて、
「お、いまの!」ってわかり合えるような、
そういう「男子」に出逢えたらいいんじゃない?
うめ さすが両想いのプロやわー!
さりげなく
ホストクラブみたいになっとる!
零士 はははは(笑)。
‥‥うちは「プレイヤーズクラブ」なんだけどね。


撮影:梅佳代

うめ 零士さんのお仕事でも
「シャッターチャンス」みたいな感じって、
あるんですか?
零士 僕は、はじめて会ったこの人が
どういう人なのかまだ分からないときに、
ふだん見せないような一瞬をふっと見せる、
そんな瞬間を、ずっと待ってます。

それが、僕のシャッターチャンスですね。
うめ なるほどー。
零士 で、「ああ、これ見えたわ」と思ったら、
すーーーっと引く。
そうすれば、相手は追ってくるんです。
うめ うわーーーーーっ!

その一瞬には、その人の
いろんな情報が入ってるんですか?
零士 そこが基準になりますよね、すべて。

「この娘、いまなんで
 こんな目をしたんだろう」
って、そこをつかんじゃったら、
あとはもう、カンタンなんですよ。
うめ じゃあ「つかまえた!」って瞬間は、
なんか、ピントが合ったようなイメージ?
零士 うーん、たとえばうめちゃんも
なんでもかんでも「いいよ、いいよ」って
イエスマンみたいな人ほど、撮るの難しいと思うんです。

じゃ、なにが「ノー」なのか。
イエスマンが「ノー」を出した瞬間、
そこがシャッターチャンス。
そこにスッとピントを合わせる。

逆に、文句ばっかり言ってる人、
「ノー」しか言わない人が
「イエス」って言ったときも、同じだよね。
うめ へえええええーー‥‥。


零士 逆にいえば、うめちゃんにだって、
写真を撮っててもぜんぜんダメだなって日、
あるはずなんですよ。
うめ あります、あります。
ぜんぜん撮れない、出会えないって日が。
零士 オレにだって、ピンとこない日があるんです。
今日は話してもムダ、って日がね。
その人に入っていけないっていうか、
見ることすら、できてないというか‥‥。
うめ 零士さんでも、そうなんだ。
零士 そのかわり、
カンペキ冴えてるときにもう一度会ったら‥‥
ズバンズバンいくんです。

そのギャップで、
ハイ、いっちょうあがりー!



うめ すげーっっっっっ!

両想いになる方法、
いっぱい知っとるんやね!
零士 ‥‥できないときに無理しても
自分のなかの基準がくるってくるから。
うめ そうそう、まさにそう!
無理すると、ブレちゃうんです。
零士 僕らのシャッターチャンスは、
なんというか、たぶん
人の「よくない部分」を映し出すんですよ。

この人は、こんなところがいい人だっていう
判断のしかたも、もちろんあるけど、
この人は、こういうところが
よくないんだってところから判断するのも、
人とうまく付き合っていくうえでの、ひとつの術でしょ。

だからたぶんこれ、ふつうの人には
押せないシャッターなんだと思うけど。
うめ それってつまり、
人を「見抜く」技術ということ?
零士 うん、言ってみれば
「わるいスナップ写真」かな。
真実を写してんのは、
うめちゃんの写真と同じなんだけど。
うめ 勉強になるわー‥‥。



零士 とくに、今回の写真集って、
いわゆる「お調子者」な男子たちが
いっぱい写ってるじゃないですか。
うめ お調子者! まさにそうやね。
零士 そういう「男子」な部分を残しながら
大人になったやつらって
僕らの業界には、けっこう多いと思うんですよ。
うめ あ! そういわれてみれば。
零士 ぼくの原点もたぶん、
こういうことだったような気がします。


零士 ‥‥この写真なんかさ、
「コンソメパンチ」じゃないですか。
これ、ガキんときに新発売されて、
ものすごく衝撃的だったんですよ、味が。
で、これ食べるときは、
かならずいっしょに「ファンタオレンジ」飲んでたなぁ。
しお味にはコカコーラなんだけど、
コンソメのときは、
ぜったいにファンタオレンジだったんだよね。

‥‥って、そんなこと思い出すんです、見てると。
自分がまだ、「男子」だったころのこと。



うめ ‥‥だから、わかるんやねぇ(しみじみ)。
零士 ここ(『男子』)から大人になっていくのは、
すごく「アリ」でしょうね。

だから、自分のスタートラインが
わかんなくなってきちゃったり、
羅針盤がくるっちゃったヤツは見ろ、ですよ。

自分の原点を、思い出せるから。


零士さんの原点も、「男子」だった!
もしかすると零士さんって、
『男子』という写真集の
いちばんの解説者なのかも‥‥!?

そして次回は、なんと
梅ちゃんが零士さんのお店に!

お見のがしなく!


2007-09-12-WED
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